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福島県立医科大学:理事長兼学長ごあいさつ
竹之下誠一理事長兼学長写真
理事長兼学長
竹之下 誠一

新年度にあたり、ご挨拶申し上げます。

東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故から10年が経過しました。巨大地震、大津波、原子力災害という、過去に経験のない複合災害に直面した私たちは、発災以来、福島の復興を医療と健康の面から支えるべく、不断の努力を続けてまいりました。そして、当時から地道に取り組み続けたことが、徐々に成果を出しつつあります。

教育の面では、4月に保健科学部が本学3つ目の学部として開設されました。福島県で不足する医療技術者を育成し、他県に比べて早く進行する社会の高齢化に対応するべく、教育体制が整いました。

診療の面では、この10年で新たに最先端の設備を備えた手術棟の整備や、ふくしま子ども・女性医療支援センター、健康増進センター、災害医療部の開設、原子力災害対応等々、様々な設備、体制作りに邁進してまいりました。県民の健康維持管理、医療の質の向上、地域医療の充実、災害・原子力災害への対応強化など、その取り組みは多岐にわたります。これらを通して、すべての人々が福島県で元気で健康に生活し、不安を抱くことなく子どもを産み、育てていくことを支える基盤を作ることができたと考えています。

研究においては、核医学の分野において、アルファ線核種を用いたRI内用療法の研究が継続して行われています。この研究はがんの治療に新たな光明をもたらすものとして、国家プロジェクトの一翼を担っており、その成果を世界と競っています。また、新型コロナウイルス感染症については、独創的な研究が進行中です。感染回復者の方のご協力を得て、IgAといわれる気道や鼻腔内などに多く存在する抗体を取得し、点鼻薬など手軽に利用できる治療薬の開発が進んでいます。IgA抗体を使った医薬品が承認されれば世界初のこととなります。またIgAは、人間の免疫システムにおいて病原菌やウイルスの侵入を防御するという役割を担っていることから、医薬品以外にも、IgAを含んだマスクやスプレーなど衛生用品の開発、試作にも取組んでいます。

このようにこれまでの10年の取組みは、試行錯誤の連続ながらも、次第に成果を出しつつあります。しかし、ここがゴールではありません。改めてこれまでの道のりを振り返り、今を思う時、気づかされることがあります。それは、私たちは常に未来を考え、語り、行動していたということです。10年という区切りのよい年を迎え、新年度をスタートするにあたり、私たちはもう一度、どのような未来を見据えるのか、そのために次の10年をどう組み立てるかを考える節目と捉えたいと思います。

ただ、既に震災当時のことを知らない人も増えてきています。だからこそ、過去に学び洞察力を養うことが重要になります。2021年の仕事始めにあたり、「未来だけは変えることができる可能性がある」だからこそ、「過去と現在について学び、考えることで洞察力を養って欲しい」と、全職員に対して訓示しました。変化が激しく厳しい社会環境の中にあっても、大学運営の担い手である職員一人ひとりが常にこうした意識を持つことで進化し続けることができる大学になっていくのだと確信しています。これからは、福島の「未来」を医療と健康の面から支えるために、過去の学びに立脚しつつ、新たな価値を創造する大学として更なる発展を目指してまいります。

令和3年(2021) 4月1日
福島県立医科大学 理事長兼学長 竹之下 誠一

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