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病院について

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最先端内視鏡診断・治療センター

はじめに

消化器疾患の診断および治療において、内視鏡は重要な役割を果たしています。従来、外科手術などの侵襲的な処置をしなくてはならなかった病気に対しても、内視鏡を用いることにより、体の負担が少ない検査・治療を行うことがでるようになりました。福島県立医科大学会津医療センター附属病院の最先端内視鏡診断治療センターには、県内随一ともいえる最新の内視鏡機器が配備され、日本消化器内視鏡学会の指導医・専門医、専門内視鏡技師を中心とした数多くのスタッフが籍しております。また、吐血下血などの対処には緊急での内視鏡治療が不可欠ですが、当センターでは24時間対応で適切な内視鏡処置を行っております。

当センターでは、世界標準とされる基本的な内視鏡診断・治療に加えて、最先端の内視鏡機器を駆使した先進的な診断と治療も行うことで、全ての患者様に安全かつ確実、そして最高の内視鏡医療をご提供いたします。

最先端内視鏡診断・治療センターについて

当センターでの内視鏡診療に携わる診療科は、「消化器内科」と「小腸・大腸・肛門科」です。消化器内科では主として上部消化管・胆膵領域、小腸・大腸・肛門科では下部消化管領域の診療を行っていますが、同じ消化器病領域を扱う診療科として連携を取りながら高度医療の提供に努めています。一方、高齢化社会および地域医療を鑑みた適切な医療を提供する事も当院の大事な機能であることも十分に考慮した消化器内視鏡診療にあたっています。

また、当院は教育病院でもあり、日本消化器内視鏡学会指導医・専門医等の資格を有する6名が指導にあたっています。この様な環境の中、研修医は診療科を隔てる事なく広く消化器内視鏡診療を学んでいます。特に、当センターではアノテーションシステム(オリンパス社製)という、本邦でも当センターを含めて2施設にしか導入されていない教育システムが配備されています。これは、内視鏡モニター画面上に、直接文字や図を書き込むことができ、画像診断や治療において従来にない視覚的な指導ができる画期的なシステムです。

なお、内視鏡機器としては、オリンパス社、富士フィルム社、HOYA社製の最新内視鏡機器(経口・経鼻上部消化管内視鏡、大腸内視鏡、十二指腸内視鏡、胆道鏡、小腸バルーン内視鏡、超音波内視鏡、超音波細経プローブ、など)、また、その周辺機器を常備しており、最新の技術も含む現存するすべての内視鏡関連手技が施行可能となっております。

消化器内科

消化器内視鏡を軸とした幅広い消化器病全般の診療・研究を行っています。基本的には経口(もしくは経鼻)で施行するすべての内視鏡手技の施行が可能です。大都市圏の大きな医療機関に勝るとも劣らない最新の治療を提供できる環境が整備されておりますので、最新機器を用いた最先端の診療を提供しています。特に超音波内視鏡を用いた診断・治療や胆膵領域に対する内視鏡診療に関しては全国でも有数の施設と自負しております。

また、地域の病院や診療所の先生方との連携を重視し、ご紹介いただいた患者様に対して当院で精査加療を行った後には、またご紹介元の先生にフォローいただくシステムを構築、内視鏡診療を軸とした地域連携クリニカルパスの運用を図っています。

通常内視鏡観察

通常の経口/経鼻内視鏡は連日行っており、Narrow band imaging・拡大内視鏡やi-scan などの画像強調内視鏡も常時施行可能で、早期食道癌や胃癌などの診断に役立てています。

超音波内視鏡(EUS)による診断と治療

EUSは、胆膵疾患のみならず消化管疾患でも必要不可欠な診療機器です。特に予後不良とされている膵癌や胆道癌、さらには慢性膵炎の早期診断に高い有用性が認められています。当院では胆膵疾患や消化管粘膜下腫瘍、さらには縦隔・腹腔内のリンパ節腫大等の低侵襲的な診断法として多くの患者様に施行してきました。また、近年は経消化管的に消化管壁内や消化管外の病変の病理診断や治療を行う「EUS下穿刺吸引生検:EUS-FNA」が開発され、その高い有用性から徐々に普及して来ておりますが、まだ施行できる施設は限られています。当院には、本邦でもいち早く本手技を施行してきたスタッフが着任し、EUS-FNAや本法を応用したEUS下穿刺治療(胆管・膵嚢胞ドレナージ、神経叢ブロックなど)も行い、非常に高度な医療を提供しております。

内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)関連手技

近年は胆膵系の疾患が増加しています。内視鏡機器と技術の進歩により胆管結石の治療や閉塞性黄疸・胆管炎等に対する治療は積極的に行われるようになりました。当院でも最新の内視鏡機器を用いてERCP 関連手技を施行しております。また、近年増加している消化管術後の胆管結石等に対するバルーン内視鏡を用いた診断治療も積極的に行っています。そのほか、治療経口胆道鏡や経皮胆道鏡を用いた結石・癌の診断治療も必要に応じて行っています。

