当科では薬物療法では改善を得られない方に対して、積極的に血管内治療を行っております。動脈は体中に張り巡らされており、全身どの部位にも動脈硬化病変が生じる危険性があります。その中でも特に大事な部位として足(下肢動脈)・腎臓(腎動脈)・腕(鎖骨下動脈)が主な治療対象部位となります。 |
1)下肢動脈 外腸骨動脈狭窄症例

足の動脈造影
矢印の部分に高度狭窄を認めます。 |

ステントという網構造の金属の筒で狭窄部位を拡張しています。 |

治療後の動脈造影。
狭窄部位は十分に拡張されています。
この方は治療後、歩行時の足の痛みが消失しました。 |
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2)下肢動脈 両側総腸骨動脈閉塞症例

足の動脈造影
右側には、矢印の部分に複数の高度狭窄を認めます。
左側は動脈が完全閉塞しています。 |

両側の足の付け根から、狭窄/閉塞部位に細いワイヤーを通過させます。 |

ステントという網構造の金属の筒を右側の狭窄部位と左の閉塞部位に留置しています。 |

治療後の動脈造影。
狭窄部位および閉塞部位は十分に拡張されています。
この方は治療後、歩行時の足の痛みが消失し、趣味の散歩が十分にできるようになりました。 |
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3)腎動脈

左腎動脈の造影所見です。
矢印の部分に高度狭窄を認めます。 |

ステントという網構造の金属の筒で狭窄部位を拡張しています。 |

治療後の動脈造影。
狭窄部位は十分に拡張されています。
この方は治療後、高血圧が改善し、腎機能も良くなりました。 |
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4)炭酸ガスを用いた造影
腎臓が悪い方でもカテーテルの検査、治療ができます!
カテーテル検査、治療を行う際には造影剤という薬剤を使用します。血管の形態、状態を確認しながら安全に行うためには必要な薬剤ですが、腎臓に負担をかけるため、腎機能が悪い方に使用すると、腎不全を合併する危険性があります。
当科では、腎機能が悪い方に対しては、一般的な造影剤の代わりに炭酸ガスを用いて造影を行い、腎機能の温存に心がけています。 |

通常の造影剤を用いた造影 |

炭酸ガス造影 |
通常の造影剤を用いた造影と比較すると、若干鮮明さが落ちますが、血管の狭窄や曲がり、太さなど形態的なものは評価できます。 |
当科における血管内治療件数の推移
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血管内治療は局所麻酔を用いて、2mm程度の太さのカテーテルを用いて行う手術です。 治療時間は、病変にもよりますが2〜3時間前後で終了します。2〜3泊の入院で治療を行うことができます。当院における初期成功率は95%程度となっています。
末梢動脈疾患による歩行時の足の痛みは、関節痛や神経痛等と間違われることも多く、 血管の病気であることに気づかず、整形外科にて治療を行っている方も多いようです。末梢動脈疾患は循環器内科で治療を行う疾患です。
足の痛みが改善しない方、足の冷えがひどい方、足の傷の治りが悪い方、足の色が悪い方等、お気軽にご相談ください。 |