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理事長室からの花だより

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理事長室からの花だより

2012.03.02

vol.163  − 夕暮れ −

例年にない寒気の厳しさ、それでも春はそこまで来ています。
車中に注ぐ日差しもそれを教えてくれます。車内の暖かさだけではない、何かで、人間(ヒト)はそれと知ります。

原発事故以降、暁や夕暮れ時の移ろいゆく風景に、より深く関心を持つようになりました。

列車のデッキに立っていた時です。
砂糖菓子のように白い吾妻小富士(秀麗な姿で、福島市のシンボルとして親しまれている山)の脇にある、山のなだらかな稜線が交差してできる凹みに太陽が沈んだところでした。
棚引いている雲が、余光で、金色(こんじき)に輝いていました。
時間にして1〜2分でしょうか。その後は穏やかな茜色(あかねいろ)の雲に戻りました。

日暮れ、駅のホームからみていると、街路灯が1つ、2つと灯り出します。ビルの壁や窓に弱々しい日差しが反射して、眼下にセピア色に染まった街が展開していました。
夕焼けに促されて目を転じると、山にかかった雲の陰から、光の帯が雲や天空を輝かせていました。空は、晩秋によくみられる紅(くれない)に近い朱に、そして薄い水色が天空の頂点に向かって拡がっていました。

         冬の日の夕べに見れば寒かりし
         空になごりの茜静けし
                             (臼井大翼)

名古屋へ行ってきました。
富士の山は、東北新幹線と東海道新幹線では全く異なる姿をみせてくれます。
東京寄りでは、富士は、鉄路からの距離が近いせいと、近景の丹沢山系で裾野が隠れています。そのうち、いきなり、中腹から山頂に掛けての白い山肌を曝します。“巨大”という印象です。

箱根のあたりでしょうか、線路傍(わき)に段々畑が迫ってきて、北に面しているところにはまだ雪が残っています。蜜柑(ミカン)が、所々、濃緑の葉の間に顔を出しています。

そうしているうちに、視界を遮るものがない中、海からのせり上がりを含めて、富士山が清冽、雄大な姿をみせてくれます。名古屋に近づくと、主役は南アルプスに変わります。

帰途、相模灘で久し振りに冬の“光る海”に出会うことが出来ました。
静謐(せいひつ)という言葉の残響が聞こえてきました。

2月26日は、2・26事件のあった日(1936)です。
私には文字で追体験することしかできませんが、あたら前途有為(ぜんとゆうい)な若者達を死に至らしめてしまった痛恨の事件です。関係者の一人は、本県、会津若松市の出身です。
私自身、いくつかを身近に伝聞してきました。政治や社会の有り様が、今と似ていると感じるのは私独りではないでしょう。

         濁流だ濁流だと叫び流れゆく末は泥土か夜明けか知らぬ
                                            (斎藤史)
“今”からこの歌を読むと暗示的です。

今週の花材は、執務室は花桃の登場です。白い花桃が構内にありますが、紅と黄、緑の組み合わせに華やぎを覚えます。
秘書室は、楚々とした白磁と花の組み合わせです。


(福島県立医科大学理事長  菊地臣一)


今週の花


【理事長室】
■花桃(ハナモモ)   バラ科/落葉小高木/原産:中国
/果物の桃が実る実桃(ミモモ)とは異なり、花を観賞する
ための園芸品種。花桃でも小さな実がなるが食べられな
い。ひな祭りに飾る花として昔から親しまれる。中国では桃
の木には体の中の悪いものを取り除く力があると考えら
れ、その考えが日本に伝わり、ひな祭りに飾るようになった
といわれる。
■雪柳   バラ科/落葉低木/原産:日本・中国/《名前
の由来》柳のように茎がしなやかに垂れ、花を散らした様子
が雪が降ったかのように見えることから/春に小さな白い
花を枝いっぱいに咲かせる。
■ブルビネラ   ユリ科/球根植物/原産:南アフリカ/
花茎を長く伸ばし、穂状花序(すいじょうかじょ)をつける。約
100輪の小さな星型の花が次々と開花する。黄色の他、
白やオレンジもある。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/1631.jpg
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【秘書室】
■フリージア〔ツインスノー〕   アヤメ科/球
根植物/原産:南アフリカ/明治中期に渡
来。甘い香りが特徴の春の花。「ツインスノー」
は八重咲きの白色品種。
■ディピダクス   ユリ科/球根植物/原
産:南アフリカ/別名「クリスタルリリー」。針の
ような茎の先端に3僂曚匹硫栂な花を咲か
せる。生長期には水草で、休眠期には乾いた
球根になる珍しい花。
■スィートピー〔スカイブルー〕   マメ科/一
年草/原産:イタリア/ひとつひとつの花が蝶
のような花姿で、甘い香りを放つ。チューリッ
プ、フリージアと同じく春の代表花。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/1632.jpg
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