早期食道癌・胃癌治療

近年では、早期食道癌や胃癌治療としての内視鏡的粘膜下層剥離術/粘膜切除術が標準治療として定着しています。当院でもガイドライン内病変のみならず、いわゆる適応拡大病変に対しても、患者様に十分なインフォームドコンセントを得て内視鏡治療を行っております。これまでにも多くん患者様がこの治療で癌が治っています。早期に発見してしっかりと治療することで胃癌も治るのです。

食道胃静脈瘤治療

食道胃静脈瘤は肝硬変等に伴う消化管病変であり、ひとたび破裂すれば大量出血をきたし命に関わる重要な疾患です。適切な内視鏡治療により安全かつ効果的な治療できるわけですが、最近は静脈瘤の患者さんが若干減少してきていることも相まって、確実な治療を遂行できる施設が限られております。当院には食道胃静脈瘤治療を専門とするスタッフも常勤しており、緊急治療から予防治療まで広く対処可能となっています。

食道胃静脈瘤治療

上部消化管出血や急性胆管炎等に対しては、緊急内視鏡治療が第一選択の治療法となります。当院ではあらゆる緊急内視鏡施行が可能であり、上記疾患等の急性期に対する積極的な内視鏡治療を行っております。24時間受け入れ可能です。

その他

上記以外の内視鏡的治療手技(経皮的胃瘻増設、消化管異物除去など)も広く行っております。

小腸・大腸内科、大腸肛門外科

小腸・大腸・肛門疾患全般を網羅するように、診療・研究活動を行っています。大腸腫瘍の内視鏡診断・治療を最も得意としていますが、最近、増加傾向にある炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)の診断治療にも全力で取り組んでおります。小腸疾患の領域では、カプセル内視鏡・ダブルバルーン内視鏡を組み合わせた診療を行っています。小腸・大腸・肛門疾患では外科的処置を要することが少なくありませんが、外科との連携がよいことも当センターの特徴となっています。また、病診連携を重視し、紹介していただく診療所の先生方との連携に力を入れています。

通常大腸鏡検査

画像強調内視鏡(BLI/NBI)を備えた高画素内視鏡機器を全例で使用しています。精密検査では、画像強調観察(BLI/NBI・色素散布)・拡大観察を併用して、病変の表面微細構造を観察し、診断・治療に役立てています。新病院では、中央配管された炭酸ガス送気(炭酸ガスは空気の150倍、水に溶けやすいため、検査後の腹満感がすぐに軽減される)を全例で使用して、患者様の立場に立った医療を実践しています。術後癒着あるいは大腸過腸などのため全大腸の観察が困難である場合には、ダブルバルーン内視鏡を積極的に活用しています。ダブルバルーン内視鏡による大腸鏡では、盲腸到達率が向上するばかりでなく、大腸が過伸展されることがないため患者様の苦痛が少ないという利点もあります。このため、他施設から紹介を受けました大腸内視鏡挿入困難例でダブルバルーン内視鏡により検査を行っています。

カプセル内視鏡検査

最先端のカプセル内視鏡技術を提供するGIVEN 社のカプセル内視鏡システム(RAPID)を導入しています。最近、カプセル内視鏡検査の保険適応が拡大され、原因不明の消化管出血だけでなく、小腸疾患が疑われる例でも検査を行うことができるようになりました。検査当日の朝、絶食で来院し、カプセル内視鏡(PillCam SB2plus)を飲んでいただければ、約8時間、カプセル内視鏡から送付された画像データを記録することができます。検査中に帰宅し、仕事をしたり、食事を摂取することもできます。2014年1月に大腸疾患のスクリーニング検査としても保険収載されました。当センターでも2014年中に大腸カプセルを導入し、積極的に取り組む予定です。大腸カプセル検査をご希望の方は、小腸大腸肛門科の外来でご相談ください。

ダブルバルーン小腸鏡検査

活動性の小腸出血を疑う例、小腸の狭窄性病変が疑われる例では、ダブルバルーン小腸鏡検査を第一選択の検査としています。挿入ルートを消化管CT検査により決定し、経口的あるいは経肛門的に検査を行っています。全小腸の観察が必要な場合は、まず経肛門的にダブルバルーン小腸鏡検査を行い、最大到達点に点墨し、その後、経口的に点墨部まで観察しています。

大腸腫瘍に対する粘膜下層剥離術(ESD)

先進医療として実施していましたが、昨年4月に、保険診療として認められました。大腸ESD とは、2cm以上の大きな大腸腫瘍を内視鏡的に一括切除する方法です。ESDでは、一つの切片として切除されますので、正確な組織診断が可能であること、切除後の局所再発率が少ないこと、などの大きな利点があります。当センター(前身の県立会津総合病院での例を含む)においては、過去3 年間に40例以上の大腸ESDを行ってきましたが、合併症のため外科手術が必要となった患者様は1例(2.5%)でした。

デジタル肛門鏡検査

通常の肛門鏡検査では、観察した画像を保存・管理することが困難でしたが、当院で導入しているデジタル肛門鏡システムでは、これが可能となりましました。このため、前回の所見との直接比較が容易となり、診療の幅が拡大しています。例えば、当院で導入したALTA療法(内痔核に対する注射療法)後の患者様では、治療前後の計時的変化を容易に比較することができるようになりました。また、本システムは研究面での活用も期待されています。

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