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理事長室からの花だより

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理事長室からの花だより

2009.06.19

vol.35  − 慈愛 −

車を手放してから20年以上が経ちました。通勤路の道端に季節を感じ取れることも運転をやめて得た収穫の一つです。毎年同じ時期、同じ場所に、そして同じように花が咲いています。
この時期、福島では立葵(たちあおい)が、梅雨の到来が近づいたことを知らせてくれています。道を挟んでじゃがいもが白い花を咲かせています。花守の方の丹精の度合いが窺い知れます。

庭では、梔子(クチナシ)が、毎年のように枯れてしまいます。私が梔子の白と香りが好きなのを知って、20年以上前に、広大な苑の植栽変更の際に多くの梔子を譲って戴いて以来、毎年、五感を楽しませてくれていました。最盛期には、学生時代に買った鉢植えを移植した八重ものと、贈って戴いた一重ものが次々と競っているように咲いたのに、残念です。
白といえば、タヒチのティアレタヒチ、そしてスイスで見たナルシスの花が心に残っています。

元気をもらったニュースと言えば、バン・クライバーン国際ピアノコンクールでの辻井伸行さんの優勝です。久し振りに、「慈愛」という言葉が脳裡をよぎりました。
バン・クライバーンといえば、私の年代では、彼が1958年の第1回チャイコフスキー国際コンクールで優勝した時のことを、冷戦の真っ只中でのニュースだっただけに、子供心にも新聞記事が強烈な印象として残っています。

盲目のピアニストというと、梯剛之やジョージ・シアリングが浮かびます。米粒の立ったようでいて、しかも濃密な音、さらには協奏曲でのオーケストラとの一体感は素人の耳にも驚嘆です。
非凡な才能は当然ですが、これらの人々の努力は、「努力」という言葉では不充分で、真に「巌に爪を立てる」という表現が少し当て嵌まるのもかもしれません。
こういう話を聞くと、自分の「努力」が急速に色褪せてしまいます。

私は、留学時代に自分の不甲斐なさに泣いていた時、師匠から「Shin!努力出来ることも才能だ」と言われ、自分のその後の人生が変わったことを、今、想い出します。
彼にも、きっと、周囲に素晴らしい師、友、そして家族がいるに違いありません。


(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)



今週の花


【理事長室】
■ヘリコニア(ロブスター)
バショウ科 常緑多年草
原産:熱帯アメリカ
《名前の由来》 ギリシャ神話の中の女神ムーサの住む山、ヘリコン
にちなむ。
鮮やかな花色と形が独特で、一度見たら忘れられないような個性的
な花。
ロブスターも色と形から名づけられた品種名で、ヘリコニアのなかでも
大きな花。

■オレンジ
ミカン科 常緑小高木
原産:インドアッサム地方
アメリカカルフォルニア地方がもっとも生産量が多い。
ビタミンCを豊富に含み、風邪予防や美容に効果的。
世界一消費量の多い果物。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/35_zoom1.jpg
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【秘書室】
■エンシクリア
ラン科 着生
原産:中央〜南アメリカ 
約800種あるエピデンドラム属のなかの約170種が分離し
エンシ
クリア属に卵型のバルブ(擬球茎)を持つのがエンシクリア、
直立したバルブがエピデンドラムに分類。
オンシジュームを思わせる花姿で、エピデンドラムとは似て
いない。

■スチールグラス
ユリ科
原産:オーストラリア
ワイヤーのように細く長く硬い葉。
シャープなラインを描くのに最適のグリーン。
水揚げがよく非常に長く楽しめる。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/35_zoom2.jpg
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