HOME > 理事長室からの花だより

理事長室からの花だより

新着 30 件

一覧はこちらから

理事長室からの花だより

2011.09.16

vol.140  − 初秋 −

日暮れが釣瓶落とし(つるべおとし)のように早くなっています。

週末の朝、エアロバイクを仕事前にと始めました。考え事をしながらの運動は、警告音が度々鳴りだす有り様です。
目を庭に転ずると、「しほれたる」紫陽花(アジサイ)が目に入ってきました。豊かな碧(みどり)の葉の中にわずかに残った花弁、その葉の上を高木樹の葉影が、波打つように揺らいでいました。

「花のしほれたらんこそ面白けれ。」(世阿弥「風姿花伝」)、を思い出しました。
葉影の揺らぎ、しほれたる花、いつの間にかいつもの運動に戻っていました。紫陽花を美しいと感じたのは初めてです。
  (vol.36 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=60

通勤路には、白い花を咲かせた七竈(ナナカマド)が、高速道の路肩には、色取り取りの木槿(ムクゲ)と芒(ススキ)が、初秋の抜けるような青空を背景に単調な車窓を動く画廊にしてくれています。
  (vol.97 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=125
萩(ハギ)や秋桜(コスモス)は、“時”の移ろいの確かさ、自然による豊かな表現の裏に潜んでいる冷厳さ、そして儚さについての黙示録です。

木の花である萩が七草に入っているのは、草々の花に似た可憐さ故でしょうか。
  (vol.94 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=120
旧(ふる)くから度々歌に採り上げられていて、如何に多くの人々に愛されていたかが分かります。

         夕方になびくや園の萩の花
         なほも今宵の月にかざさん
                          (良遏
こんな心境に到達出来ればと願っています。

室内では、ジンジャーの白と緑の対比、ダリアの赤紫の球形が、心に潤いを持たせてくれます。

北海道へ行ってきました。海の幸を畏友の案内で堪能しました。デザートとして出された生のホワイトコーンの甘さには驚きました。
厄介なことだらけの毎日、一時(いっとき)、心の平穏を取り戻すことができました。

随分昔、11月、恩師と札幌でふらりと立ち寄った居酒屋のホッケのおいしさ、この時の情景が脳裡に焼き付いています。心の残響の一つです。

「毎日、泥田の中を働かされている牛のようだ」と自嘲していたら、「ドアの把手に向かって、押されたり引かれたり、廻されたりするだけが人生ではないと言ってみたところで、分かってもらえないだろう」(ジョンダニング「幻の特装本」)というセリフが、ふっと脳裡を過ぎりました。

今年は9月12日が仲秋の名月です。子供の頃のような設え(しつらえ)は出来ませんが、
  (vol.7 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=13
独り、暫し月と雲の協演を楽しみました。
今年は、満月、最初は雲間から黄金色の姿で大きく現れ、天空に昇るにつれて白黄色、そして頂点では再び小さな黄金色に変わり、色と形の変化に興を感じました。

今週の花材は、初秋がテーマです。
執務室は涼やかで静かな秋を、秘書室は穏やかな秋の演出です。


(福島県立医科大学理事長  菊地臣一)

今週の花


【理事長室】
■縞ススキ   イネ科/多年草/縦に白色
の縞模様が入るススキ。他に葉の細い「イトス
スキ」や葉に斑の入る「タカノハススキ」もあ
る。
■グロリオサ(ピクシー)   ユリ科/球根植
物/原産:アフリカ・熱帯アジア/《名前の由
来》「栄光」や「見事な」を意味するラテン語の
“グラリオラス”から/赤系の花色が代表的
で、炎のような花姿と派手な色合いが特徴。
「ピクシー」は淡い黄色で花弁の真ん中に茶の
ラインが入る品種。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/1401.jpg
(無断転載等はご遠慮ください)

【秘書室】
■ススキ   イネ科/多年草/原産:中国・東アジア/秋の七草の
一種。日本全国に分布し、日当たりのよい山野に自生。冬期も枯れず
に常緑のまま越冬する「常盤ススキ」もある。
■ケイトウ(久留米ケイトウ)   ヒユ科/一年草/原産:熱帯アジア
/《名前の由来》花序
が鶏の鶏冠に似ていることから「鶏頭」/花序
が球状になる品種が「久留米ケイトウ」。他に「鶏冠(トサカ)ケイトウ」
や「紐ケイトウ」などある。
■アンスリュウム(チョコ)   サトイモ科/常緑多年草/原産:中南
米/ロウ細工のようなツヤがあり、造花と見間違うような花。花弁のよ
うに見える部分は苞で、中心の棒状が花序。苞を観賞するため、暑さ
にも強く非常に長く楽しめる。
■グリーントリュフ   ナデシコ科/多年草/原産:ヨーロッパ東南
部。ナデシコの一種で、マリモや芝を連想させる花。ふさふさした花の
部分は、花弁・雄しべ・雌しべが変化したもの。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/1402.jpg
(無断転載等はご遠慮ください)

▲TOPへ