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理事長室からの花だより

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理事長室からの花だより

2011.11.04

vol.147  − 惜秋 −

大気は澄み切り、全ての自然が和らかな陽光のもとに穏やかな表情をみせてくれています。
特に、夕暮れには都会や山間(やまあい)を問わず透明感が際立ちます。
通勤路の街路樹も葉を落とし始めています。代わりに山茶花(サザンカ)が楚々とした花を咲かせ始めました。構内の落ち葉を踏み分けて歩くとき、カサコソという音が苛立った心を静めてくれます。

         秋晴や  空にはたえず  遠白き
         雲の生れて  風ある日なり
                          (若山牧水)

週末の朝、飛行機で仕事に出掛ける前にエアロバイクで汗を流していました。遠くの長大な橋にふと目がいきました。
橋の上を多くの車が行き交っていました。目を凝らしても、車が大きいか小さいかの差だけで、“動く箱”にしかみえませんでした。今という時代を100年先からみると、余分な情報は削ぎ落とされ、“自動車”で括られてしまうという思いに駆られました。車の値段、デザイン、乗っている人の名や数など…。
時は、本質的なモノしか残してくれないのでは…。

上空に目を転じると、飛行機の離着陸の様子がみえます。
朝日や夕陽を浴びて急旋回している様は、模型飛行機のようです。あの機体の中に何百人という人々が乗っていますが見えません。これは、俯瞰(ふかん)の大切さを教えてくれているように思います。
これらの小さな発見は、時と視点の大切さを改めて私に教えてくれました。

         彼の(之)今を視(み)ること、亦由(なお)、今の(之)昔を視るがごとし
                                               (王義之)

そんなことを考えていると、日々の些末(さまつ)なことに心掻き乱され、それをストレスと感じて働いている自分が妙に小さく感じられました。
いつになったら本質だけを視(み)る目が持てるのでしょうか。

仕事で前橋に行ってきました。長らく行けなかったハラミュージアムアークに足を延ばしました。
「古今東西の美の融合」が、この美術館のコンセプトです。見晴らしの良い高台に、磯崎新(いそざき・あらた)による兵舎か酪農家の佇まいを思わせる茶色の建物、芝生の緑と相俟ってこれ自体が一見の価値ありです。増設された「觀海庵」(かんかいあん)を含めて貸し切り状態で、現代と古典の組み合わせの妙を楽しみました。

10月31日は、エゴン・シーレが亡くなった日です(1918)。
彼の自画像は勁(つよ)い線で描かれており、観る者に強い印象を与えます。この描き方は写楽の影響で、これによりクリムトの呪縛から独立できたようです(明石散人「ジェームス・ディーンの向こうに日本が観える」)。
改めて日本の浮世絵の西洋美術への影響の大きさを思い知らされます。

今週の花材は、執務室、秘書室ともに代表的な秋の木や花の赤でまとめています。


(福島県立医科大学理事長  菊地臣一)

今週の花


【理事長室】
■ウメモドキ   モチノキ科/原産:日本/
《名前の由来》葉の形が梅に似ていることから
/5〜6月頃に小さな淡紫色の花が咲く。花
後に5伉の実が枝いっぱいに付き、秋に真
っ赤に熟す。花自体はあまり目立たず、主に
実を観賞する樹木。実は冬まで楽しめる。
■ピンポン菊(グリーン)   キク科/多年草
/原産:オランダ/ピンポン玉のようにまん丸
に咲く可愛い菊。花持ちの良い菊の中でも、
特に長く楽しめる品種。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/1471.jpg
(無断転載等はご遠慮ください)

【秘書室】
■木瓜(ボケ)   バラ科/落葉低木/原産:中国/渡来当
初は薬木として利用され、明治大正になってから観賞されるよ
うになる。球形の実は果実酒や鎮痛剤として利用。庭木や盆
栽で人気があるが、切花でも長く楽しめる。
■アンスリューム(サファリ)   サトイモ科/常緑多年草/原
産:中南米/ツヤツヤの花(苞)と葉で、造花と見間違うような
花。花びらのように見える部分は苞で、中心の棒状の部分が
花(花序)。主に苞を観賞するため、非常に長く楽しめる。「サフ
ァリ」は赤茶色の苞に白い縞模様の入った個性的な品種。
■ヒペリカム(ココグランド)   オトギリソウ科/落葉低木/
原産:中国/花期は5〜7月頃で黄色い花が咲く。主に花後の
実を観賞するものとして流通。実の色は豊富で、赤・ピンク系を
はじめ、緑や茶色もある。「ココグランド」は茶色の大実で、通常
のものより丸い。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/1472.jpg
(無断転載等はご遠慮ください)

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