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理事長室からの花だより

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2011.02.10

vol.112  − 春告 −

鉄路から梅の花がみえました。梅は春を告げる花です。大気は、日々肌に優しくなってきます。
梅を歌った有名な詩歌は数えきれない程あります。
ここは、北国の人で、北の人々の心情を知っている歌人の歌がその心情を良く表しています。
 
         白梅やひと日(ひ)南をあこがれぬ
                                      (石川啄木)
我が国では、
梅の歌といえば 菅原道真「東風(こち)吹かば にほいおこせよ梅の花 主なしとて 春な忘れそ」、
桜といえば 西行「願わくば花の下にて春死なん その望月の如月の頃」と頭の中に刷り込まれています。
ここからは私の勝手な推測です。菅原道真は、漢詩の名手としても知られていますが、彼に桜の詩歌はないのか、あるいは西行は梅の花の歌は歌わなかったのかという疑問です。
事実は、“NO”でした。少し本を繙く(ひもとく)と、我々も聞いたことのある歌が、それぞれにありました。
先入感や思い込みが思考を停止させることがあることを、教えてくれます。

私は、若い時、自分のライフワークの一つについて「腰痛をめぐる常識の嘘」(1994年)という本を出版しました。
動機は、“我々の常識は本当か”という問題提起でした。当時、“若造が何を”と叩かれもしました。15年以上、今も増刷が続けられています。有り難いことです。

いろいろ説がありますが、2月6日は豊臣秀吉の誕生日です。
彼は、昔から民衆の英雄です。只、晩年の行跡は、惚けとか老人の戯れ言(ざれごと)と否定的に語られています。ここにも、“常識”に是正を迫る本が随分出ています。
一つは、宮元健次「建築家秀吉 遺構から推理する戦術と建築・都市プラン」です。
この中で著者は、秀吉の建築、都市改造、そして土木工事の技術者としての独創性を指摘しています。
もう一つは、山室恭子「黄金太閤 夢を演じた天下びと」です。
ここでは、民衆の心に王者の姿を植え付ける為の周到な演出が浮き彫りにされています。これは、現代にも通じるイメージの演出ではないでしょうか。

車中でこんなことを考えながら書いていると、亡き恩師が、駆出しの私に「何故?」、「その根拠は?」と常に問い掛けて下さったことが蘇ってきます。
改めて恩師(マックナブ教授)に感謝です。

今週の花材は、執務室は早春の日(陽)溜まりを表し、秘書室は白磁の白を生かした緑と紫の対照の美です。


(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)

今週の花


【理事長室】
■シンビジュウム   ラン科/原産:東南ア
ジア/《名前の由来》ギリシャ語のKymbe
「舟」とEidos「形」から。唇弁の形がくぼんで
舟底の形に似ていることから/寒さに強い、冬
の代表的な蘭。非常に花持ちが良く、開花後
1〜2ヵ月楽しめる。
■スプレー菊(ロリポップパープル)   キク
科/多年草/スプレー咲きのピンポン菊。ロリ
ポップシリーズはダリアを小さくしたような花
姿。「ロリポップパープル」は鮮やかな赤紫
色。他に「ロリポップ」、「ロリポップレッド」もあ
る。
■ベアグラス   ユリ科/多年草/原産:北
アメリカ西部/細い線状のしなやかな葉。束
ねたり丸めたり、カールさせたりと色々なライン
を楽しめるグリーン。非常に丈夫で、現地では
籠を編む材料に使用。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/1121.jpg
(無断転載等はご遠慮ください)

【秘書室】
■フリージア(ブルーシー)   アヤメ科/球
根植物/原産:南アフリカ/《名前の由来》発
見者の親友の名前「フレーゼ」より/花茎に筒
状の花を8〜10輪つけ、次々と開花する。甘
い香りが特徴の春の花。「ブルーシー」は一重
咲きの藤色。
■グリーントリュフ   ナデシコ科/多年草/
原産:ヨーロッパ東南部/ナデシコの一種で、
マリモや芝生を思わせる花。モコモコした花の
部分は、花弁・雄しべ・雌しべが変化したも
の。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/1122.jpg
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