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理事長室からの花だより

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2008.10.22

vol.11  − 紅葉 −

札幌への講演の機中で、山頂から山腹にかけての紅葉に、真に秋の錦をみたような想いがしました。

紅葉というと、私には長谷川等伯の「楓図襖」が脳裡に浮かびます。赤と緑で楓の紅葉を表現し、そこに白い木犀が配されています。端正な美の極致がここにあると勝手に私は思っています。と同時に、彼の「松林図屏風」の寂寥感も同時に眼前に浮かびます。
これら2つの作品の制作の間にあった長谷川等伯の人生の酷薄さを考えると、後者の絵の雰囲気に私はいつも一時浸されてしまいます。そして、この絵は私に立原正秋の詩集「光と風」にある「散り残りの」や「風の裂け目に」といった詩をも想い出させます。
事実、日本人が最も好きな絵が「松林図屏風」だということを聞くと、日本人の最も大切にしている美意識がどんなものか何となく分かるような気がします。

この絵からは、アート・ファーマーの奏でる哀感ある「風のささやき」、あるいはマイルス・デイビスのミュートトランペットによる「ベイジン・ストリート・ブルース」、クラシックならチャイコフスキーの「ある偉大な芸術家の思い出のために」が聞こえてくるような気がします。


(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)

※長谷川等伯「松林図屏風」はこちらです。
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/touhaku_web.jpg

今週の花


【理事長室】
■シンフォリカルポス(スカーレットパール)
スイカズラ科 落葉低木
和名:雪晃木 英名:スノーベリー
《名前の由来》ギリシャ語の「symphorein(ともに生ずる)」と「karpos (果実)」に由来し、果実が房状になっていることから
7〜9月頃に花が咲き、9〜10月頃に真珠のような実をつける。実の色はピンクと白がある。

■アマランサス(ハンギングレッド)
ヒユ科 一年草
別名:紐鶏頭
モコモコした毛糸の玉のような花穂が紐状に垂れる独特の花姿。別名の通りケイトウの仲間。色違いで緑色のハンギンググリーンもある。


【秘書室】
■アナスタシア(ライム)
キク科 多年草
花弁が花火のように広がる大きな菊。ライムはグリーンの花色で、他ピンク・ライラック・ブロンズ・黄・紫・白など色も豊富。通常の菊と違い、供花よりも祝花のアレンジなどに人気。

■トルコギキョウ(パレオシャンパン)
リンドウ科 多年草
黄色地に桃色の絞りが入る八重咲きの大輪種。2007年の新品種。

■ハラン(旭ハラン)
ユリ科 多年草
江戸時代から生け花の材料として利用されている。青々とした大きな葉で長持ちする。葉を丸めたり裂いたり、いろいろな使い方ができる。旭ハランは葉の先端に白い斑が入る。他、縦縞の斑が入るシマハラン、点々の斑が入るホシハランがある。

■紫稲
イネ科
観賞用に栽培されている紫色の穂の稲。
ドライにしても綺麗に色がのこり、生花、ドライフラワーともに人気がある。



(写真:伊藤俊一 氏)

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