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理事長室からの花だより

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理事長室からの花だより

2009.11.17

vol.54  − 氷雨 (ひさめ) −

早朝、研究棟から執務室のある管理棟へ、暗く、長い廊下を玄関に向かって歩いていきます。すると、ロビーの大きなガラス壁の飾枠の中に赤い紅葉、黄色い銀杏の木が額縁の中に切り取られたように佇んでおり、近づくにつれその景色は大きくなり、その中に迎え入れられるような気がします。横山大観の「紅葉」(足立美術館)より良い(?)景色が、一時続きます。
〔※ 横山大観「紅葉」http://www.adachi-museum.or.jp/ja/index.html(足立美術館ホームページ)より 左上バナー「収蔵品のご紹介」から「横山大観」をご覧ください〕

例年より早く、氷雨が訪れました。一雨毎に冬が近寄ってきます。執務室内は肌寒く、来訪者への暖かい持て成しとはとても言えない環境がこれからしばらく続きます。
氷雨や秋霜の中に身を置く福島のこの季節、南国にはない環境です。「秋霜を以て自らを慎む」と言いますが、ときには、氷雨や秋霜の冷気に身も心も侵されてしまいます。

私は、組織の運営にあたっては、自分なりに良きcommunicatorならんと懸命に努力しているだけに、自分の目的や目指す方向、そしてその根拠が正確に伝わっていないことを知る時、虚しさが生じます。そんな時、組織の中枢と現場の意思疎通が齟齬なく行われるには、間に立つ人が重要になってきます。その人達にgreat communicatorになってもらう必要があります。
毎日顔を合わすことが可能な規模の組織とそうでない組織では、同じやり方をしていたのでは不充分なことを、この歳になり学びました。顔を合わせて話す、手紙を書く、そして情報の共有化を諮るだけでなく、もう一つ、大きな組織の円滑な運営には良き伝達者(great communicator)が必要です。

vol.52(http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=78)でも書きましたが、「人との関わりが人生」と認識している自分にとっては、自分と何らかの関わりができた人には、この組織に参加して良かったと思ってもらいたいという思いは断ち切れません。
一方で、憎まれるのは困りますが、嫌われるならそれはそれでやむを得ないとも思える程、人生を歩いてきました。出来たら、賛成か反対かは別として、組織運営上の方針や決定の背景にある理念に思い至って判断して欲しいというのが、正直なところ、あります。
「人間は誰かを友人と思わずに生きていけない」(ジェイムズ・ジラード「遅番記者」)は、やはり一面の真理のようです。

今回の花材は、執務室はこの時季定番ともいえるウメモドキです。自然の彩りが少なくなるこの時期、貴重な鮮やかさの演出家です。
秘書室はダリアです。以前程の人気はなくなりましたが、やはりこの時季、存在感充分です。


(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)

今週の花


【理事長室】
■ウメモドキ
モチノキ科/原産:日本/《名前の由来》葉の形が梅に似ている
ことから/5〜6月頃に小さな淡い紫色の花が咲く。花後5mmく
らいの果実が枝いっぱいに付き、9月ころに赤く熟す。花自体は
目立たず、主に果実を観賞するための樹木。実は持ちがよく真冬
まで楽しめる。
■ドラゴン柳
ヤナギ科/雲竜柳の変種。茎が黄〜赤茶色で、枝ぶりも雲竜柳
よりも太く変化に富む。くねくねした枝の形を利用して、ダイナミッ
クに活けたり、絡めたり丸めたりと、形を変えて利用できる。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/54_zoom1.jpg
(無断転載等はご遠慮ください)

【秘書室】
■ダリア
キク科/原産:メキシコ/江戸時代にオランダから渡来。品種が
とても豊富で世界で3万種以上といわれる。咲き方も多様で、一
重咲き・八重咲きの他、まんまるに咲く万重咲きやポンポン咲き
に、オーキッド咲きやカクタス咲きなど。一輪で存在感がありダイ
ナミックな花。直径が30cmを越す超巨大輪品種もある。今回使
用したダリアは白とオレンジの2色。

■アンスリューム(みどり)
サトイモ科/原産:中南米/エナメル質のような光沢と立体感の
ある形の花(苞)。花色、大きさなどバラエティに富み、1本でも存
在感がある。花ではなく苞を観賞しているので、非常に長く楽し
める。茎も傷み(腐り)にくく、こまめな水交換がなくても枯れにく
い。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/54_zoom2.jpg
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