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理事長室からの花だより

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理事長室からの花だより

2010.07.16

vol.85  − 微睡み (まどろみ) −

先日、高速道路沿いに合歓木(ネムノキ)が両側の土手に植栽されているのに気付きました。
以前から木槿(ムクゲ)が植えられていたのは気付いていたのですが…。
無機的、そして機能に徹した高速道路への自然の寄り添い、道路公団(今は何と言うのか分かりません)の粋な環境整備に感謝です。
車による移動は、暫し(しばし)、静寂を自分にもたらしてくれます。もっとも、公用車でなく(本学には公用車はない)タクシーなので、物理的な静寂さというよりは、心の静寂ですが…。
そして、短時間の微睡(まどろ)み、その後に窓の外を流れる景色へ視線をやっていると、タイムマシンのように過去の情景が脳裡に蘇ってきます。

先日、そんな時に、車窓から山間部の畑に葉タバコをみつけました。しかも、先端がピンクの白い花をつけていました。
葉タバコの花は、子供の頃にみて以来でした。多くの同級生は、家が葉タバコを栽培している農家でした。
当時の故郷は、一大葉タバコ生産地でした。葉の乾燥や伸し(のし)作業で、友が眠そうにして毎日登校していたのを想い出します。時々友達の家に行って手伝いもしました。
都会の人は、喫煙者でも葉タバコの木や畑をみたことがないのではないかと思います。実際、知人に葉タバコ畑を教えると、一様に驚きます。

この時季の道路沿いには、そばの白い花が咲いています。畑の上を風が吹き抜けると、そばの花の動きは白い寄波(よせなみ)をみるようです。
庭には、胸の高さまである八重の梔子(クチナシ)がようやく咲き出しました。学生時代に求めた鉢植えの梔子がここまで育ってくれたかと思うと、その頃のことが胸を過ぎります。

仲間と会食した際、店のスタッフとの間でプロ意識を疑いたくなるようなやり取りがありました。我を忘れてかっとなり、嫌味を言ってしまいました。同席者は苦笑していました。私はというと、自己嫌悪に陥ってしまいました。やり過ごせない自分に情けない気持ちです。
「どんな人間も、それまでの人生によって形作られた自分を変えることは難しい」という警句を噛みしめています。
四回目の命日を迎えた母が、生前、最後まで、「幾つになっても角がとれない」、「開業も出来ない息子」と他人に嘆いていたこと想い出してしまいました。

今週の花材は、執務室は“雅”を、秘書室は“涼”の演出です。

(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)

今週の花


【理事長室】
■ルリ玉アザミ(ベッチーズブルー)   キク科/多年
草/原産:地中海沿岸・西アジア/《名前の由来》アザ
ミに似た葉で、瑠璃色の球状の花の様子から/茎の先
端に小花をつけ、4〜5cmの球状花になる。ハリネズミ
のようなユーモラスな花形と綺麗な青紫色が特徴。
■トルコギキョウ(セシルブルー)   リンドウ科/多年
草/原産:北アメリカ/《名前の由来》桔梗に似た紫色
と、トルコ人のターバンに似た花姿からという一説/比較
的暑さにも強く、花持ちが良い夏の花。花色、大きさ、咲
き方等豊富で多品種に及ぶ。「セシルブルー」は小輪タ
イプの一重咲きで濃い紫色。
■モンステラ   サトイモ科/多年草/原産:熱帯アメ
リカ/《名前の由来》ラテン語のモンストラム(異常・怪
物)に由来/切れ込みや穴があいた葉が特徴の蔓性植
物。今回のモンステラは葉径が50cm位ある一番大型
のものを使用。
※拡大写真http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/85_1.jpg
(無断転載等はご遠慮ください)

【秘書室】
■オンシジュウム(シャリーベイビー)   ラン
科/原産:中南米/《名前の由来》ギリシャ語
で“コブ”を意味するオンコスが語源。花弁にコ
ブのような隆起があることから/無数の蝶が
舞い飛ぶような花姿で「バタフライオーキッド」
という別名がある。「シャリーベイビー」は赤褐
色系のオンシジュウム。チョコレートのような甘
い芳香がある。
■ワイルドオーツ   イネ科/多年草/原
産:北アメリカ/ゆらゆらと風になびく小判型の
花穂が特徴。枯れても散らず、そのままドライ
フラワーで楽しめる。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/85_2.jpg
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