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理事長室からの花だより

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理事長室からの花だより

2011.01.21

vol.109  − 春待 (はるまち) −

一気に寒気が流れ込んできました。冬真っ只中という感じです。
只、今の福島は、私が大学に赴任した当時(1988年)と比べ、雪が全くと言っていい程ありません。
余りの寒さに、帰宅後の着物は、肌襦袢を重ね着しています。袷(あわせ)、長襦袢、肌襦袢と着膨れ状態です。

この時季、富士山の秀麗さは格別です。
上りの新幹線で大宮駅手前からみる富士は、右に丹沢山系や関東の山々が襞(ひだ)のように裾野(すその)を形成して、屏風絵をみるようです。

水仙を活け、香気と色の取り合わせの妙を楽しんでいます。
水仙への愛しさは、若い時にみた越前海岸の水仙が原点です。
  (vol.17 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=33
先日、都心の広場を通った時、水仙の群生が盛土の上に植えられているのをみました。
花は、文字通り、うつむいていて、身の置き所がないようにしょんぼりしているようにみえました。花を愛でて歩みを止める人も見当たりませんでした。
空間デザイナーの誤算か、あるいは美的感覚の無さか分かりませんが、水仙の人生(?)を考えると少々腹が立ちました。
水仙には、渚、海鳴り、そして潮の香りの取り合わせが似合います。
美しきモノは、そこに行って全体の雰囲気を愛でるべきであることを教えてくれています。伊豆半島や越前海岸は、対照的な背景という点でも水仙の双璧でしょうか。

         海鳴りに耳を澄ましているような
         水仙の花ひらくふるさと
                                      俵万智
水仙の群生を故郷としている人の歌は際立っています。

1月20日は、イタリア映画の巨匠、フェデリコ・フェリーニの誕生日です。
私が彼の名を知ったのは、映画「道」(1954年)の中で使われた音楽「ジェルソミーナ」(ニーノ・ロータ作曲)を通してです。
1950年代から1960年代にかけてのイタリア映画とバックに流れる音楽は、人生の哀歓、孤独、切なさ、“人生には、如何に努力してもどうすることもできないことがある”ことを若者に教えてくれました。
戦争で失った様々なモノやコトへの挽歌でもあったように思います。

レコード棚のEP盤(1分間45回転のレコード)をみると、当時のイタリア映画音楽の作曲家達、例えば「道」、「太陽がいっぱい」などのニーノ・ロータ、「鉄道員」、「刑事」などのカルロ・ルスティケリ、「砂上物語」、「堕落」などのジョヴァンニ・フスコなど、真に映画音楽の百科事典をみるようです。

今週の花材は、執務室は早春、秘書室は北欧の春到来を連想させてくれます。


(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)

今週の花


【理事長室】
■小豆柳   ヤナギ科/《名前の由来》冬芽
の色が小豆色であることから/行李柳に似た
日本自生種。芽の色とともに大きさも小豆に似
る。枝はよく分岐し、枝垂れず真っ直ぐのびる。
直線だけでなく矯(た)めて曲線も描けるので、
生け花に良く利用される。
■アルストロメリア(ロザリン)   ヒガンバナ
科/球根植物/原産:南アメリカ/《名前の由
来》スウェーデンの植物学者アルストレメール
の名より/南米に50種ほど分布。一本の茎か
ら花茎を伸ばし5〜8輪の花が咲く。一つ一つ
の花はユリを小さくしたような花姿。2番花も綺
麗に咲き、長期間楽しめる。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/1091.jpg
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【秘書室】
■アネモネ(モナリザ)   キンポウゲ科/球
根植物/原産:地中海沿岸/一茎に一花、大
輪の花をさかせ、別名「牡丹一華」(ボタンイチ
ゲ)、「花一華」(ハナイチゲ)とも呼ばれる。花
弁にみえる部分はガク片の集まり。チューリッ
プ同様、明るいと開花し暗いと閉じる。「モナリ
ザ」は大輪の一重咲き品種で花色が豊富。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/1092.jpg
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