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理事長室からの花だより

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理事長室からの花だより

2016.05.13

vol.364  − 関 (かかわる) −

皐月(さつき)、立夏となり、暦の上では夏です。5月の陽光で、風、そして若葉が光り輝いています。
「節(せち)は五月にしくはなし」(清少納言)です。
         (vol.173 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=207

連休が続くと、愛でる人の居ない花が可哀相なので、この連載も休みになります。

5月を代表する花は牡丹です。
豪華、今にも崩れそうな妖艶さ、しかも高貴、近づき難い花でもあります。

         牡丹花(ぼたんか)は咲き定まりて静かなり
         花の占めたる位置のたしかさ
                           木下利玄(きのした・りげん)

花の王者である様(さま)をうまく表現しています。
牡丹の位置づけは、中国でも古くから同じです。

         芍薬、君が与に近侍と為る  (しゃくやく、きみがためにきんじとなる)
                         羅隠(らいん)

芍薬は牡丹の家来です。

田圃(たんぼ)に目を遣れば、水が張られ、山野の景色が一変します。雨に煙る様はモノクロームの水墨画です。心の中にまで水が張られる感じがします。
散らでの山桜、新緑の里山に散在しています。これこそ、古来、人々が愛した風景です。

帰路、闇の中に家の灯(あかり)が“とも映り”、よくみると田圃の水に映る灯りです。
我が国を象徴する風景の昼と夜の場面です。

道傍(みちばた)や構内には、野生の藤の花や山法師(ヤマボウシ)、緑を背景に、淡々しい藤色と鮮やかな白が引き立ちます。

心に5月の風を吹かせたい時は映画です。
映画は人生の教科書です。
         (vol.353 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=393
映画を観ていると気付くことがあります。それは、酒が、ある状況の象徴だったり、何かの暗示の小道具として用いられていることです。そのうちのいくつかは記しました。
         (vol.310 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=349

良く登場するのはウイスキーです。海外の友人達と付き合っていると、ウイスキーが暮らしの身近にあることを実感します。
登場するウイスキーのグラスを手にした時、或いはボトルが画面に写し出された時、そこには監督の意図が明確に働いています。実際、その意図は成功していて、観る者に色々なことを考えさせます。

邦画の「ALWAYS三丁目の夕日」(2005)、サントリーの角瓶が居酒屋の棚に置かれています。当時の庶民の暮らしの空気感が見事に醸(かも)し出されていました。
日本のウイスキーの評価は、近年、高くなっています。内容は日本人には違和感を拭えませんが「ロスト・イン・トランスレーション」(2003)にサントリーの響(ひびき)17年が登場していました。

「波止場」(1954)ではアイリッシュ・ウイスキー、「ハスラー」(1961)ではバーボンウイスキーJ.T.S.ブラウン、「セント・オブ・ウーマン 夢の香り」(1992)ではテネシーウイスキーのジャックダニエルが名脇役として重要な伝言(メッセージ)を観客に発しています。

カクテルでは、小説「長いお別れ(レイモンド・チャンドラー)を映画にした「ロング・グッドバイ」(1973)でのギムレットです。「ギムレットには早すぎる」というセリフは余りにも有名です。
カクテルで最も人気のあるマティーニ、007シリーズで良く登場します。

シャンパンも重要な役を演じています。
「カサブランカ」(1942)、「君の瞳に乾杯(Heres looking at you, kid.)」の名セリフの場面は、マム・コルドン・ルージュです。
「プリティ・ウーマン」(1990)での甘口のシャンパン、ヴーヴ・クリコ・ポルダン・ドミ・セックとイチゴの組み合わせ、この映画が切っ掛けになり有名になりました。

酒は、古今東西、今も人間の良き友であり続けています。

5月7日(1840、天保10年)、時の持つ非情、孤独、静寂感が漂う、ドイツの風景画家C.D.フリードリヒが亡くなっています。享年65の生涯です。

今週の花材は、両室とも、新緑の象徴である緑が構成の主体です。


(福島県立医科大学理事長  菊地臣一)


今週の花


【理事長室】
■アリウム〔踊る丹頂〕   ユリ科/球根植物/ネギやニン
ニクと同じネギ属の花。茎をカットするとネギの匂いがする。
くねくねと曲がった茎は成長途中に手を加えたもの。
■キイチゴ   バラ科/半落葉低木/ラズベリーやブラック
ベリーなどの総称で木になるイチゴ。春にイチゴに似た小さ
な花が咲く。ヤツデのように切れ込みの深い葉をもつ。
■ギボウシ〔金星〕  ユリ科/多年草/斑入りやブルー系、
ライム系などの葉色が綺麗で観賞価値の高いグリーン。初
夏から秋にかけて花を咲かせる。花は寿命が短く1日でしぼ
むため、英名は「デイリリー」。
■スプレー菊〔フィーリンググリーン〕   キク科/多年草/
主茎から側枝を多数分岐し花を咲かせる菊。「フィーリング
グリーン」は真ん丸に開花するピンポン菊のスプレー咲。
■カーネーション   ナデシコ科/多年草/母の日に贈る花
として古くから親しまれる。複色「ノビオバーガンディ」 ノビオ
は紫やボルドーを基調とした覆輪が綺麗な品種。紫色「ムー
ンダストアクアブルー」ムーンダストは青いカーネーションとし
て有名な品種。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/3641.jpg

【秘書室】
■トルコギキョウ〔小夏グリーン〕   リンドウ科/多年草/花の大きさや咲き
方、色合いが多岐にわたり品種が豊富。祝事仏事を問わず人気の高い花。
「小夏」シリーズは小輪八重咲き品種。 「グリーン」の他「小夏オレンジ」や「小
夏ハニー」、「小夏プリンセス」等もある。
■利休草(リキュウソウ)  ビャクブ科/茎の先端が蔓状になるしなやかで涼
しげな葉。江戸時代に薬用として渡来。根にアルカロイド系の成分が含まれ、
駆除剤などに利用される。
■てまり草   ナデシコ科/多年草/茎や葉はカーネーションと同様で、花は
マリモや芝を思わせる独特の花姿。フサフサした部分は、花・雄しべ・雌しべ
がガク片のように変化したもの。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/3642.jpg

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