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理事長室からの花だより

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理事長室からの花だより

2010.10.08

vol.95  − 思索の秋 −

朝、水道の水が冷たく感じます。福島の地でも秋が急速に深まりつつあります。
通勤路の街路樹、構内の栃の木(トチノキ)や欅(ケヤキ)、そして庭の桜も秋の装いを始めました。
あちこちの庭の金木犀(キンモクセイ)や高速道路沿いに植栽されている秋桜(コスモス)が、秋に香りと彩りを添えています。

天気も、抜けるような青空と秋雨が交互に訪れています。
早朝には、東の空には端が輝いている雲の合間に青空が、西の山嶺は麓まで厚い雲に覆われ、大学の周辺は朝靄という幻想的な風景が時々味わえるのがこの時季の福島盆地です。
         秋風、行きたい方へ行けるところまで
                                      (種田山頭火)
こんな気分になれるのもこの時季です。
仕事に追い立てられている人間にとって、自分が出来ないことをしている作者への願望が、彼の人気の秘密でしょうか。

ここ福島では、今、芋煮会が盛んに行われています。「行く秋」を惜しむかのように、一時、河原は人で賑わいます。
鉄路からの眺めも、今が一番色彩豊かな時季です。心の中に焼き付けようと目を車窓から外に向けたい心と、ブラインドを閉めて少しでも休みたい体とのせめぎ合いです。

この時季は、早朝、執務室の窓は開け放ちます。風を入れながら暫し「自分の仕事」をする時に、大きな音で音楽を流しておくのは、数少ない至福の時間です。
今日のCDラックをみると、ジャズは勿論ですが、ドヴォルザークが多いのに驚きます。音楽素人の私は、感傷、抒情、そして寂寥を伴う情熱を感じるドヴォルザーク、チャイコフスキー、ブラームス、シベリウスのCDを聴く機会が多くなってしまいます。クラシック音楽通の趣味人からみると莫迦にされそうですが…。
心に余裕が出来ると、会議用の大きなテーブルの前に座り、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第12番と第14番を楽しみます。

この早朝の勉強の中で、以前から支援して戴き尊敬している先生から送られてきた論文が、生物の生存や人間の生き方について、一時、考えさせてくれました。
薬剤耐性菌は、「寛大な精神」が菌に宿って、仲間の生き残りを助け、集団として耐性を付け生き残りを計っているというのです(Nature 467:82−85,2010)。
人類にこの英知と覚悟が備わっているのでしょうか。
我々日本人に対しては、我慢や犠牲の必要性や大切さを示唆しているメッセージになっているような気がします。

今週の花材は、執務室は気品のある粋、秘書室は落ち着いた静謐さを表現しています。


(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)

今週の花


【理事長室】
■UFOピーマン   ナス科/原産:南アメリ
カ/《名前の由来》実の形がUFOに似ている
ことから。正式名称は「カプシクム・バッカツ
ム」/一枝にいくつも実がぶら下がり、UFOが
ゆらゆら飛んでいるような個性的な姿。トウガ
ラシの仲間で、ハバネロ級の辛さ。
■ツルウメモドキ   ニシキギ科/原産:日
本・中国/《名前の由来》蔓性でウメモドキに
似ていることから/春に淡緑色の小さな花が
咲き、秋に実を付ける。実が熟すと皮が裂け、
赤橙色の実が現れる。花自体は目立たず、落
葉後の実姿が美しい。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/951.jpg
(無断転載等はご遠慮ください)

【秘書室】
■ブバルディア   アカネ科/常緑低木/原
産:中央アメリカ・メキシコ/《名前の由来》ルイ
13世の王国庭園長であり、植物学者のブバー
ルの名から/十字型の小さな花が集まって咲
く。花色は白の他、赤ピンク系で、八重咲きや
花が大きいもの、香りの強い品種などあり。
■ユーカリ(ポポラス)   フトモモ科/常緑高
木/原産:オーストラリア/オーストラリアを中
心に約600種分布。原産地では森林の4分の
3がユーカリ。園芸種は「ポポラス」の他、「グニ
ーユーカリ」や「丸葉ユーカリ」など。
■アンスリュウム(テラ)   サトイモ科/常緑
多年草/原産:中南米/ハート型で光沢のあ
る苞が特徴で、長く楽しめる。品種が豊富で一
般的な赤やピンクの他、グラデーションや絞り
模様もある。「テラ」は茶系のシックな色合い。
■シルバーブルニア   ブルニア科/原産:
南アフリカ/杉に似た針状の葉をつけ、よく分
枝して茎頂に球状の頭花をつける。秋からクリ
スマスにかけて流通。観賞期間が長く、ドライフ
ラワーにもなる。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/952.jpg
(無断転載等はご遠慮ください)

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