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理事長室からの花だより

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理事長室からの花だより

2011.07.29

vol.134  − 残響 −

自然は時時刻刻と変化しています。今朝は久し振りの時鳥(ホトトギス)の鳴き声で目覚めました。
この時季、朝、帰宅時、梔子(クチナシ)の香りが送り出しと迎え入れをしてくれます。
雨上がりは、一層、際立ちます。
梔子との出会いは学生時代に遡ります。この時季、梔子へ言及してしまいます。
   (vol.35 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=55
   (vol.85 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=111
   (vol.86 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=112
   (vol.132 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=165

学生時代、鉢植えの小さな八重の梔子を買ったのが最初でした。しかし、それ以来の関わりは、今や、断片的にしか浮かんできません。

         口なしの花さくかたや  日にうとき
                                (蕪村)

衣更えをする度に、父や母から引き継いだ着物の縫い目がほつれているのが見つかります。洗い張りを繰り返していると、縫い目から限界がきます。丈が短いのも気にせず、着続けた着物も、幾つかは着納めです。
この時だけは「時」の重さを噛みしめています。

タヒチの国花が梔子の一種です。梔子は、名画「旅情」でも象徴的な場面で使われており、主題曲とともに思い出すことができます。

原発事故対応で共に闘っている関係者達と、一夜、絆を確かめ合いました。
玄関には大和桔梗と蒲(ガマ)をベトナムの素焼きの大壺に、部屋にはナナカマドと百合をジャワ島で作られたという大籠に投げ入れました。柱の一輪挿しには半夏生(ハンゲショウ)を活けてお迎えしました。

大学に課せられた新たな歴史的使命の礎だけは何としても造って、次の世代に引き継がなければということを決意しての日々、心身がもつか、何時まで持つか、時間との闘いです。
こんな時、「人間は誰かを友人と思わずには生きていけない」(ジェイムズ・ジラード「遅番記者」)を実感します。

7月29日はゴッホが自殺したとされている日です。
彼の絵や死をめぐっては、小林英樹氏や小林利延氏の著作により、不可解な点が指摘されています。英語版が刊行されれば大反響を巻き起こすでしょうに…。

ゴッホの後半生の傑作から受ける強烈な印象、同じような衝撃を別の作家から受けたことがあります。
それはルーチョ・フォンタナの空間概念シリーズの1枚です。
どこの美術館/美術展で目にしたかは定かでなくなってしまいました。赤いキャンパスをナイフで、一本、斜めに切り裂いただけの作品です。その後、一連の作品をみましたが、この単純明快な作品が最高傑作と信じています。
最初にこれを「芸術」にした独創性に脱帽です。

今週の花材は、執務室は落ち着いた情熱、秘書室は透明感のある明るさを感じさせてくれます。


(福島県立医科大学理事長  菊地臣一)

今週の花


【理事長室】
■オンシジュウム   ラン科/原産:中南米
/《名前の由来》ギリシャ語でコブを意味する
“オンコス”が語源。花弁にコブのような隆起が
あることから/無数の蝶が舞い飛ぶような花
姿。花弁に入る斑がオンシジュウムの特徴。
■ブラックベリー   バラ科/原産:北アメリ
カ/木苺の一種。4〜5月に開花し、7〜8月
頃に収穫。品種により直立性やほふく性があ
り、庭木や垣根として楽しめる。実は黒色と赤
紫色で、生食のほか、ジャムや果実酒などに
利用。
■ポニチャー   ショウガ科/原産:タイ/先
週秘書室で使用したクルクマの一種。ロウ細
工のような花で1ヵ月近く観賞できる。使用し
たオレンジの他、ピンクやホワイトもある。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/1341.jpg
(無断転載等はご遠慮ください)


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【秘書室】
■ヒマワリ(サンリッチパイン)   キク科/一年草/原産:北
アメリカ/夏の代表的な花。品種改良が進み、花色や大きさな
ど多種多様。
■リューカデンドロン(オータムサファリ)   ヤマモガシ科/原
産:南アフリカ/非常に花持ちが良く、ドライフラワーにもなる。
花弁のように見える部分は苞葉で、その中に花序がある。
■モンステラ   サトイモ科/多年草/原産:熱帯アメリカ/
《名前の由来》ラテン語のモンストラムに由来し異常や怪物の
意/大きな切れ込みや穴のあいた葉が特徴の蔓性植物。
■アンスリュウム(トロピカル)   サトイモ科/常緑多年草/
原産:中南米/花弁のように見える部分は仏炎苞で棒状の部
分が花。南国の原産の花なので暑さにも強く、苞を観賞してい
るため長期間楽しめる。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/1342.jpg
(無断転載等はご遠慮ください)


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