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理事長室からの花だより

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理事長室からの花だより

2009.07.24

vol.40  − 追想 −

この季節になると、隣家の木槿(ムクゲ)が毎年見事な花を咲かせます。
今年は見当たらず寂しい想いをしていました。今朝、通勤時に思いがけないところで木槿を見つけました。
懐かしい人に会ったようで、安心感が胸の裡に満ちてきました。

「いい思い出は残りの人生を豊かにする(佐藤洋二郎)」 真にその通りです!
患者さんからの手紙で、「靴音」に一時、想いを馳せました。
子供の頃、母は入退院を繰り返していました。その時に、そして元気になってからも、真夜中の病棟の廊下に響く看護師(当時は婦と呼んでいました)さんの靴音を、あのように靴音を響かせて歩きたいと、祈るように聞いていたそうです。
「靴音」は、母にとっては希望の光だったのです。

そんな経験から、卒後研修を終えて担当医として働くようになってからは、勤務中は革靴で通しています。音がうるさいとか機動性に欠けるとの批判があることは承知していたのですが、自分の原体験から、今に至っています。
そして今も、我々の何気ない言動が如何に患者さんに影響するかを思い知らされている日々です。

いよいよ夏本番です。
この季節になると何故か決まって実朝が想い出されます。
「源実朝」(吉本隆明著)の文庫版の奥付をみると、1990年の発刊でした。何故、実朝は多くの若者や文学者(小林秀雄、太宰治、杉本苑子など)を惹きつけるのでしょうか。箱根路での冬の海を詠った有名な遠・近景の2首を夏に想い出すのは、海と空の織りなす青と白の雄大な景色を連想させるからでしょう。
似たような風景が、ラナイ島(ハワイ)にあるゴルフ場のクラブハウスからみられます。この景色に魅せられて、ゴルフはしませんが繰り返し訪問してしまいました。
これらの歌は、透明な孤独感を感じさせます。
死を絶えず意識していた彼の人生がそう感じさせるのでしょうか。
あるいは、「今」という視点から彼の全生涯を知っている現代人だから、そう思うだけなのでしょうか。


(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)



今週の花


【理事長室】
■オンシジューム(ピュアイエロー)
ラン科
原産:中南米
《名前の由来》ギリシャ語でコブを意味するオ
ンコスが語源。花弁にコブのような隆起がある
ことから。
無数の蝶が舞い飛ぶような花姿で、バタフライ
オーキッドという別名をもつ。
華やかで花持ちも良い。
ピュアイエローは一般的なオンシジュームにあ
る茶色の斑点が入らない綺麗な花色。

■向日葵(レモンエクレア)
キク科 一年草
原産:北アメリカ
別名「サンフラワー」
《名前の由来》太陽を追うように花の向きがま
わることから。実際は花首の柔らかい若い時
期のみで、花が咲く頃には動かない。
夏の代表的な花で、キク科の中では最大級の
花と草丈となる。
レモンエクレアはレモン色の花弁で中心部が
チョコレート色の八重咲き種。

■テマリシモツケ(ディアボロ)
バラ科 落葉低木
コデマリに似た白い花を咲かせる。
花後に赤い実を付ける。(今回使用しているの
は実の状態)
紫色の葉が綺麗なことから紅葉コデマリ、紫
葉コデマリなどとも呼ぶ。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/401.jpg
(無断転載等はご遠慮ください)


【秘書室】
■ピンクリンドウ(妖精の夢)
リンドウ科 多年草
原産:南アフリカ
《名前の由来》根が薬になり、竜の胆のように苦いこと
から「竜胆」と書いてリンドウと読む。
リンドウは日中(明るい)開花し、夜(暗い)閉じる。
紫・青色が多いが、ピンクや白の品種もある。
「妖精の夢」は紫がかったピンクの花色。
「妖精の夢」よりも赤色が強く鮮やかな「天使の夢」もあ
る。

■ミシガンブルー
イソマツ科
仏花やドライフラワーで利用されるスターチスの交配種
(ハイブリッド(HB)スターチス)。
HBスターチスは品種も豊富で、洋花と合わせやすく人
気がある。
ミシガンブルーは発色の良い濃いブルー。
ドライにしても落花せず、長期間楽しめる。

■トルコギキョウ(ロジーナラベンダー)
リンドウ科 多年草
原産:北アメリカ
ロジーナシリーズは八重咲きの花型を限りなくバラの花
型に近づけた品種。
2005年のグッドデザイン賞受賞。
ロジーナラベンダーは淡い紫色。
他ロジーナブルー、ローズピンク、イエローなどあり。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/402.jpg
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