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研究成果情報・学会等表彰 (学会等表彰)

第5回日本統合失調症学会 学術賞 〔平成26年3月〕

「統合失調症死後脳内の網羅的及び標的指向的タンパク質発現解析」





國井 泰人
( くにい・やすと )

福島県立医科大学
医学部 神経精神医学講座
講師

研究グループ

  • 福島県立医科大学 医学部 神経精神医学講座   
      國井泰人、日野瑞城、松本純弥、和田明、矢部博興
  • 熊本大学大学院生命科学研究部 薬学微生物学分野  大槻純男
  • 東北大学大学院薬学研究科 医療薬学講座 薬物送達学分野  瀧澤陽平
  • 医療法人さわらび会 福祉村病院 長寿医学研究所  赤津裕康、橋詰良夫、山本孝之
  • 浜松医科大学 医学部 解剖学講座 細胞生物学分野  瀬藤光利、寺崎哲也
  • 福島県立医科大学 会津医療センター 精神医学講座  丹羽真一

今回の受賞について

【日本統合失調症学会学術賞】
日本統合失調症学会学術賞は、医療機関、大学、研究機関等に所属し、統合失調症の診療、教育、研究に携わる医学・医療関係者であること等を応募資格として、毎年度、日本統合失調症学会において、学術賞 (最優秀賞1名、優秀賞2名)と一般演題賞(優秀賞・奨励賞 各若干名)を選定するものです。
このたび、國井泰人医師らの研究グループが東北の医師では初となる優秀賞を受賞しました。

〔関連サイト〕 
日本統合失調症学会HP(http://www.c-linkage.co.jp/jssr9)
 

 受賞研究概要

(1)目的:
死後脳を用いた統合失調症研究ではmRNA発現レベルでの網羅的解析は多数行われている。
タンパク質の質的量的な存在状態はmRNA発現量よりも生体の機能を直接に反映していることから、統合失調症の病態を考える上でタンパク質の網羅的な発現解析はより重要であるが、その報告はまだ少なくまた日本人の死後脳を用いたものはない。
我々は質量分析に基づく新規の網羅的及び標的指向的タンパク質解析法を用いて統合失調症と健常対照との間での死後脳内のタンパク質発現比較を行った。

(2)方法:
年齢、性別、死後時間をマッチさせた統合失調症死後脳10 例(福島における精神疾患の原因・病態研究ブレインバンク)、健常対照死後脳10 例(医療法人さわらび会福祉村病院長寿医学研究所でご遺族が研究利用に同意の検体)の凍結脳サンプルの前頭前野皮質について質量分析法を用いて解析した。
2DICAL法による網羅的解析では1215分子の発現レベルを統合失調症群と対照群間で比較した。
これと並行して行った標的指向的な絶対定量解析では、ドパミン、グルタミン酸、GABAの各神経伝達物質システムを中心として、これまでの報告で統合失調症病態に関連すると考えられている分子をピックアップし、LC-MS/MSにて検出可能と確認できるペプチドプローブを合成した108分子についてタンパク質発現量解析を行った。

以上2通りの発現解析の結果、統合失調症群と対照群間で発現量の差がみられたタンパク質についてはさらに蛍光免疫組織化学染色により細胞組織内での局在及び発現強度を観察、測定し両群間の比較を行った。
尚、この研究は各施設の倫理委員会の承認を得ている。

(3)結果:
2DICAL法による網羅的解析では1215分子のタンパク質が同定され、そのうち25分子で統合失調症と対照で有意な差が認められた。
標的指向的な絶対定量解析によるドパミン、グルタミン酸、GABA 関連の108分子の解析からも数種の候補タンパク質を得た。この中には先行の遺伝学的、生化学的研究において報告のあった因子及び本研究で新規に明らかになった因子が存在した。
一例としてDynamin-1 は既報において統合失調症死後脳で増加が見られているが、本研究においても統合失調症で平均4.17倍、t-test のp値=0.0208 で有意な増加が見られた。これらのタンパク質因子についてはさらに凍結脳を蛍光免疫組織化学染色し、細胞組織内局在及び発現強度を比較した。

(4)結語:
今回報告した、LC-MS/MS法を用いた二種のアプローチによる凍結死後脳サンプルの解析は、既知の分子に加え、未知の分子をタンパク質レベルで比較定量し、効率的に有用な分子をスクリーニングすることが可能であることから、統合失調症の病態解明の上で極めて有用であり、より病態に即した治療薬の開発につながると考えられる。

(國井泰人)

連絡先

公立大学法人福島県立医科大学 医学部 神経精神医学講座
電話 024-547-1331 / FAX 024-548-6735
講座紹介ページ http://www.fmu.ac.jp/cms/neuropsy/
講座代表メールアドレス neuropsy@fmu.ac.jp

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