新型コロナウイルス感染症抗体医薬品開発の進捗報告
研究の目的と意義
- 研究課題名:タンパク質マイクロアレイを用いた抗体プロファイリング技術を活用した診断薬・治療薬の開発
- 研究責任者:渡辺 慎哉(福島県立医科大学 医療-産業トランスレーショナルリサーチセンター)
私たちは、血液に含まれる体内への侵入物(細菌、ウイルス、カビ、酵母など)に対する多くの抗体*を1回の検査で調べる技術(タンパク質マイクロアレイ)を開発しています。この検査により、体内に存在する抗体がタンパク質マイクロアレイ上にある侵入物に反応を示すかを容易に調べることができます。今回の場合は、新型コロナウイルスへの反応を調べます。また、血液中の新型コロナウイルスに対する抗体を取り出し、その抗体を新型コロナウイルスの診断薬・医薬品として開発します。
*抗体は体内から侵入物を排除する重要な役割をになっています。
新型コロナウイルス感染症回復者における血液中の抗体プロファイルを公開いたしました
データ公開エリアを開設しました。
新型コロナウイルスに感染し、回復した方の血液に含まれる抗体の解析データを公開しています。
IgA抗体マスクやスプレーに使用しているIgA抗体(HIA001527)は、新型コロナウイルスのオミクロン株BA4/5を含む多くの変異株に結合する抗体を使用しています。
下記に詳細データをお示しします。
ほとんどの変異スパイクタンパク質に結合する |
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オミクロン株にも 非常に強く結合する |
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デルタ株・オミクロン株にも 非常に強く結合する |
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オミクロンBA4/5株にも 非常に強く結合する |
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すべての変異スパイクタンパク質に 非常に強く結合する |
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生のウイルスに中和活性を示す |
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研究の進捗状況
新型コロナウイルス感染症抗体医薬品の研究開発のために、新型コロナウイルスに感染して回復した方から採血を行い、新型コロナウイルスに対する抗体(抗体遺伝子)を取得しました。今後、実用化に向けて、さらに開発を進めてまいります。
新型コロナウイルス採血ボランティアにご協力いただきまして、誠にありがとうございます。
この成果をいち早く新型コロナウイルス感染症の収束に役立てられるように努力してまいります。
感染予防薬の開発
新型コロナウイルス感染症回復者から取得したIgA抗体を利用した点鼻型の感染予防薬を、実用化に向けて開発中です。
新たな進展がありましたら改めてお知らせさせていただきます。