CT (Computed Tomography; コンピュータ断層撮影法)の技術発展により、心臓の栄養血管である冠状動脈の画像表示が可能となり、冠動脈病変の重症度や心形態の評価が可能となりました。この技術により、以前は心臓カテーテル検査のため入院しなければ評価できなかった冠動脈病変を、外来で非侵襲的に評価することが可能となり、狭心症を始めとする虚血性心疾患の早期診断に役立てることができます。 |
【冠動脈狭窄評価】
冠動脈CT検査では、心臓を立体表示し、冠動脈の狭窄を心臓カテーテル検査と同様に評価することが可能となります。下の例は左前下行枝という血管に狭窄を認めた狭心症の画像です。
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CTによる冠動脈造影 | カテーテルによる冠動脈造影 |
また、冠動脈に沈着しているプラークの分布、量を視覚的に把握することができます。 | |
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【心臓バイパス術後評価】
心臓バイパス術をおこなった血管においても、緑の矢印で示すように、バイパス血管が冠動脈と吻合している様子がわかり、術後の状態の評価が可能です。
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【検査の実際】
検査は、造影剤を投与するために点滴ラインを確保し、CT室に入室してから約20分で終了します。撮影の際には、脈拍を整える薬や冠血管拡張薬を使用し、良好な画像が得られるよう工夫します。検査終了後はそのまま帰宅していただき後日結果を外来にて説明します。
これまで当施設では、累計1600例以上の冠動脈CT検査を行っており、外来にて随時予約を受けています。 |
【注意点】
心拍数の変動が大きい場合 (不整脈)や冠動脈石灰化が強すぎる場合には、画像評価が困難な部位が生じる恐れがあり、他の検査での評価が必要となる場合があります。
以下の方は造影剤の使用が困難な場合があり検査ができない可能性があります。外来にて担当医師とご相談ください。
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文責:及川雅啓 |