心臓MRI検査は、磁気を利用した画像診断法であり、放射線を用いずに心臓の形態、機能、性状を知ることができる検査です。当院ではMRI機器を用いて下記のような検査を行っております。

シネモード撮像:ある断面を多数の心時相にわたり繰り返し撮像して心臓の収縮・拡張機能を評価するものです。局所の心筋壁運動、拡張期壁厚、収縮期壁厚増加率、駆出率などの評価を行うことができます。
症例1)
心サルコイドーシス 心室中隔基部壁運動低下と
瘤状の変化を認める

心筋虚血評価:細胞外液に非特異的に分布する造影剤(ガドリニウム製剤)を使用し初回循環及び薬物負荷後の循環を評価します。心筋血流分布の評価、薬物負荷による心筋血流予備能の評価をすることで、狭心症などの虚血性心疾患診断に有効です。
アデノシン負荷心筋perfusion 安静心筋perfusion
症例2)狭心症  アデノシン負荷で左室前壁および、下壁の造影欠損を認める。

心筋障害評価:ガドリニウム造影剤を投与すると、約10分後に心筋細胞膜の障害部や組織浮腫部に造影剤が停滞するため、その分布を撮像することで、心筋障害部位を同定することができます。正常の心筋組織は黒く見えますが、遅延造影部位は、造影剤の影響で白色に見えます(矢印)。心筋梗塞や各種心筋症の重症度評価、心筋性状評価に役立てることができます。
サルコイドーシス
左室前壁に遅延造影を認める。
肥大型心筋症
隔と右室壁接合部に遅延造影を認める。
陳旧性心筋梗塞
左前下行枝の支配領域に遅延造影を認める。


 循環器内科外来にて検査を予約します。検査時間は1時間程度となります。検査内容によっては、ガドリニウムと呼ばれる造影剤を使用し、薬物による負荷を行う場合はアデノシンと呼ばれる薬を使用します。検査中は30秒から1分程度の息止めをお願いすることがあります。また食事は摂取いただいて結構です。
 以前はペースメーカーがあると、MRI撮影は行うことができませんでしたが、MRI対応のペースメーカーの場合は、機種によって心臓MRI撮影可能となります。過去の手術などで、磁気に反応する金属製物質が体内にある場合、撮影することができない場合があります。また、閉所恐怖症の方やガドリニウム造影剤アレルギーの方は原則禁忌となります。詳細は検査予約時にご説明いたします。


文責:及川雅啓