心臓病の診断において心臓カテーテル検査は非常に多くの情報を得られる有用な検査であります。虚血性心疾患に対する経皮的冠インターベンション術(PCI)や不整脈に対する高周波心筋焼灼術(RFCA)等を始めとした治療の分野においても、その有効性は確立したものとなっております。更に、医療技術の進歩によりカテーテルによる低浸襲治療が可能となり、その適応疾患の拡大、成績の向上が得られております。
 虚血性心疾患に関しては、当院の特色でもある核医学や冠動脈CT、心臓MRI等様々な診断方法による虚血診断の裏付けをもとに、心臓カテーテル検査を施行しております。更に、カテーテルの際には血管内エコー(IVUS)、光干渉断層撮影(OCT)、Flow wire、Pressure wire等の高度先進機器を用いた診断、治療を行っており、虚血性心疾患の病態解明に努力しております。また、高次救急部門の開設、ドクターヘリの導入等救急部門に積極的に取り組んでいく当院の方針を反映し、この数年間で救急症例数、心カテ症例数は激増しております。特に、狭心症や急性心筋梗塞等の虚血性心疾患に対するPCIに対しては積極的に取り組んでおります。急性冠症候群に対しては24時間体制で救急対応しており、緊急心臓カテーテル検査及び早期再還流を心がけております。'09年4月よりロータブレーター施設基準を取得することができました。高度石灰化病変のため治療に難渋していた方々への、治療範囲の拡大が期待されます。

 当科での冠動脈造影(CAG)数、PCI数、治療成績を示します。PCIの主流はステントになりましたが、薬物溶出性ステントの出現によりその傾向は更に強まりました。2013年に当院で行ったPCIの86%にステントを使用し、そのうち薬物溶出性ステントは84.2%にあたる170症例に使用いたしました。その他の手技としてはロータブレーターを11例に施行しました。PCI初期成功率は97.4%でした。PCIにおける合併症は穿刺部合併症が3例(1.4%)に生じましたが、いずれも対応できており、問題にはなりませんでした。




臨床研究
人を対象とする医学系研究に関する情報公開(RESET Ex)


文責:國井浩行