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理事長室からの花だより

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理事長室からの花だより

2016.12.09

vol.394  − 極 (きわめる) −

出勤時、大学に着くまで、車の前照灯が点(つ)いています。冬到来です。

庭、街路や果樹園では、すっかり葉が落ちています。田圃(たんぼ)は薄茶色で、一仕事を終わった安堵感のような空気が漂っています。
この時季、屡々(しばしば)時雨(しぐれ)に見舞われます。虹を伴って幻想的な風景が眼前に展開します。

久し振りに、月が関心を集めました。
スーパームーン、何時(いつ)からこのような呼ばれ方をしたのでしょうか。天気が悪く、人々が残念がっていました。只、月は朝もみえます。早朝、“白く巨大な月”が間近にみえました。

年間で、平均50分程の差がある月の出の時刻、日の出の分かり易さに比べ、その時刻が日々大きく違っています。その為、慌(あわただ)しく移り行く今という時代では、電灯という“明かり”を手にしたこともあり、昔程には月に関心を持たなくなりました。

例えば、“晦日(みそか)の月”という言い方は、今どれだけの人々に使われているでしょうか。
昔の人々にとって、晦日(10、20、30日)に月がないことは常識でした。そこから“あり得ない事”の喩(たと)えとして用いられていました。

月を考える時、西洋と我が国の月に対する見方が全く違うことに驚きます。
西洋では、“不吉の象徴”として語られることが多いようです。
一方、我が国では、縄文の大古の昔から“お月見”をしていた様(よう)です。我が国の“お蔭様”という挨拶は、“和の文化”を考えるうえで暗示的です。

         十二月八日風化しにけり
         金銀の眼(まなこ)鋭しどのマヌカンも
                                三國 玲子

人形に描かれている眼の色と光が、現代を生きる人々に鋭く何かを問い掛けているようです。

         日米開戦六十年の記念日か
         語らず聞かずあたたかく晴る
                           竹山 広

我が国の有り様(ありよう)を根底から変えてしまった12月8日です。戦後75年、実体験として語れる人はほぼ居なくなってしまいました。

8月15日と違って、12月8日は語られる機会があまりありません。しかし、そこから目を逸(そ)らしていないでしょうか。終わりが有るということは、始まりがあったからなのです。
“反省の先の戦争”は、いつ始まったのか、no  return  point(引き返せない時点)はどこだったのかを考えること無しには、反省も出来ません。

本県を襲った原発事故に至る道程(みちのり)、そして、“今の反省”を考えてしまいます。我が国の根幹にある問題は、昔も今も変わっていません。

何もかもが曖昧(あいまい)です。

戦後生まれの己には、先の戦(いくさ)は、歴史として考える他ありません。只、この大戦をどう見るかの立場を越えて、今を生きる我々は、戦いに斃(たお)れた多くの人々の存在を忘れてはいけません。

原発事故も同じです。事故発生までを辿(たど)ること無しには、又、反省しなければならない大惨事が起きてしまいます。それは、今を生きている人間の責務です。

速水御舟(はやみ・ぎょしゅう)、我が国に於(お)ける近代絵画史上の巨匠です。主要な作品が一堂に会する企画展が開催されています。
短い一生です。その生涯で、何度も劇的に作風を変えてきました。その勇気と努力に只只(ただただ)脱帽です。
彼の絵から醸(かも)し出される清冽(せいれつ)な雰囲気に惹かれ、度々(たびたび)、彼の美術展に足を運んでいます。
         (vol.184 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=219
         (vol.234 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=271
         (vol.340 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=379
彼の生涯を辿るように展示されている絵から、改めて、道を究(きわ)めようとする修道僧のような彼の生き方が、観る者の心に迫ってきます。「菊花図」(きっかず)の写実、「暗香」(あんこう)、「あけぼの・春の宵」の妖艶(ようえん)、絶筆の「円(まど)かなる月」の透明感に心惹かれます。

今週の花材、執務室は海外での修業中に目にしたクリスマスツリーを思い出させてくれます。
秘書室は、可憐(かれん)です。


(福島県立医科大学理事長  菊地臣一)



今週の花


【理事長室】
■アメリカヒイラギ〔クリスマスホーリー〕   モチノキ科/常緑低
木/葉にヒイラギに似たトゲがあり、秋に赤い実をつける。“ヒイラ
ギ”の名がつくが、日本のヒイラギはモクセイ科で別種。
■モカラ〔レオナ〕    ラン科/バンダ・アラクニス・アスコケントル
ムの3種の蘭を交配した人工種。赤や黄色など南国らしい鮮やか
な花色の品種が豊富。
■リュウカデンドロン〔プルモーサス〕   ヤマモガシ科/常緑低
木/硬質な葉をもつアフリカ原産のワイルドフラワー。「プルモー
サス」は松ぼっくりのような蕾で、開花すると綿毛が現れる。
■グズマニア〔トーチ〕   パイナップル科/常緑多年草/パイナ
ップルに似た姿で、苞を鑑賞するため非常に長く楽しめる。 「トー
チ」は松明(たいまつ)のような配色の小ぶりな品種。
■テマリ草〔グリーンボール〕   ナデシコ科/多年草/マリモや
芝を連想させる独特な花姿。「グリーンボール」は南米で生産され
た品種で、通常のテマリ草よりも大きい。
■ドラセナ〔ゴールドストライプ〕   リュウゼツラン科/“ドラセナ”
の名で流通するが、本来はコルジリネ。「ゴールドストライプ」は赤
色が綺麗な小葉品種。
■ヒムロ杉   ヒノキ科/常緑高木/サワラの園芸品種。灰色
がかった緑色の線形の葉が、枝に密につく。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/3941.jpg

【秘書室】
■ベロニカ〔ブルーエイリアン〕   ゴマノハグサ科
/世界に300種程あり、日本にも約20種が自生。
直立の高性種からグランドカバーになる這性までバ
ラエティに富む。
■ラナンキュラス   キンポウゲ科/球根植物/
薄く柔らかい花弁が幾重にも重なり、バラのような
花姿。花色、花の大きさなど品種がとても豊富。
■ベアグラス   ユリ科/細い線状のしなやかな
葉。束ねたり丸めたり、カールさせたりと色々な使
い方が出来る。
■アンスリュウム〔みどり〕   サトイモ科/常緑多
年草/ツヤツヤの花(苞)と葉が特徴の南国の花。
花弁のように見える団扇状の部分は苞で、棒状の
部分が花。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/3942.jpg

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