心エコー検査は心臓の働きを超音波にてリアルタイムに観察する方法で、体表面心エコー検査と経食道心エコー検査の2種類があります。


 体表面心エコーは、検査を受ける方に苦痛を与えることがなく、合併症などの危険性を伴わない(被ばくの心配もありません)、非浸襲的な検査です。当科では、週3回(月、水、木)の予約で施行する定時の心エコー検査の他、緊急症例や手術前後の心機能評価などは、外来受診時に毎日、随時施行できる体制をとっております。従来の壁厚や心腔の計測、壁運動の評価、弁膜症の評価に加え、拡張能の評価、左房容量の計測、右心系の評価もルーチンで施行しており、入院の患者様の検査も含め、当科では心エコー室にて年間約4500件の心エコー検査を施行しており、循環器疾患の診断に不可欠な検査となっております。
僧帽弁閉鎖不全症、三尖弁閉鎖不全症 感染性心内膜炎
心アミロイドーシス 慢性血栓塞栓性肺高血圧症


 経食道心エコーは、超音波探触子を食道内に挿入して心臓を観察する検査で、体表面では評価困難な弁の性状や左房内の血栓などをより鮮明に評価が可能です。当科では、毎週2回(水、木)に行い、年間300件以上を施行しております。当院エコー室で使用している、経食道エコーの探触子は3Dエコーの表示が可能で、より詳細に弁や欠損孔等の観察が可能となりました。
僧帽弁逸脱症候群 大動脈弁狭窄症
左心耳血栓 左房内腫瘍(血管肉腫)
3D画像
僧帽弁逸脱症候群(僧帽弁後尖逸脱) 左心耳血栓
心房中隔欠損症 僧帽弁置換術後(機械弁)


 当院では心エコー室に4台の高性能心エコー装置を有しており、コントラスト心エコー、ストレイン、負荷心エコーも含めた心エコー検査を行っております。さらには救命センター/CCUに高性能心エコー装置と救急外来にポータブルエコー装置を有しており、病棟にはポータブル心エコー装置を有し、緊急検査対応が即座に可能な体制を組んでおります。
 2010年10月より当院に新たに超音波ファイリングシステムが導入され、心エコーの動画を電子カルテ上で閲覧可能となり、外来、病棟での診療、患者さんへの説明に役立っております。これらの心エコー所見は循環器内科・心臓血管外科の合同カンファランスにて提示され、治療方針の決定に重要な位置を占めております。また、主に弁形成術の手術に立ち会い、術中経食道エコー検査にて術中の弁の評価も行っております。当院の初期研修医は研修期間中に心エコー室でのエコー検査の研修が組み込まれており、心エコーの基礎から疾患ごとの心エコーによる観察方法などについて指導しております。
   



文責:小林淳