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理事長室からの花だより

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理事長室からの花だより

2013.03.22

vol.214  − 餞 (はなむけ) −

寒風吹きすさぶ中、堰堤を散歩しました。太陽が、西の山頂の上にきた時、白黄金色に輝き出しました。
山の稜線も同じような色を発していました。風音や瀬音が大気を満たし、我が身が包まれているようでした。
陽が沈んで、戻りの道の先、東の山々の頂が、残り陽(び)で赤紫に輝いていました。
その間、誰にも会わず、自らを省(かえり)みる一時(ひととき)でした。

会津の地では、雪原と化していた田圃(たんぼ)、土肌が顕(あらわ)れ、所々に、水溜まりが出来ていました。遠くに飯豊(いいで)連峰が白銀を纏い、聳(そび)え立っており、神々しさを感じます。
水溜まりには白鳥達が集い、旅立ちの準備をしているのでしょうか、群れを成して、一点の雲もない青空の下を飛翔していました。

今週、学生達が旅立っていきました。
自分のその時はというと、世情のせいか、式の記憶が全く残っていません。恐らく、今の学生達も同じ歴史を辿るのでしょう。

今の立場では、一人でも良い、餞(はなむけ)の言葉の一片だけでも心に残ればと思います。
人生の道々で迷った時、その片言隻句(へんげんせっく)が役立ってくれればと、毎年、式辞の作成に呻吟(しんぎん)しています。

ひとは、身近にある大事なものには、それがなくなるまで、あるいは逆に満たされ始めまで気が付きません。
そして、古人が喝破(かっぱ)したように「ひとは歳をとって初めて、若い時に何があったのかを知る」のです。

若い人には、運命なんていう言葉で人生を決めて欲しくありません。
ひとは、歩みを進め、その結果が積み上がって運命となってゆくのですから。

学生の中には、「今まで出会った人や組織は愛せないが、これから出会う人や組織は愛せる」と広言する人がいます。悲しいことです。
有りのままを受け入れ、出会いの場では双方が、相手に敬意を払って、一つ一つを、誠実に、行うことが、「掛け替えのない出会い」をつくっていくのです。それだけは心に刻んで生きていって欲しいと思います。

日帰りでの宮崎、今回も県立美術館に足を運びました。農学部の跡地だけに、空間の拡がりは、それ自体が美です。この建物のデザイン(岡田新一)も一見の価値ありです。
美術館巡りには、静寂の中での所蔵作品の鑑賞も魅力ですが、美術館それ自体の鑑賞も楽しみの一つです。この建物、広い空間の中に岩(巌)を感じさせるデザインです。壁面は、第十一代三輪休雪(後に壽雪)の「鬼萩」を思わせます。
どこの美術館も外観は素晴らしいのは当然ですが、利用者にとって優しいかどうかも、もう一つの見所です。

コレクションの目玉は、やはりルネ・マグリットの「現実の感覚」と宮崎県出身の瑛久(えいきゅう)の作品群でしょうか。前者の不思議な浮遊感と空の青、後者の点描の集積は、幻想的です。
原田茂の「冬の午後 機廚麓分の高校生時代を想い出させてくれます。

今週の花材は、執務室は萌(も)える春、そして秘書室は稚気(ちき)のある春を思わせます。


(福島県立医科大学理事長  菊地臣一)



今週の花


【理事長室】
■スカシユリ〔モナ〕   ユリ科/球根植物/別名「アジア
ンティックハイブリッド」/《名前の由来》花びらの先端が広
く付け根部分が細くなり、透けることから/カサブランカ等
の大輪ユリに比べ、花が小さく香りもない。「モナ」は花付
のよい黄色品種。
■アンスリュウム〔プレジデント〕   サトイモ科/常緑多
年草/原産:熱帯アメリカ/光沢があり造花と見間違うよ
うな花。花弁のように見える部分は苞で、棒状の部分が
花。「プレジデント」はピンク×グリーンの個性的な色。
■モルセラ   シソ科/一年草/原産:シリア/ミントの
ような芳香がある。春に白っぽい花が咲く。花自体の鑑賞
価値はなく、花を包むような緑のガクを鑑賞する葉物として
流通。爽やかなライトグリーンと独特の茎のラインが特徴。
■モンステラ   サトイモ科/蔓性植物/《名前の由来》
ラテン語の“モンストラム”(怪物・異常)から/独特の葉姿
が面白く、モチーフとしても人気の熱帯植物。成長するに
つれ、深い切れ込みや穴があく。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2141.jpg

【秘書室】
■桜〔オカメザクラ〕   バラ科/落葉高木/古くから親しまれ
る春の代表樹。「オカメザクラ」は「マメザクラ」と「カンヒザクラ」
の雑種。薄紅色の一重咲きで早咲き種。
■アンスリュウム〔エッセンシア〕   (理事長室と同花材)
「エッセンシア」は爽やかグリーンの品種。冬は寒さの為、
赤みがかる。
■ラナンキュラス   キンポウゲ科/球根植物/原産:西アジ
ア・ヨーロッパ/《名前の由来》ラテン語の“蛙”(ラナ)に由来。
蛙がたくさん生息する湿地に自生することから/幾重にも重な
るやわらかい花弁が特徴。今回はオレンジ・クリーム・グリーン
を使用。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2142.jpg

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