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理事長室からの花だより

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理事長室からの花だより

2011.07.22

vol.133  − 夏の月−

今は、ノウゼンカズラが鮮烈な色と高さで存在を主張しています。花も主役が交代し、「常ならず」です。

室内では向日葵(ヒマワリ)から英気をもらっています。ヒマワリといえば、映画「ひまわり」(vol.42)とヘンリー・マンシーニの哀切さを湛えた音楽は今も記憶に残っています。
  (vol.42 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=67
川端康成の戦後の代表作である「山の音」で象徴的に使われています。

東北も梅雨が明けました。
只、子供の頃に皮膚感覚で感じていた初夏の季節感は、一体、どこへ行ってしまったのでしょう。
激しい雨のお蔭で、空の薄青を背景に、白みがかった黄金色と丸い形で心に涼風を運んでくれます。

         涼しさのかたまりなれやよはの月
                                (貞室)

縁側で月を眺めていると、縁台に座って近所の人々と談笑していたことを、セピア色の写真をみるように思い出されます。

この4か月、原発事故に伴う人々の動揺、同時に、変化を続ける「時代」という潮流、そんな荒波を大学も乗り切らなければなりません。
しかし、時は、本学に課せられた事情を斟酌(しんしゃく)して猶予を与えてくれたりはしません。
二正面作戦を、ぶれずに、そして迅速に遂行しなければなりません。

学長職が2期目に入り、「情報の共有化」から「認識の共有化」への進化を掲げて動いています。
リーダーは、じっと歯を食い縛って立ち続けるしかない場面で、どれだけ耐えられるかが問われているのだと、この頃実感しています。
頼りは、信頼してくれている同僚や職員、友人、そして古巣の弟子の存在です。先日戴いた恩師からの手紙は、感情の爆発を辛うじて抑えてくれました。

今は、早朝、誰も居ない1号館、まず、今は亡きアート・ファーマーやルイス・ヴァン・ダイク・トリオの「おもいでの夏」を大きな音量で鳴らしています。大量の書類、メール、原稿、そして手紙を片付けたら抹茶を喫します。それから、MJQの「朝日のようにさわやかに」や「ヴァンドーム」を繰り返し聴いています。
お香、音楽、そして茶(抹茶や紅茶)は、私にとってはなくてはならない精神安定剤です。

原子炉の安定化作業もほぼ予定通りの進行、科学者の末席を汚している医師の一人としては、各国の機器、初めての組み合わせ、短期間でのシステム作り、これらの難題を克服してほぼ予定通り円滑に作動させた人々に“凄さ”を感じます。

今週の花材は、執務室の凜とした涼やかさを、秘書室は素朴な可憐さの演出です。


(福島県立医科大学理事長  菊地臣一)


今週の花


【理事長室】
■姫ガマ   ガマ科/多年草/日本全土の川辺や沼、池な
どの湿地に自生。草丈は1.5〜2mになり、菖蒲の葉を大型
にしたような線形。地下茎が泥の中を縦横にはしり、芽を出し
て繁殖する他、種子のついた綿毛が飛散する。花粉を乾燥さ
せたものが生薬で「蒲黄」(ほおう)。
■グリーントリュフ   ナデシコ科/多年草/原産:ヨーロッ
パ東南部/ナデシコの一種で、マリモや芝を連想させる花。
モコモコした部分は、花弁・雄しべ・雌しべが変化したもの。
■アンスリュウム(マキシマグラシオーサ)   サトイモ科/
常緑多年草/原産:中南米/花弁のように見える部分は仏
炎苞で棒状の部分が花。南国の原産の花なので暑さにも強
く、苞を観賞しているため長期間楽しめる。「マキシマグラシオ
ーサ」は爽やかなグリーン系の品種。
■ピンポン菊(ジェニーオレンジ)   キク科/多年草/原
産:オランダ/ピンポン玉のようにまん丸に咲く菊。花持ちの
よい菊の中でも特に長く楽しめる品種。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/1331.jpg
(無断転載等はご遠慮ください)

【秘書室】
■ルリ玉アザミ   キク科/多年草/原産:地中海沿岸・西アジア
/アザミに似た葉をつけ、茎の先端に小花の密集した球状花を咲か
せる。ハリネズミのようなユーモラスな花形と綺麗な青紫色が特徴。
■クルクマ(エメラルドパゴダ)   ショウガ科/球根植物/原産:熱
帯アジア/暑さに強く花持ちが良く、水中花としても楽しめる。幾重
にも重なり花弁のようにみえる部分は苞で、その中に小さな花が咲
く。
■ピンポン菊(ジェニーダークピンク)   (理事長室分花材解説をご
覧ください) ジェニーシリーズの色違い品種。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/1332.jpg
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