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理事長室からの花だより

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理事長室からの花だより

2009.05.19

vol.31  − 春雨 −

今、福島はフルーツ王国に相応しく、桃の花が終わり、リンゴが盛りを過ぎ、梨の花の季節です。この時期、雨は新緑に落ち着きと輝きを与えてくれます。
朝の通勤時、大学の周囲に植えられている八重桜の花弁が道路に舞い散り、雨に濡れてピンクの絨毯になっています。早朝、春の雨の中、患者さん達が構内の外に出て煙草を燻らせています。春の雨がそうさせるのか、私は微笑ましい風景と感じてしまいます(組織のトップとしては如何なものかと言われてしまいますが)。真に「少年のかくれ莨(たばこ)よ 春の雨(中村汀女)」、そのままです。
春の雨に優しさを感じるのは我が国だけでなく、杜甫も春雨の中でのしっとりとした夜の情感を歌っています。

私は、雨音が好きで、時々BGMとして「雨音」を流しています。学生時代には下宿(今はないのでしょうか)の二階の濡れ縁に座って、雨の音を長い時間聴いていました。今でも、車の屋根に当たる雨音を聴いて「いいですね」と言っては、タクシーの運転手さんに笑われています。

東京で勤務していた頃、パレスホテル(今は改修中)のトップフロアのラウンジから、雨の日に、お堀端の道路を走る車のテールライトの赤い灯が雨に濡れた道路に反射して長く尾を引いている光景を見るのが好きでした。雨が降っていて時間がある夜には、それを見るためにわざわざ出掛けたものです。上着を着用せず入店を断られたのも、今は懐かしい想い出です。

何れにしても、春の雨は人の心を優しくしてくれるように思います。
絵画でも、川合玉堂の「渓村春雨」や歌川広重の「土山(春の雨)」はその典型でしょう。


( 福島県立医科大学理事長 菊地臣一 )



今週の花


【理事長室】
■エピデンドラム
ラン科 非耐寒性常緑多年草
原産:中南米
《名前の由来》ギリシャ語で「上に」と「木」を意
味することから。本属が着生ランであることに
よる。
小さな花が集まって次々と咲き、半円状の一
つの花のように見える。
花色はピンクの他、黄色、オレンジ、白などあ
り。

■ステルンクーゲル
マツムシソウ科 一年草
原産:ヨーロッパ
《名前の由来》花姿からドイツ語で「星の球」の
意味。
前回、秘書室の花で使用したスカビオサの一
種。
ステルンクーゲルは花が終わり結実した状態
で流通する。
日持ちもよく、ドライフラワーにもなる。

■ムギ
イネ科 一年草
原産:西南アジア
コムギ、オオムギ、ライムギ、カラスムギの4
種。
切花として利用されるのは主にオオムギ。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/311.jpg
(無断転載等はご遠慮ください)

【秘書室】
■アンスリューム(エスメラルダ)
サトイモ科 常緑多年草
原産:中南米
造花と見間違うようなハート型で光沢のある苞が特徴。
花のように見えて観賞する部分は苞なので、とても長く楽しめる。
品種が豊富で一般的な赤やピンクの他、茶系の渋い色やグラデーシ
ョンになっているものや、絞り模様もある。
エスメラルダはさわやかなライムグリーン。

■ブルーレースフラワー
セリ科 一年草
原産:オーストラリア
別名:ディディスカス
小さな花をたくさんつけ、5cmほどの半てまり状の花姿。
茎や葉は柔毛に覆われている。
今回使用しているのはブルーレースフラワーのピンク色。

■フトイ(太藺)
カヤツリグサ科 多年草
原産:日本
《名前の由来》藺草(いぐさ)に似ていて、藺草より太いことから。
沼や池などの湿地に群生し、2mほどに成長する。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/312.jpg
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