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理事長室からの花だより

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理事長室からの花だより

2009.01.19

vol.19  − 冬 −

先日、東京で散歩していたら路傍に霜柱をみつけました。子供の頃、通学の途中で水滞りに張った氷や霜柱を踏み付けて遊んでいたことを想い出しました。大先輩に聞くと、東京でも20〜30年前には、洗面器(下宿には必需品でした)に張った水が凍って逆さにしても落ちなかったということでした。
冬は、私に、早朝の霜柱、夜中の青白い月、そして雪を鮮やかに想い出させます。「しらしらと氷かがやき千鳥なく釧路の海の冬の月かな」(石川啄木)という有名な歌もこんな情景を表現しているのでしょうか。子供の頃は、背丈の関係か、一面の雪野原がとてつもなく広く、深く感じました。また、福島県の南会津に赴任していた頃は、夜半に降り頻る雪の澄みきった静寂さと早朝の一面の雪景色が自分の心に安寧や静謐さをもたらしてくれ、心身に落ち着きのない日々を何とか過ごすことができました。

雪の絵でこのような心象を表現しているのが、新潟県南魚沼市にあるTomioka White Museumでの富岡惣一郎の「信濃川・卯の木」です。近くに行ったら一度訪れるべき美術館だと思います。地方には、素晴らしい建物と目玉の作家ないしは作品が必ずあり、仕事の旅でも心を豊かにしてくれます。

私が今、福島で冬を実感するのは、車の前照灯です。毎朝6時12分に家を出ます。冬は、この時間だと車はライトを点けます。これを見ると冬の到来を感じます。ライトを消して走る事が増えると春の到来です。ちなみに、福島で日の出が最も遅いのは1月2日から9日にかけての6時54分です。一方、日の入りの最も早いのは去年の12月3日から10日の16時19分でした。これをみると、春が既に近寄っていることが分かります。そして、南国からは梅の開花が聞こえてきます。

富岡惣一郎
「信濃川・卯の木」
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/19_200006_sinano.jpg


(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)

今週の花


【理事長室】
■デンファレ(ラビア)
ラン科 多年草
正式名称:デンドロビュウム・ファレノプシス
《名前の由来》デンドロビュウム属の花で、花姿が胡蝶蘭(ファレノプシス)に似ているから。
       正式名称を略してデンファレが流通名となった。
ラビアは真っ白な品種。

■千両
センリョウ科 緑低木
原産:インド・日本・マレーシア
赤い実は不浄なものを清めるとされ、また千両という名前から縁起が良いことから。
お正月飾りにかかせない花(実)。
黄色の実を付ける黄千両もある。




【秘書室】
■ユリ(ロンバルディア)
ユリ科 球根植物
カサブランカと同様のオリエンタルハイブリッド種。
ロンバルディアは淡いピンクの花色。

■鉄砲ユリ
ユリ科 球根植物
原産:日本
花の形が筒状で横向きに咲き、鉄砲の形に似ているのが特徴。
上記、ロンバルディアとは別種のロンギフローラムハイブリッド種。
沖縄では自生種が群生している。

■大王松
マツ科
原産:北アメリカ
《名前の由来》 マツ属の中でもっとも長い葉をもつことから。
明治時代に渡来。
原産地では樹高が50mを超えるものもある。

■梅(白梅・寿梅)
バラ科
原産:中国
奈良時代に渡来。
万葉集や古今和歌集などで数多く歌われている花。
寿梅は長く伸びた新芽の部分で、真っ直ぐ伸びていることから縁起が良いとされている。

■千両
(※理事長室分コメントをご参照ください)




(写真:伊藤俊一 氏)

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