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理事長室からの花だより

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理事長室からの花だより

2012.12.07

vol.200  − 貫 (つらぬく) −

12月、師走(しわす)です。
今が、1年で最も日の入りが早い時期です。年を追う毎に1年が短く感じます。

         年毎に少なくなりし思いする
         一年が三百六十五日
                            水野昌雄

早朝の大学への道、車がライトを点けて走っています。
冬です。

夜半、月の光が、車窓を通して白いシートカバーに投射し、車内が青白く光ります。
ピカソの青の時代のような色調です。このような光を浴びていることを意識したのは遥か昔です。
(vol.189 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=225

毎週の執筆、金曜日の掲載、200号、私のような凡人の唯一の能力である「愚直なる継続」の到達点の一つです。
4年前と今とでは、文字の量、文体も違ったものになっています。人生の四季のようです。

花だより、最初は、無味乾燥になりがちな大学のホームページを少し彩りのあるものにする目的で、「部屋の花」を紹介しましょうと担当者から誘われました。程なく、「文章も添えたら」ということで書き始めたのが切っ掛けです。大学へのアクセス数をなんとか増やしたいという思いから始めました。
振り返ってみて、自分の裡(うち)なる声と対話する機会を持つという一点だけでも、続けて良かったと思います。

心に花が持てず、索漠(さくばく)とした日々が続いている時、周りに花があると、心の細波(さざなみ)が和らぎます。

この間、本学は、「現代科学への挑戦」を受けました。
これも天命、歴史的使命と受け止め、今に至っています。世情、常識、既存の枠組みや制度との斗(たたか)いのなか、黙々と、時には泣きながら仕事をしている職員に感謝です。

この歳になって、「自分を鍛える機会」を与えられるとは思ってもいませんでした。
「組織とは」、「リーダーとは」、そして「リーダーシップとは」何かを考えさせられています。

曖昧な結論を許さない、様々な課題に日々相対していると、修業時代の哲学とは違って、「努力の目的は結果ではない、結果を求める過程にある」に思い至りました。

泉屋博古館(せんおくはくこかん)分館での開館10周年の企画、「中国絵画―住友コレクションの白眉―」展に足を運びました。
日本人の“理想の身の処し方”としての隠棲(いんせい)を、絵画という形にして表現しています。
この様式は、我が国では蕪村や池大雅、そして近くは夏目漱石や富岡鉄斎にまで繋がるように感じます。現代でも“憧れ”です。
私には、竹が風に吹かれ撓(しな)っている竹石図(馮可宗)、内藤湖南に贈られたという作者不詳の釣りをしている老人を描いた扇画(垂釣山水図扇面)に惹かれました。
遥か昔の中国や我が国で理想とされる生き方やそれを可視化した芸術が、キリスト教文明圏の人々からみたらどう受け止められるのでしょうか。

12月2日(1859)、スーラの誕生日です。
絵画の歴史に一大変革をもたらした彼は若くして亡くなっています(1891年3月29日)。

今週の花材は、色の乏しいこの時季、執務室、秘書室ともに慎ましげな華やぎを感じさせてくれます。


(福島県立医科大学理事長  菊地臣一)



今週の花


【理事長室】
■アロニア〔アルブディフォリア〕   バラ科/
落葉低木/花期は4〜5月頃で2cm程の白
い花が咲く。秋に実をつけ、食用としても利用
される。果実はビタミンCやポリフェノール、ア
ントシアニンを多く含む。「アルブディフォリア」
は赤実で、他に黒実と紫実をつける品種もあ
る。
■LAユリ〔カプレット〕   ユリ科/球根植物
/《名前の由来》鉄砲百合(Longifrorum)と
スカシユリ(Asiantic)の掛け合わせ。両種の
長所を持ち合わせた中輪咲のユリ。「カプレッ
ト」は落ち着いたピンク色。
■アンスリュウム   サトイモ科/常緑多年
草/艶やかで大きな苞が特徴の南国の花。
今回は3種使用。赤茶色−「キャスターノ」 ク
リーム−「アナスタシア」 グリーン−「ミドリ」。
■ヒバ〔シルバーダスト〕   ヒノキ科/常緑
高木/濃緑色に乳白色の斑が入る。葉色のコ
ントラストが綺麗な園芸品種。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2001.jpg

【秘書室】
■ダリア〔熱唱〕   キク科/多年草/世界で3万種以上もあ
り、品種がとても豊富。花径が3cmほどのものから30cm以上
になる巨大輪まである。「熱唱」は鮮やかな赤橙色。
■コチア   アカザ科/常緑低木/クリスマスツリーが雪を覆
ったような樹形。白銀色の多肉植物のように肉厚な葉が特徴。
■ピンポン菊   キク科/多年草/ピンポン玉のように真ん丸
に咲くかわいい菊。花持ちの良い菊の中でも、とくに長く楽しめ
る。
■モカラ〔サイアムゴールド〕   ラン科/バンダ・アラクニス・ア
スコケントルムの3種の蘭を交配した人工種。暑さにも強く非常
に花持ちが良い。
■ヤツデ〔フクリンヤツデ〕   ウコギ科/常緑低木/深い切れ
込みの入った艶のある大きな葉が特徴。花期は11〜12月頃
で、球状の花序をつけ、翌春に実が熟す。「フクリンヤツデ」は葉
の縁に白い斑が入る品種。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2002.jpg

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