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理事長室からの花だより

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理事長室からの花だより

2009.08.07

vol.41  − 夏 −

通勤の道端に、一方はネムノキ(合歓木)、他方にはトウカエデが植えてあり、今が盛りです。高木の為、視点によってはその良さがなかなか味わえないのが難点です。
それにしても国も粋なあしらいをするものです。病院の向かい側の土手には、黄色い花が可憐な姿をみせており、このところ毎朝楽しんでいます。この花は帰化植物で、害草として駆除されてしまうことが多いとのこと…。これらの知識は、大学の職員の方に調べて戴きました。こんな話をしたり書いたりしていると眉間の皺が一時、緩みます。

今年は久し振りの皆既日食でした。
忙しさに流され、全く気付きませんでした。自分の生涯で二度と見ることが出来ないと思うと、自然と比較しての人間の儚さを感じます。「振り返ってみれば、人の一生なんてあっけないもの(佐藤洋二郎)」ですね。我々の世代だと、割れた曇りガラスに蝋燭で煤を付けて、校庭で全校生徒が見学した経験を持っている筈です。

夏といえば、夕立です。子供の頃に味わった減り張りの効いた夕立は、最近はめっきり少なくなったように思うのは歳のせいでしょうか。あるいは感受性の低下でしょうか。
夕立ではいい漢詩があります。

 暑雨 涼初めて過ぎり
 高雲 薄くして未だ帰らず
 冷冷として 山溜遍く
 淅淅として 野風微かなり
 日気に晴虹断たれ
 霞光に 白鳥飛ぶ
 農人 乍ち相い見て
 歓笑しつつ 柴扉を款く 
(「漢詩一日一首〈夏〉」〔一海知義著〕から転載)
※なお、3行目「冷冷」の偏は「にすい」ではなく「さんずい」となります。

夏の暑さとその雰囲気を伝える絵といえば、久隅守景の納涼図屏風で誰も異論はないでしょう。
http://www.tnm.go.jp/jp/servlet/Con?pageId=E15&processId=00&colid=A11878&ref=&Q1=&Q2=&Q3=&Q4=&Q5=&F1=&F2= ・東京国立博物館所蔵)
夕涼みの雰囲気が暑さと一時の安らぎを伴って、視る者に直に伝わってきます。
この絵をみると、学生時代、扇風機もない下宿の畳の上で寝ていた頃を、暑さや汗の当時の感覚とともに想い出します。今から考えると、何と質素で健全(?)だったのでしょう。今の自分の夏の過ごし方を考えると別世界です。


(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)

今週の花


【理事長室】
■コガマ
ガマ科 多年草
日本全土に分布。
草丈は1mほどで、沼や池などの湿地に群生する。ガマ、コガ
マ、姫ガマの3種あり、vol.36の理事長室分で使用したものが
ガマ。コガマはガマを小型にしたもので、ガマに比べ草丈も短
く、花序も小さい。
■アンスリューム(ハニーグリーン)
サトイモ科 常緑多年草
原産:熱帯アメリカ
うちわのようにツヤツヤで大きな苞が特徴。暑さに強く、観賞
期間が長い。ハニーグリーンは黄味がかったライトグリーンの花
色。グリーン系の色は「ハニーライム」「ピスタチエ」「エメラルダ
ス」などあり。
■アルテシマ
クワ科 常緑高木
原産:インド ミャンマー
肉厚で20cm位の大きな葉。黄緑色の斑が入り、葉脈も美しく
人気のグリーン。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/41_zoom1.jpg
(無断転載等はご遠慮ください)

【秘書室】
■ススキ
イネ科 多年草
原産:中国 東アジア
別名「萱」「尾花」
秋の七草の一種。日本全国に分布し、日当たりの良い山野に自
生。冬期も枯れずに常緑のままの「常盤ススキ」もある。
■アンスリューム(ピンクシフォン)
理事長室分のハニーグリーンと同様。ピンクシフォンは花序、苞
ともにピンク色。ピンク系の色は「サマーピンク」「ローザ」「ソナタ」
などあり。
※拡大写真http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/41_zoom2.jpg
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