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理事長室からの花だより

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理事長室からの花だより

2010.03.26

vol.71  − 卒業 −

また、旅立ちの季節が巡ってきました。
変わりたくないという気持ちと新たな出会いへの期待の感情が綯い交ぜになって、いつも自分で統御できない心持ちが暫く続きます。

卒業式は、「過去の提示」と「未来の覚悟」を表明する場であると言われています。
学生がいよいよ医療のプロとしての歩みを始めます。
私の好きなプロフェッショナリズムの定義は、まず、目的に対する単純強固な意志、第二に、低い水準における満足感の拒否、第三に、栄光の影の骨身を削る努力、最後に、自らの努力無くして人生の果実を期待しないこと(ディック・フランシス)です。

医療の現場は矛盾と不条理に満ちています。しかし、恐れたり怯むことはありません。人間は、皆失敗しながら生きているのです。そして、幾ばくかの苦悩や喪失を日々繰り返しています。でも、みんな自分なりのベストを尽くして生きているというのが世の中です。
大切なことは、日々遭遇する、目の前の一つ一つの事実から逃げずに、愚直に向き合い、そして勁く生きていくことなのだと思っています。そう卒業生を励まして送り出しています。

プロとして大成するのに大切なのは、いい師と巡り会うことだと、自分の歩みを振り返って、強く感じています。真に、「三年学ばんより三年師を選べ」です。
そしてもう一つ、仕事や友情は双方の相手に対する敬意と信頼から成り立っていることに思い至ることです。そこには、職業、地位、年齢は関係ありません。
卒業する若者に「幸多かれ」と願わずにはいられません。

    「元二の安西に使いするを送る」
         渭城(いじょう)の朝雨 軽塵(けいじん)を浥(うるお)し
         客舎 青青 柳色新たなり
         君に勧む 更に尽くせ 一杯の酒
         西のかた 陽関を出(い)ずれば 故人無からん      (王維)

高校時代習った有名なこの詩を、青春時代、高らかに声に出して詠ったものです。

今週の花材は、執務室は桜とカーネーションという和と洋のコラボレーションです。
秘書室は、vol.27(http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=44)でも書きましたが、間もなく訪れる連翹忌にちなみ、レンギョウを中心とした多彩な色の競演です。ここにも春到来です。

(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)

今週の花


【理事長室】
■紅吉野   バラ科/落葉高木/原産:四
国/天城吉野(アマギヨシノ)と寒緋桜(カンヒ
ザクラ)との交配種。大輪の一重咲きで濃いピ
ンク色が鮮やか。開花は3〜4月で、染井吉
野より少し早く咲く
■カーネーション(テッシノ)   ナデシコ科/
多年草/原産:地中海沿岸/《名前の由来》
「肉の色の花」という説(ラテン語でcarn)や、
花冠を作るのに利用したことから載冠式(coro
nation)が語源など諸説ある/日本には江戸
時代にオランダから渡来。「オランダセキチク」
「オランダナデシコ」のほか、「ジャコウナデシ
コ」などと呼ばれる。スペイン、モナコ、ホンジ
ュラスの国花。「テッシノ」は濃い花色で、日持
ちの良い品種。他にチェリーテッシノ、ライトピ
ンクテッシノ、ラベンダーテッシノなどある。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/711.jpg
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【秘書室】
■レンギョウ   木犀科/落葉低木/原産:中国/早春の代表的な
花木で、黄金色の花を枝いっぱいに咲かせる。花が最盛期を過ぎたこ
ろから葉がでる。日本への渡来は古く、平安時代ともいわれ、江戸時
代には栽培されている。実は薬草として利用される。
■フリージア(オベロン)   アヤメ科/球根植物/《名前の由来》発
見者が親友の名前フレーゼにちなんで名づけた/フルーティな香りの
する春の花。花茎に筒状の花を8〜10輪つけ、次々と開花する。オベ
ロンは赤色の代表的な品種。
■LAユリ(ロイヤルトリニティ)   ユリ科/球根植物/《名前の由来》
「Longifrorum Asiatic Hybrid」鉄砲ユリ(Longifrorum)とスカシ
ユリ(Asiatic)の掛け合わせ/鉄砲ユリとスカシユリの良いところを合
わせもったユリ。中輪咲きでスカシユリよりも花持ちが良い。
※拡大写真http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/712.jpg
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