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理事長室からの花だより

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理事長室からの花だより

2014.02.28

vol.259  − 省 (かえりみる ) −

寒気に支えられた夜空、凄絶(そうぜつ)と表現できる程の星、輝きの鋭さと数に立ち尽くしてしまいます。
ここ信夫の里では、溶けない雪に難儀しています。

毎日のように使っている新幹線、10分間位の余裕しかないのに、定時の4分前には車内清掃を終えてしまいます。乗客は僅かな時間で整然と乗り込み、定時に発車します。

大雪でも関係者の懸命な努力で動いています。
外国からの観光客の方々が交通の乱れで途方に暮れているのに心痛みます。

維新前後における訪日外国人が書き残した記述によれば、皆一様に、日本人の清潔さ、礼儀正しさを自分達にない(失った)、対極にあるモノとして称賛しています。

“道徳”の劣化が、論じられています。
本学の教員からも「自分達の時代には考えられなかった」との嘆きも聞かれます。あまり年齢の変わらない学生間でも同じような事を言うのには驚きました。

劣化しているのかどうかは別にして、挙措動作(きょそどうさ)、自分の皮膚感覚では、高度成長期(1950〜60年代)、バブル期(1980年代)、ゆとり教育の導入(2000年代)が節目だったと感じます。

只、少し俯瞰的にみると、我が国は、明治維新から始まり、第二次世界大戦を経て、価値観、生活様式、根底から揺さぶられ続けてきました。
そして今、コンピュータによる情報革命、国境を楽々と越える資本、そして金融と投資の融合と進化、技術革新に人間が随(つ)いていっていないというのが実態のような気がします。

夏目漱石や三島由紀夫は、自らの表現ややり方でその軋轢(あつれき)や苦悩を表現しています。
昔から変わらずに残っているのは、“どうぞお上がり下さい”と招き入れられて、“靴を脱ぐ”こと、そして床座(ゆかざ)でしょうか。

過去を振り返る機会がありました。
舗装されておらず、雨が降ればすぐぬかるみになってしまう道路、
下水道が整備されておらず、孑孑(ボウフラ)が湧いている路地裏の溝(どぶ)、
公共機関や医療機関の待合室の隅に置いてあった痰壷(たんつぼ)、
悪臭立ち込める学校の便所(トイレ)、
夏には蚊や蝿(ハエ)が飛び、天井から吊るしたハエ取り紙、
熱さから逃れる為に今では考えられないような薄着での戸外の夕涼み、
生活様式は勿論、社会基盤も劇的に変わってきていることが再認識できました。

巷間(こうかん)言われる、「昔は良かった」、その意味を考えさせられました。
事実、「何事も古き世のみぞ慕(した)わしき…」(徒然草 22段)と、先人も述べています。

時代と暮らしは切り離せません。
時の変わり様に応じて、個人も社会も、精一杯、その時に応じた作法を創り、適応しようと努めてきているのではないでしょうか。

只、伝説(神話)が作れない程に社会の変化が急激なこと(vol.244)、次の世代に何かを継いでいくには難しい都市化の進行など、個人が社会の変化に、時を置かずに、適応していくのが困難になっているのもその背景にあるのではないかと危惧しています。
   (vol.244  http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=281

これからも世間と個人との間で、社会と関係性、あるいは個の重視との折り合いの相克は続くでしょう。
日本人なら、我が国でしか実現できない形での、安心して、居心地の良い世間を作る筈です。

何故なら、我が国は、古来から様々な人や文化が極東の地に吹き溜まり、混じり合ってきた歴史を有しているからです。そして、生じた新しい何かに応じて、変わり、一言語、一国の文化圏を作ってきました。

こんな事を考えていると「過去は動かないから美しい」の箴言(しんげん)が響いてきます。
   (vol.17  http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=33

今週の花材、両部屋とも赤や黄が緑との対比で、早春の凛とした鮮やかさを際立たせています。


(福島県立医科大学理事長  菊地臣一)



今週の花


【理事長室】
■パフィオペディ〔シンディーグリーン〕  ラン科/《名前の由来》
ギリシャ語の“パフィア”(ヴィーナス)と“ペディロン”(サンダル・上
靴)の2語からで、“ヴィーナスのスリッパ”という意味。花びらの
一部が袋状になることに由来/名前の由来でもある袋状の唇弁
が印象的でユニークな花。「シンディーグリーン」は爽やかな緑色。
■アンスリュウム〔スパイス〕   サトイモ科/常緑多年草/光
沢があり造花と見間違うような花。花弁のように見える部分は苞
で、主に苞を鑑賞する。「スパイス」は赤と緑の複色。
■ピンポン菊   キク科/多年草/ピンポン玉のように真ん丸に
咲く。花持ちの良さと可愛らしさから祝用での利用が多い菊。
■オクラレルカ   アヤメ科/球根植物/アイリスの一種で紫色
の花が咲く。剣のように先が尖った長い葉をもち、生け花などで人
気の葉物。
■ルスカス〔丸葉ルスカス〕   ユリ科/艶やかで光沢のある深
緑色のグリーン。葉のように見える部分は小枝が変化した葉状茎
で、本来の葉は退化。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2591.jpg

【秘書室】
■ラナンキュラス〔レモン〕   キンポウゲ科/球根
植物/幾重にも重なる柔らかい花弁が特徴。花色は
淡〜濃色、複色など豊富。「レモン」は爽やかな淡い
黄色。
■アルストロメリア〔ゴメラ〕   ヒガンバナ科/球根
植物/一本の茎から5〜8本の花茎を伸ばし、それ
ぞれに花をつける。一つ一つの花はユリを小さくした
ような花姿。ほとんどの品種で入る花弁の斑が特徴。
■ヒペリカム   オトギリソウ科/半常緑低木/初
夏に黄色い花が咲く。主に花後の実を鑑賞するもの
として流通。実色は赤ピンク系を中心にグリーンや茶
色もある。
■ピンポン菊(理事長室と同花材)
■ユーカリ〔ポポラス〕   フトモモ科/常緑高木/
コアラの食べる木として有名。「ポポラス」は丸く大き
な葉が特徴。切り花で流通する品種はコアラの食用
種とは別。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2592.jpg

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