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理事長室からの花だより

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理事長室からの花だより

2008.12.27

vol.17  − 青春時代の音楽 −

残すところ僅かで年が暮れます。この歳になると、幾つもの断念と後悔を積み重ねて歳を取っていくのだというのを実感します。そして、人生はやり直すことなど出来ないという哀しみと、やり直したいという想いが交叉して、過去を懐かしく、美しく、感じてしまうのでしょう。小林秀雄が喝破したように「過去は動かないから美しい」というのも関係しているのかも知れません。

高校生の時代、汽車通学(当時はディーゼルカー)をしていた時に、時間潰しに襟章をコートで隠し、ジャズ喫茶でWalt Dickersonの「To my Queen」を聴いた時の驚きは今でも鮮やかです。クラシックでこれに相当するのは、FMラジオで聴いたPierre Monteuxのシベリウスの2番です。野球部の遠征の列車の中で聞き、放送局まで電話をして確かめました。ポピュラー音楽では「スウェーデンの城」でした。今でいうフュージョン音楽でしょうか。
後年、CDとなって出たMonteuxのシベリウスの2番とDickersonのTo my Queenを聴いた時、若き日の感動は得られませんでした。似たようなことは、子供の頃広いと思って遊んでいた路地が、大人になり再訪してみると、驚く程狭いと感じるのと一脈通じるような気がします。あるいは、自分の時間の積み重ねがそう感じさせるのでしょうか。

この季節、水仙が香りと姿で心に安らぎを与えてくれます。立原正秋が生涯愛した花です。越前海岸の野水仙、一度見たいものです。私は、李朝の大壺に数十本の水仙を投げ入れ、楽しんでいます。



(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)

今週の花


【理事長室】
■トルコギキョウ(キングオブフラッシュ)
リンドウ科 多年草
原産:北アメリカ
別名:ユーストマ
《別名の由来》 ギリシャ語のen(よい)とstoma(口)に由来。花
冠の形状にちなんで。

■プロテアコルダータ
ヤマモガシ科 常緑低木
《名前の由来》 ラテン語で心臓形の意味から。
肉厚で特有の質感の近年流通するようになった切り葉。
赤く色づくハート型の葉を3〜5枚付ける。
以前使用したキングプロテアやピンクッションと同属。


【秘書室】
■カラー(ウェディングマーチ)
サトイモ科 球根植物
原産:南アフリカ
別名:オランダカイウ
《別名の由来》 江戸時代末期にオランダから渡来した芋を意味
「阿蘭陀海芋」。
ウェディングマーチは白いカラーの代表的な品種。
品種名の通り、結婚式によく利用される人気の花。

■ムギ
イネ科 一年草
原産:西南アジア
コムギ・オオムギ・ライムギ・カラスムギの4種。
切花として利用されるのは主にオオムギ。
ドライフラワーとしても人気があり、リース等に利用される。

■水仙
ヒガンバナ科 球根植物
原産:地中海沿岸
別名:雪中花
平安末期に中国より渡来。
美しい花姿と強い芳香が特徴。
強健で手がかからず、花壇などにも人気がある。




(写真:伊藤俊一 氏)

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