HOME > 理事長室からの花だより

理事長室からの花だより

新着 30 件

一覧はこちらから

理事長室からの花だより

2009.03.25

vol.26  − 旅立ち −

この季節、大学は一年で最も忙しい時です。
関係職員が、入試、卒業式、そして入学式の準備とそれに関連する行事の準備に早朝から夜遅くまで、休日出勤までして対応している毎日です。
これらの行事の対象者は、成長して自らを顧みられる歳になった時に、滞りない行事遂行の蔭に存在する多くの関係者の御苦労に目を配れるようになってくれるよう期待します。
そして、機会があれば、さり気なく「お疲れ様です」、「お世話になります」、あるいは「大変ですね」の感謝や思い遣る一言を発せるようになったら立派です。
就業規則などを超越(逸脱)して働いている(せざるを得ない)人間は、その一言で報われるのです。

3月、大学の卒業式は、真に世間への旅立ちです。
卒業式は「過去の提示」と「未来の覚悟」を表明する場と言われています。
「卒業生が大学を出ていくことはあっても、卒業生の心の中から大学が出ていくことはない」のです。今まで出会った友や大学は愛せないが、これから出会うであろう人や組織を愛せるという人間は、その功利性ゆえにその人生は寂しいものとなってしまいます。
卒業生の諸君には、これからの人生航路での出会いを大切にして生きていって欲しいと、切に願っています。

今週は、こぶしの花が置かれています。
こぶしと言えば、若い時分は、三年に一度しか咲かない五島美術館の庭にあるこぶしの古木をよく見に行きました。(http://www.gotoh-museum.or.jp/kisetsu/kobushi.html
今も元気に花を咲かせているのでしょうか。
こぶしは北国の山里では春を告げる花で、日常生活に深く関わりのある花でもあります。古来から、多くの名歌があるのは、それだけ身近に感じられていたのでしょう。卒業式とこぶしは北国では深く結びついているように思います。

北国では、この歌は少し早い(最近はそうでもないのですが)、「桜の花ちりぢりにしも わかれ行く 遠きひとりと君もなりなむ(釈迢空)」が実感できます。
そう言えば、Jazzの春の名曲とされている「Spring is here」や「Willow,weep for me」は、何故かもの悲しいですね。何故でしょう。

卒業式での旅立ち、そのときには考えもしませんでしたが、今振り返ってみると、二度と会えない同級生の何と多いことか!


(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)

今週の花

【理事長室】
■アンスリューム(チョコ)
サトイモ科 常緑多年草
原産:中南米
《名前の由来》ギリシャ語のanthos(花)とoura(尾)の2語から。
肉穂花序が尾のようにみえることに由来する。
うちわのような花にみえる部分は苞で、棒の部分が花。
苞はツヤツヤで光沢があり、造花と見間違うような花姿が特徴。
花色も多く、苞の大きさもいろいろで品種が豊富。
熱帯原産の花なので寒さには弱いが、通常は花持ちが良い。

■モンステラ
サトイモ科 多年草
原産:熱帯アメリカ
《名前の由来》ラテン語のモンストラム(異常・怪物)に由来。
蔓性の植物で切り込みや穴のあいた大きな葉が特徴。
ハワイアンキルトなどのモチーフによく利用される。



【秘書室】
■コブシ(ベニコブシ)
モクレン科 落葉高木
別名:田打桜 原産:日本
《名前の由来》つぼみまたは果実の姿が子供の拳に似ていることから。
《別名の由来》開花時期を目安に農作業をしていたことから。
桜より一足先に咲いて春の訪れを告げる花。
葉が出る前に樹冠いっぱいに開花する姿は見事で、公園や庭木にも利用される。

■シンビジューム(タイニージュエル)
ラン科
原産:東南アジア
《名前の由来》ギリシャ語のcymbe(船)とeidos(形)から。
寒さに強い冬の代表的な蘭。
非常に花持ちが良く、開花後1〜2カ月楽しめる。
シンビジュームの鉢植えは、一般家庭でも管理しやすく、翌年も咲きやすいので人気。
タイニージュエルはライムグリーンのさわやかな花色。



(写真:伊藤俊一 氏)

▲TOPへ