HOME > 理事長室からの花だより

理事長室からの花だより

新着 30 件

一覧はこちらから

理事長室からの花だより

2013.04.05

vol.216  − 生 (いきる) −

雨、連翹(レンギョウ)、木瓜(ボケ)の黄色と紅が、庭に早春の華やぎを与えています。

4月、構内は、新たな人々が仲間に加わり、賑(にぎ)わいが戻ってきています。
本学がこの地に移転して25年、当時周囲に植えられた様々な種類の桜と雪柳は、今では一見の価値ありです。(vol.172 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=206

東京では桜が満開、夜半、小路(こみち)を急いでいて、何気なく上を見上げると、一面の桜が目に入りました。小さな寺の境内、一本の大木です。みる人もなく、闇の中、漆黒の空間を埋め尽くすように咲いている様(さま)は、妖(あや)しく、凄(すご)みさえ感じます。

         夜のさくら明かりとどかぬ一樹にて
         鬼神のごときその盛り花
                            齋藤 史

花見よりは、道すがら出会う道端の桜、遠くの山に佇(たたず)んでいる山桜に心惹かれます。
     (vol.24 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=41
     (vol.168 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=202
     (vol.175 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=209

会津の小さな病院を辞して、その後6年半、週1回手術に通い続けました。
その往復の道からみえる河岸のソメイヨシノ、山の木立の中の山桜、花弁(はなびら)が、河の上や木立の中を風に舞って流れていく風景は、胸の奥に今も息衝(づ)いています。

桜の下で静かに、一時(いっとき)、時間を気にせずに、心ゆくまで桜とその周りを包んでいる大気を愛(め)でてみたいものです。

桜の季節がくる度、今年こそ花を愛(いと)しみに出掛けよう、自らに言い聞かせています。あと何度みることが出来るだろうと思いながら…。忙しさに流されている自分が情け無い思いがします。
桜はいつも同じ時期に咲いて、散っていってしまう、そしてそれは一年に一度の一期一会、分かっているのに…。

         わきて見む老木(おいぎ)は花もあはれなり  今いくたびか春にあふべき
                                                   西行

本学が、東日本大震災とそれに伴う原発事故の対応で最前線に立って以来、2年という月日が積み重なりました。極限状態では、人間の聖と俗が剥き出しになります。それは、「夜と霧」(ヴィクトール・E・フランクル)などでよく知られています。
この度は、修羅の場での子供達の“勁さ”と“優しさ”、無名の人々の我が身を顧みない行動、そして自衛隊員などの決死の救援活動、今も榾火(ほだび)が、胸の奥で息衝いています。
一方、本学職員へのガソリン提供を巡る一連の騒動は、当事者の一人として、今も心の裡に波風が立ち続けています。いずれは、事実は事実として、記録に残しておくべきなのでしょう。

富山への日帰り、高志(こし)の国文学館にも足を運びました。
静かな環境の中、建物それ自体が見所の一つです。アプローチは、南青山の根津美術館に近いものを感じます。凝った展示で、和歌を天に飛ばし、歌の原風景を再現する「万葉とばし」、圧巻の大書架、楽しめました。心身ともに癒される空間です。

4月2日、連翹忌です。
     (vol.27 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=44
     (vol.71 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=97
福島では、今を盛りと咲いています。

今週の花材は、白と緑、黄と緑の組み合わせです。
花の姿形は、鐘を打ち鳴らして務めに励むように叫んでいるようです。


(福島県立医科大学理事長  菊地臣一)



今週の花


【理事長室】
■カンパニュラ   キキョウ科/原産:ヨーロッパ/《名
前の由来》ラテン語の「小さな鐘」を意味する語から/世
界に約300種あり、日本でも4種が自生。風鈴や鐘のよ
うな可愛らしい花が連なって咲く。
■アルストロメリア   ヒガンバナ科/球根植/原産:
南アメリカ/1本の茎から5〜8本の花茎を伸ばし、それ
ぞれに花が咲く。一つ一つの花はユリを小さくしたような
花姿で、花弁に入る独特の斑が特徴。
■アンスリュウム〔スパイス〕   サトイモ科/常緑多年
草/原産:熱帯アメリカ/光沢があり造花と見間違うよう
な花。花弁のように見える部分は苞で、棒状の部分が
花。「スパイス」は赤とグリーンの複色。
■ピンポン菊〔グリーンピンポン供諭  .ク科/多年草
/原産:オランダ/《名前の由来》ピンポン玉のように真
ん丸に咲く事から/日持ちの良い菊の中でも、とくに長く
鑑賞できる菊。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2161.jpg

【秘書室】
■カラー〔グリーンゴッデス〕   サトイモ科/球根植物/原産:南アフリ
カ/《名前の由来》花姿がYシャツの襟(カラー)に似ていることから/花
のように見える部分は苞で、その中に棒状の花序をもつ。「グリーンゴッ
デス」はグリーンと白のコントラストが綺麗な品種。
■エピデンドラム   ラン科/原産:中南米/《名前の由来》ギリシャ語
の“epi”(上に)と“dendoron”(木)から。本属が一般的に着生蘭である
ことから/細く伸びた茎の先端に小さな花が密集し、半円形のひとつの
花のように咲く。次々と開花し、切り花でも長期間楽しめる。
■LAユリ〔ダゼル〕   ユリ科/球根植物/《名前の由来》鉄砲百合(L
ongifrorum)とスカシユリ(Asiantic)を掛け合わせた品種/両種の長所
を持ち合わせた中輪咲のユリ。
■モンステラ   サトイモ科/蔓性植物/《名前の由来》ラテン語の“モ
ンストラム”(怪物・異常)から/成長するにつれ葉に深い切れ込みや穴
が開く。独特の葉姿が面白く、モチーフとしても人気の熱帯植物。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2162.jpg

▲TOPへ