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理事長室からの花だより

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理事長室からの花だより

2009.04.15

vol.28  − 日本の原風景〜花見〜 −

福島の地は、東京より1週間遅れで桜が満開です。
以前紹介した花見山へは、全国から観光客が押し寄せ、週末には1日3万人もの人出があります。
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/28_hanamiyama.jpg

拙宅の庭にも、白椿、辛夷(こぶし)、木瓜(ぼけ)、連翹(れんぎょう)、沈丁花、海棠(かいどう)、しゃくなげ(福島県の花)、紫木蓮、柊南天が満開で、山桜も咲き始め、ライラックも咲きそうです。
庭には早朝から鶯が鳴き、起床時間を知らせてくれます。
そして帰宅時には、沈丁花の香りが露地まで出てきて労ってくれます。

川向こうの堤では、花見の宴が午前中から盛り上がっています。このような花見の宴は、江戸時代の上野の山に押しかけるようになったのが最初だとか。
古木として地元に大切にされている桜は、例外なく麓からよく見える小高い丘や山の中腹か山頂に立っています。農作業の花暦として、あるいは山の神として地元の人々が大切にしてきたからではないでしょうか。
子供の頃、庭の好きな父は、決して桜を敷地内に植えることはしませんでした。周りを見ても、古い桜は寺社仏閣の敷地や丘や山の中にあることが殆どのような気がします。やはり桜は日本人にとって特別な木として見られていたのではないでしょうか。実際、桜の木の管理は虫退治に追われて苦労するのが常ですが…。

最近の傍若無人の花見は、娯楽の少なかった江戸時代でもこんなだったのか、時代考証家に聞いてみたいものです。もっとも、徒然草でも花見客の傍若無人振りを述べて、田舎者呼ばわりしていますから、江戸時代以前から今とあまり変わりないのかも知れません。
桜に狂う日本人を見ると、戦後、日本占領政策のテキストとなったルース・ベネディクトの「菊と刀」は、日本人の精神を菊に代表させています。菊と桜の差異は、日本人の変質を物語るのでしょうか、あるいは昔の日本人が持っていた何かを忘れさせられているだけなのでしょうか、あるいは別な視点なのでしょうか。

尚、今回の写真から、私の在籍していた整形外科の、カメラを趣味にしている医師が担当することになりました。撮影者が変わると写真も随分雰囲気が変わります。正直、驚きました。若さに伴う率直さとベテランによる成熟の差とでも言うのでしょうか。この差も楽しんでみて下さい。


(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)



今週の花


(出張で不在が重なった時期のため、今回は2週間分・4点をまとめてお届けいたします)

【理事長室】その1
■ラナンキュラス(ミコノス)
キンポウゲ科 球根植物
原産:西アジア・ヨーロッパ
花弁の一枚一枚は薄く柔らかく、幾重にも重なってバラのように咲く。ミコノスはレモンイエローの鮮やかな花色。ピンクやオレンジのパステル系から深紅や紫のシックなものまで色が豊富。大輪咲き、特大輪咲きシリーズは1本だけでも存在感がある。

■ユーカリ(ポポラス)
フトモモ科 常緑高木
原産:オーストラリア
オーストラリアの森の4分の3がユーカリといわれ、約600種が分布。成長が早く、10年で20メートル程に育つ。園芸品種はポポラスの他、グニユーカリや丸葉ユーカリ、レモンユーカリなどあり。園芸種はコアラの食べるユーカリとは別種。



【秘書室】その1
■モルセラ
シソ科 一年草
原産:地中海沿岸 西アジア
別名:カイガラサルビア
《別名の由来》 ガクの部分がアサリやハマグリなど二枚貝の貝殻のようにみえることから。
花を包むように鮮やかな緑色のガクがつくのが特徴。
ガクの中心に白い小さな花を咲かせる。ハッカに似た芳香がある。鮮やかな緑色とユニークな形を生かし、主にグリーンとして使用する花。

■ピンポン菊(オペラ)
キク科 多年草
ピンクとオレンジの中間のような淡い花色のピンポン菊。オペラシリーズはダリアのような花姿。他、オペラピンク、オペラパール、オペラベージュ、オペラレモン、オペラオレンジなどあり。

■ドラセナ(紅光)
リュウゼツラン科 常緑低木
原産:熱帯アフリカ
紅葉したような綺麗な紅色の葉。日持ちが良く、環境がよければ発根して植えることも可能。
※拡大写真http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/28_zoom1.jpg
(無断転載等はご遠慮ください)

【理事長室】その2
■アリウム・スファエロセパルム
ユリ科
原産:ヨーロッパ
別名:丹頂アリウム
花序の上部と下部の花色の変わり具合がおもしろい花。
くねくねした茎は成長途中の細工によるもの。ユリ科ネギ属の花なので、ハサミを入れるとネギの匂いがする。

■ユリ(ティアラ)
ユリ科
淡いピンクの大輪ユリ。花粉が退化して出ない品種。花粉によって花弁が汚れる心配がないがないので、雄しべをつけたまま飾れる。



【秘書室】その2
■デルフィニュウム(オーロラ)
キンポウゲ科
原産:ヨーロッパ
別名:オオヒエンソウ
《名前の由来》 蕾の形がイルカに似ていることから Dolphin → Delpinum。
オーロラシリーズは茎が硬く、大輪で八重咲きの品種。ボリュームがあり鮮やかな青色でインパクトのある花。今回はディープパープルとブルーの2色を使用。

■ギガンジューム
ユリ科
原産:中央アジア
小さな花が密集して巨大な球状に咲く紫色の花。理事長室のアリウム・スファエロセパルムと同属で、ギガンジュームもハサミを入れるとネギの匂いがする。

■ドラセナ
リュウゼツラン科
常緑低木
原産:熱帯アフリカ
幸福の木やミリオンバンブーなど、幸運をもたらすとされる品種が多い観葉植物。稀に花が咲くことがある。
※拡大写真http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/28_zoom2.jpg
(無断転載等はご遠慮ください)

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