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理事長室からの花だより

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理事長室からの花だより

2013.08.02

vol.231  − 願 (ねがう) −

庭に梔子(クチナシ)や百日紅(サルスベリ)が咲き、雨上がり、白と緑、紅と緑の対比が雨に濡れて鮮やかです。鉄線(テッセン)の濃い紫は、夏の蒸し暑さの中、涼と粋を感じさせてくれます。
路傍(みちばた)には向日葵(ヒマワリ)もみられるようになりました。夏です。

土砂降りの雨、その後に続く青空だけは、昔の雨上がりと同じです。

         雲碧落(くもへきらく)に消えて天(てん)の膚解(はだへと)く
         風清漪(かぜせいい)を動(ゆる)かして水(みづ)の面皴(おもてしわ)めり
                                                   都(と)

梅雨の晴れ間、雲は青空の彼方に消え去り、まるで天の膚が解けてしまったようです。
風は細波(さざなみ)を起こし、水面が波立っています。この風景は、今も変わることがありません。

この時季の稲妻、雷の照らし出す高層ビルは「青写真」(今は死語?)に変貌(へんぼう)して、暫し、その妖(あや)しい美しさに見入ってしまいます。

         つんざきて雷鳴りわたる中空に
         ひとつの迷ひ切り捨てんとす
                          長沢美津

雷の作り出す風景をみていると、不思議と波立っている心も落ち着いてきます。

世の中、天気と同様に、己の力だけではどうにもならないものです。
矛盾や不条理の渦巻くなか、それを受け止めて生きていくのが人間です。それが人間を鍛え、成長させてくれます。花を生ける時、鋏を入れて枝振りを整えていくのと同じです。
我慢が出来ず、主張ばかりしていると、 “折り合い”が成り立ちません。

“夜汽車”の窓にみえる灯(あかり、ともしび)は、人を一時、詩人にしてくれます。

灯りをみる度に思い出すことがあります。それは、海外へ修業に出て目的地に着陸するときの気持ちです。
   (vol.24 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=41
   (vol.168 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=202
海外での修業時代のクリスマスシーズンの街や住宅地での光の装飾、通学での鉄路からの家々の灯り、
   (vol.50 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=75
   (vol.106 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=134
   (vol.160 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=194
雨の路面に滲むテールライトも脳裡に浮かびます。
   (vol.31 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=51

ゴッホの「夜のカフェテラス」、
   (vol.57 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=83
   (vol.177 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=211
ラトゥールや (vol.67 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=93
眦臾扈熟困里蹐Δ修の灯、(vol.16 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=32
チャップリンの「街の灯」、「ライムライト」、灯(あかり)は人間にとって、安息であり祈りです。
ヒトが人間として活動して以来、炎は生きていくうえで、そして明るさを得る手段として欠かせませんでした。
暖炉や囲炉裏(いろり)に人が惹かれるのは、遙か昔の記憶が今に繋がっているからではないでしょうか。
昔の闇の深さで、灯の持つ暖かさと明るさは、人間にとって希望そのものであったに違いありません。

7月29日(1868、慶應4年、明治元年)、最近ようやく悲劇的最後に光が当てられるようになった二本松少年隊、彼等が戦いに敗れた日です。
この二本松大壇口の戦い、当時、西軍隊長は、明治の名将と謳われた野津道貫(のづみちつら)です。彼は、この戦いを戊辰戦争最大の激戦であったと述懐しています。
そして、後に有名になった歌を作っています。

         うつ人もうたるる人もあわれなり
         ともにみくにの民とおもえば

今週の花材は、執務室での紫、秘書室の深紅は、夏の中、潔(いさぎ)良さを主張しているようです。


(福島県立医科大学理事長  菊地臣一)



今週の花


【理事長室】
■ミレット   イネ科/一年草/原産:西アメリカ/
耐暑性と乾燥に強く改良されたキビの仲間。
■リンドウ   リンドウ科/多年草/《名前の由来》
根が薬になり、竜の胆のように苦いことから“竜胆”
(りんどう)/日本の秋を代表する花で世界に約400
種。
■ワレモコウ   バラ科/多年草/茶色い実のよう
に見える部分が花序。日本全土の山野に自生し、開
花期は7〜10月頃。根はタンニンを含み、止血薬な
どに利用される。
■アランダ〔ノラブルー〕   ラン科/アラクニスとバ
ンダを交配した人工種。花持ちの良さと、他にない紫
色が魅力の蘭。
■ミスカンサス   ユリ科/白いラインの入ったしな
やかな細長い葉。耐寒性・耐陰性が強く、非常に丈
夫なグリーン。しなやかさを活かし、束ねたりカール
させたりといろんな使い方ができる。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2311.jpg



【秘書室】
■オクラ〔赤オクラ〕   アオイ科 /多年草・一年草/原産:アフリカ
/花後に先の尖った角のような果実を上向きにつける。実の表面は短
毛に覆われ、断面は丸みを帯びた星形。「赤オクラ」も茹でると緑色に
なる。
■ピンクッション〔タンゴ〕   ヤマモガシ科/常緑低木/《名前の由
来》針刺しに似た花姿から/針山に待ち針を刺したような独特な花姿。
待ち針のように見える一つ一つが雄しべ。
■テマリソウ   ナデシコ科/多年草/マリモや芝を連想させる個性
的な花。ふさふさした部分は、花・雄しべ・雌しべが変化したもの。
■モンステラ   サトイモ科/蔓性植物/成長するにつれ、葉に深い
切れ込みや穴があく。独特の葉形が面白く、モチーフとしても人気の熱
帯植物。
■アンスリュウム〔みどり〕   サトイモ科/常緑多年草/光沢があり
造花と見間違うような花。花弁のように見える部分は苞で、中心の棒
状が花序。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2312.jpg

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