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理事長室からの花だより

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理事長室からの花だより

2009.10.23

vol.51  − 野分 (のわけ) −

この時期、東北新幹線の車中は紅葉狩り(もみじがり)で北へ向かう引退した元気な方々で混んでいます。

今朝は、川に今年初めて朝霧が立つのを見ました。車には夜露が降りていました。
台風一過、鉄路の車窓からの田圃(たんぼ)の光景は、久し振りに野分という言葉が口を衝いて出ました。
刈り取りの終わっていなかった稲が、渦潮のように吹き倒されていました。丹精込めて育てた農家の方からは「他人の破れ傘」と非難されそうですが、この風景は私には「秋深し」をみたような思いがしました。庭にも小枝や葉が散り敷かれており、夜分の風の激しさを後追いで改めて感じました。
野分という言葉は古典文学によく登場しますが、我々の親の世代位で途絶えてしまったような気がします。美しい響きを持つ日本語の一つと思っているのですが…。

激動の時代、そして価値観が多様化している今、組織を運営するうえで全員賛成はあり得ません。
そして、迅速な意志決定が迫られている今という時代、コンセンサス主義はときに時機を逸し、結局、個人も組織も被る痛手は小さくありません。
今、求められているのは、「柔軟性」(良い意味での朝令暮改)です。それを担保するのが「責任」です。
「現代は密かな男の勇気というものが消え失せた時代だ」と曽野綾子氏に言われているようではダメです。

長谷川櫂の「国民的俳句百選」に、芭蕉の「蛤(はまぐり)のふたみに別行(わかれゆく)秋ぞ」という句が紹介されています。
この句の解説の中で、あるレストランでの焼き焦がした蛤が、殻が開かないまま出てくる料理の仕掛けが紹介されています。実は、私もこの不思議さに店の方に質問したことがありました。種明かしを聞けば、真にコロンブスの卵です。この本の面白さの一端は、このような解説の意外な展開にもあるような気がします。

この句が示すように、時は今、紅葉の時季です。そして冬の到来です。
私の友人にプロ志望だったというカメラの達人の科学者がいます。送って戴いた「Fall in Fukushima」というアルバムの中から1枚を紹介します。お楽しみ下さい。
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/51_kouyou.jpg

今週の花は、秘書室と執務室では対照的です。
早朝、戸を開けるとブルーを主体とした花が優しく迎えてくれます。
執務室に向かうと、鼓舞してくれるような勢いのある色と佇まいの花が待っています。


(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)

今週の花


【理事長室】
■UFOピーマン
ナス科/正式名称「カプシクム・バッカツム」/原産:南アメリカ/《名前の由来》実の形がUFOに似ていることから。/一枝にいくつも実がぶら下がり、UFOがゆらゆら飛んでいるような個性的な姿。トウガラシの仲間でハバネロ級の辛さ。
■ピンポン菊
キク科/ピンポン玉のように丸く咲く。花持ちの良い菊類の中でも、ピンポン菊は非常に長く楽しめる。今回は白と黄色の2種類を使用。
■モンステラ
サトイモ科/原産:熱帯アメリカ/《名前の由来》ラテン語のモンストラム(異常・怪物)に由来/深い切り込みや穴があいた大きな葉が特徴の蔓性植物。育てやすく鉢植えでも人気のある観葉植物。
※拡大写真http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/51_zoom1.jpg
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【秘書室】
■ブルースター(ピュアブルー)
ガガイモ科/原産:ブラジル/《名前の由来》淡い水色の5枚の花びらが星のように咲くことから/花びらはベルベットのような独特の質感。ピュアブルーは従来のブルースターよりも花びらが丸みを帯び、可愛く咲く品種。色違いでホワイトスター、ピンクスターもある。
■千日紅
ヒユ科/原産:熱帯アメリカ地方/《名前の由来》紅色が長く色褪せないことから/小花を密集した球状の頭状花序をつける。綺麗に花色が残り、ドライフラワーにしても楽しめる。
■ヒペリカム
オトギリソウ科/初夏に黄色い花が咲き、実を付ける。/実を観賞するためのものとして流通。実の色は赤、ピンク、白、グリーン、茶など多品種ある。今回使用しているヒペリカムは淡いピンク〜オレンジで実が大きく丸い品種。
※拡大写真http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/51_zoom2.jpg
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