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病院について

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病院長のあいさつ

福島県立医科大学 会津医療センター附属病院長 横山斉

2024年4月1日をもって会津医療センター附属病院長を拝命した横山斉(ひとし)です。

私は、福島県立医科大学心臓血管外科教授としての23年の任期を終え、このたび会津医療センターに赴任いたしました。まず、私が会津医療センター附属病院長を拝命するに至った経緯を申し上げます。

2000年初頭に臨床研修制度が開始され、従来卒業大学医学部にそのまま入局していた研修医が都会に流出するようになりました。そのため地方の医師不足が顕著となり、福島県も例外に漏れず奥会津の只見町唯一の医療施設である朝日診療所の医師が不在となる危機的状況がおとずれました。約3000人の町民の80%が医師確保の嘆願書に署名し福島県知事に陳情する事態となり、地方紙でも大きく報じられました。

その際、県から医大に大学の医師で対応できないかとの要請がありました。しかし、大学病院勤務医は元来高度専門医療の実践と研修を目的とする医師の集団であり、福島市から車で3時間かかる只見町に赴任を依頼することは困難です。そこで、医大病院執行部(当時、私は副病院長でした)で「玉突き支援方式」を県に提案しました。「玉突き方式」とは、大学病院から中間の病院に医師の支援を行い、その中間の病院からさらに遠隔地の病院を支援する仕組みです。まず非常勤の若手医師を対象に常勤の「地域医療支援助手」を 15名募集し、福島市から車で1時間の会津若松市の県立会津総合病院に週1回の医療応援を行います。応援を受けた県立会津総合病院の医師は、県立宮下病院に医療応援に行き、そして県立宮下病院の医師が只見町の朝日診療所に支援に行くという仕組みです。身分の不安定な大学病院の若手医師にもメリットがあり、地域医療の安定化にもつながります。この仕組みはこの後全県に拡大し、現在では100名を超える若手医師が福島県各地の医療支援にあたっています。

この福島県と医大の速やかな協力による「玉突き方式」で只見町の医療危機は避けられました。しかし時を経ずして地域医療支援の中核である県立会津総合病院と県立喜多方病院が共に施設老朽化と医師数の減少により累積赤字が巨額となり、福島県病院局から統合計画が提案されました(2004年)。単に統合し再び県立病院を作るのではなく、福島医大付属の大学病院(会津医療センター)とする再編案を医大から提起し、第三者委員会の議論を経て付属病院化が決定しました(2008年)。

会津医療センターは、大学付属病院としての必要条件である診療・教育・研究を3つの柱とし、関係機関との緊密な連携と活発な人材交流の下、地域医療支援の拠点として医療活動を展開するとともに、地域医療を支える医療人等の教育・育成を積極的に推進し、さらには全国のモデルとなり得る地域医療ネットワーク構築等に向けた社会活動を行うことを目的として設立されました。県立病院を統合し大学病院とする当時としては前例のないオンリーワンの組織です。その基本となる根本理念は以下のとおりでした:1)講座制として教授を全国公募して優秀な医師を獲得する、2)地域の民間病院と競合するのではなく、不採算であっても高度医療や地域に必要な医療を提供する補完的な公的役割を担う、3)広大な会津地域の地域医療支援の拠点となる。

私は20年前の会津医療センター企画構想段階から関与し、2013年には医大の地域医療担当理事としてその誕生を見守りました。今回、センター付属病院の運営を竹之下理事長から要請されたことは光栄でもあり、また重大な責任を感じている次第です。昨年、創立10周年を迎えた会津医療センターは、これまで順調に発展し福島県と日本の医療において確固たる地位を占めるまでになりました。今後とも、地域の声に真摯に耳を傾け、職員一丸となって更なる社会貢献を成しうる組織に成長発展してゆくよう努力してまいります。

2024年4月

福島県立医科大学 会津医療センター附属病院長

横山斉

病院長略歴

1983年3月 東北大学医学部卒業
1991年3月 東北大学大学院修了(医学博士)
1983年6月~1987年3月 国立水戸病院外科/麻酔科 研修医
1991年4月~1992年4月 東北大学医学部付属病院胸部外科 医員
1992年5月~1994年5月 青森県立中央病院心臓血管外科 副部長
1994年9月~1996年7月 Medical College of Pennsylvania / Hahnemann University
心臓胸部外科学講座研究員(上原生命科学記念財団海外留学奨学生)
1999年5月~2000年12月 東北大学医学部心臓血管外科学講座 講師
2001年1月~ 福島県立医科大学医学部心臓血管外科学講座 教授
2002年4月~ 同 臨床工学センター部長(医療機器安全管理責任者)(兼任)
2006年4月~2012年3月 同 副病院長(医療安全担当、総務担当)(兼任)
2012年4月~2014年3月 同 理事(企画・地域医療担当)(兼任)
2012年4月~2014年3月 同 産学官連携推進本部長(福島医療機器開発支援センター検討委員会)(兼任)
2012年4月~2014年3月 同 地域医療支援本部長(兼任)
2014年4月~2016年3月 同 理事長特別補佐(法人経営室)(兼任)
2015年3月~2018年3月 同 外科部門長(兼任)
2018年4月~2019年3月 同 心臓血管センター長(兼任)
2024年4月~ 福島県立医科大学 会津医療センター附属病院長

資格

  • 心臓血管外科専門医(心臓血管外科専門医修練施設群統括責任者)

学会活動

  • 日本心臓血管外科学会(第50回学術総会会長(2020年)、理事長(2018-24))
  • American Association for Thoracic Surgery (Member)
  • European Association for Cardiothoracic Surgery (Member)
  • American Heart Association (Fellow: FAHA)
  • Asian Society for Cardiovascular Surgery (Council Member)

学術誌

  • 日本心臓血管外科学会誌:編集委員長(2014-2016)

社会活動

  • 日本心臓血管外科総合研究所 所長(2023-現在)
  • National Clinical Database(NCD)副代表理事(2018-24)
  • 心臓血管外科専門医認定機構幹事 (2008-24)

地域活動

  • 福島県復興ビジョン検討委員会(2011)/福島県復興計画検討委員会(2012)
  • 福島県立病院改革プラン検討委員会:委員長(2013)
  • いわき共立病院新病院建設検討委員会 (2011)
  • 福島県循環器病対策推進協議会(2021-現在)

研究テーマ

  • 虚血性心疾患に関する心拍動下冠動脈バイパス手術の開発と安全な普及
  • 心臓血管外科修練におけるシミュレータトレーニングの開発
  • 地域医療構想実現のためのNational Clinical Database (NCD)利活用についての政策研究
  • 心臓血管救急医療における ICT を用いた医療情報連携
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