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理事長室からの花だより

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理事長室からの花だより

2009.08.14

vol.42  − 夏 〜続〜 −

そろそろ咲いてもいいはずの庭のサルスベリ(百日紅)が、今年は沈黙を保ったままです。
天候が不順のせいでしょうか。それでも、栗の実が大きくなってきています。秋は着実に歩み寄ってきています。

先頃、海外出張の時に、高速道路の路傍のあちこちにキョウチクトウ(夾竹桃)、ユリ(百合)、そしてムクゲ(木槿)が咲き乱れていました。
帰国・出国する人、あるいは来日される人達に、これらの花々は良い印象を与えてくれたり想い出の一コマになったりしていて、これからも我が国の印象を良くし、多くの人の心に残っていくのではないでしょうか。
国のイメージを作るうえで、この景観は大切だと思いました。

一方、通勤路にはヒマワリを見ることが出来る今です。
「ヒマワリ」と聞くと、私の年代は、戦争のもたらした哀しい人間模様を描いたイタリア映画「ひまわり」を連想します。圧倒されるような、そして象徴的なヒマワリのシーンが鮮烈に脳裡に刻まれています。

様々な体験が積み重なっている「記憶」は、良くも悪くも、その後の生き方を変えてしまうような気がします。
人生は、「人間の生命(いのち)は[ひとつ]と数える暇もない(シェークスピア)」(岡村俊明:朝日選書より)、
そして「振り返ってみれば人の一生なんてあっけないもの(佐藤洋二郎)」
といわれている様に、一瞬の光芒です。
そんな短い人生の道々での人との関わりや出来事は、当然大きく影響しています。
只、それだからこそ、一人一人の人生が掛け替えのない価値を有しているのだと思います。

私は、夏の風物詩である花火を30年以上見ていません。
花火大会に出掛けていた時に父が発病して、間もなく亡くなってしまったからです。
知らせが届く直前、不思議にも、頭上で大輪の菊の如く開く尺玉を見ていて、嫌な感じをしたことが今でもはっきりと心に刻まれています。

同じようなことは、夾竹桃にも言えるようです。
広島に原爆が投下された時に、廃墟の中で夾竹桃だけが鮮やかに咲いていたそうです。
体験者は、今でもこの花に複雑な想いを抱いているというのを聞いたことがあります。

このようなことを考えると、人間の「一瞬の一生」も、出会いの積み重ねで形づくられていることを実感します。


(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)

今週の花


【理事長室】
■カラー(ホットショット)
サトイモ科 球根植物
原産:南アフリカ
《名前の由来》苞がYシャツの襟(カラー)に見えることから。
花のように見える部分は苞で、その中にある棒状の部分が
花序。ホットショットは黄〜橙のシックな色合いの品種。
■リューカデンドロン
ヤマモガシ科
原産:南アフリカ
《名前の由来》ギリシャ語で白(リューカ)と木(デンドロン)か
ら。
サファリサンセットなどの赤系色や今回のようなグリーン系
などあり。丈夫で長期間楽しめる花。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/42_zoom1.jpg
(無断転載等はご遠慮ください)

【秘書室】
■ドウダンツツジ
ツツジ科 落葉低木
原産:日本
新緑、花期、紅葉と一年を通して楽しめる樹木。4〜5月にスズラン
のような小さなベルに似た白い花を咲かせる。他、赤花の「ベニバナ
ドウダン」、縞模様の花が咲く「更紗ドウダン」もある。
■シンビジューム
ラン科
原産:東南アジア
寒さに強い冬の代表的な蘭花。非常に花持ちが良く、開花後1〜2
カ月楽しめる。切花としては通年流通する。
■ベアグラス
ユリ科
細い線状のグリーン。しなやかなので束ねたり丸めたり、カールさせ
たりと形を変えて楽しめる葉。
■パンパスグラス
イネ科 多年草
原産:ブラジル・アルゼンチン
和名「シロガネヨシ」
草丈は2〜3mになり、巨大な花穂をつける。白銀色のフワフワした
花穂が特徴。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/42_zoom2.jpg
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