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理事長室からの花だより

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理事長室からの花だより

2011.04.22

vol.122  − 春愁 −

庭には、木蓮(モクレン)、辛夷(コブシ)、石楠花(シャクナゲ)、海棠(カイドウ)、沈丁花(ジンチョウゲ)、木瓜(ボケ)が、紫、白、赤と様々な色合いで咲き競っています。
構内には、桜の根本に植栽されている雪柳が城壁の白壁のような造形美をみせています。

この時季、田圃(たんぼ)に田起こしがされ、水が張られます。
福島では、表面が罅(ひび)割れした田圃が畑のように広がっていて、索寞(さくばく)とした風景です。
一方、再開通した新幹線の窓からみると、関東平野では水を張った田圃が出てきています。田圃に水が張られると、植えられた苗の動きで、風が吹き渡っていることを知ります。我が国の代表的な人間の作り上げた美しい風景の一つです。
  (vol.29 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=46
  (vol.79 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=105

         みちのくの小(ちひさ)き市(まち)を汽車が出づれば
         安達太良や吾妻の山は雪白く
         若き僂列糧(むぎばた)や雜木林や赤き躑躅(つつじ)や
         みな稚(わか)く色鮮(あたら)しく ―
         旅なれば何か愁(かな)しき
         やがて名も知らぬ川あり
         川の邊に小家(こいへ)三つ四つ(みつよつ)
         堤道(つつみぢ)を嫁ぎの群(むれ)の群て行く見ゆ
         新婦(にひづま)も包み持ちたり 父母も包み持ちたり
         山いくつ越えて行くらむ
         山いくつ彼方の村に 誰人(たれひと)と果てむ運命(さだめ)ぞ
         旅なれば何か愁しき ―
         轟々と四邊(あたり)とよもし山角を汽車は曲りぬ
                                田中克己「田中克己詩集」

このような自然と人間の営みが一体となった穏やかな情景が、一日も早く戻ってくることを願っています。

今、構内では無惨に枝を切り落とされた木蓮(vol.73、75)と歩道を挟んで辛夷が同時に花を咲かせています。
  (vol.73 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=99
  (vol.75 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=101
木蓮の花は、大振り、高雅で華やかさを持っています。その白さは艶(つや)のある白磁を思わせます。

         木蓮に白磁の如き日あるのみ
                                竹下しづの女(じょ)

白磁の白とは典雅な宋でしょうか、あるいは花曇りのような李朝でしょうか。

一方、辛夷は花も小さく、構内の木は幹も木蓮のそれに比べると細く、横にも広がらず、木蓮に遠慮してしおらしくしているようにみえます。
只、私は辛夷の飾らぬ穏やかさに惹かれます。この差は、カサブランカの豪華さとユリの清楚の対比を思わせます。どちらが良いかは、その時々の受け止める側の心象を反映してしまいます。
「白い花」が好きな私は、時間を見つけては、木蓮と辛夷の間にしばらく立ち続けているのが大学での密かな楽しみの一つだったのですが…。

今週の花材は、執務室は黄色、橙色そして緑の組み合わせが、気品のある穏やかな立ち姿をみせています。
秘書室は桜で、訪れる人を“春”で迎えてくれています。



(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)

今週の花


【理事長室】
■LAユリ(ロイヤルトリニティ)   
ユリ科/球根植物/《名前の由来》Longifror
um Asiatic Hybrid。鉄砲ユリ(Longifroru
m)とスカシユリ(Asiatic)の掛け合わせ/鉄
砲ユリとスカシユリの良いところを持つ品種。
中輪咲きでスカシユリよりも花持ちが良い。
「ロイヤルトリ二ティ」は綺麗なオレンジ色。
■オンシジュウム(ハニーエンジェル)   
ラン科/原産 :中南米/別名「バタフライオ
ーキッド」蝶が舞い飛んでいるような花姿。約4
00種が熱帯亜熱帯地域に分布する蘭。オン
シジュウムは花弁に斑点が入るのが特徴で、
他に茶、白、ピンクもある。「ハニーエンジェル」
は独特の斑点が入らない綺麗な黄色の品種。
■ハラン(旭ハラン)   
ユリ科/多年草/江戸時代から生け花の材
料として利用。青々とした大きな葉で日持ちす
る。「旭ハラン」は葉の先端に白い斑が入る。
他に縦縞の斑が入る「縞ハラン」、点々の斑が
入る「星ハラン」もある。

■ドラセナ(コーディラインカプチーノ)   
リュウゼツラン科/原産:熱帯アジア・熱帯アフリカ/日本で出
回る観葉植物の代表種。正式名称は“コルジリネ”だが、以前
ドラセナ属に分類されていたため“ドラセナ”の名で流通。「コー
ディラインカプチーノ」は赤黒色の葉で縁に白色が入る。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/1221.jpg
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【秘書室】
■紅吉野(ベニヨシノ)   バラ科/落葉高木/大輪の一重咲
き品種。濃桃色の花が鮮やかで、開花した姿はとても華やか。
開花は3〜4月で、一般的に知られる染井吉野(ソメイヨシノ)よ
り少し早く咲く。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/1222.jpg
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