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理事長室からの花だより

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理事長室からの花だより

2013.12.20

vol.250  − 明 (あかす) −

冬の夜空、冷気のなか、星の輝きが、一段と冴え渡っています。

         霜の夜のわれの眉間に立つごとき
         北斗に向ひ帰りきたりぬ
                             鈴木幸輔

帰り路、見上げると北斗七星、このような気分でみることも度々(たびたび)です。
冬晴れの多い関東平野、富士山がくっきり見える日が多くなります。

アンドレ・ル・ノートル(1613.3.12〜1700.9.15)、生誕400年を記念する催しが開催されています。
彼が確立したフランス式庭園の意匠(デザイン)は、人工的、大胆、修飾的です。英国や我が国とは異なります。ここにも、民族、あるいは国による自然観の違いを感じます。

こんなことを考えていると、identity(存在証明)に思いが及びます。
   (vol.240  http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=277
最近、多くの思索が発表されています。恐らく、国境を簡単に越えてしまう地球規模での経済の動きと無関係ではありません。英語の重要性も叫ばれています。

こういう時代だからこそ、自らのアイデンティティー(存在証明)を持っておかないと、自己の存在や言動を、他の人々に理解してもらうことは困難です。

海外で学んでいた時、英語が出来ない為に周りから随分と莫迦(ばか)にされました。
恩師の手洗い(彼には専用のトイレが付いていました)で悔し涙を流していた時、恩師に諭(さと)されました。“努力出来ることも才能の一つである”と。
  《理事長室からの花だより》
   (vol.35  http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=55
   (vol.100  http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=128
   (vol.199  http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=235
  《学長からの手紙》
   (No.36  http://www.fmu.ac.jp/univ/daigaku/letter/036.html
   (No.212  http://www.fmu.ac.jp/univ/daigaku/letter/212.html
そして“どう話すかよりも、何を話すかである”とも。今も “バックボーン”になっている箴言(しんげん)です。

原発事故、仕事が一変して約3年、如何に生きるか、世間とは何なのかを、考えるようになりました。

時は江戸、鈴木正三や石田梅岩(vol.189)が、我が国の商い(あきない)の規範を確立しました。
   (vol.189  http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=225
バブル期、昔からの商慣習が途絶えてしまいました。
私の世代は、バブル景気以前と以後を実体験として持っています。戦後の混乱の余波、高度成長による若者の都市への移動(vol.7、44、61)も経験しています。
   (vol.7  http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=13
   (vol.44  http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=69
   (vol.61  http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=87
豊かさの獲得と引き換えに、昔から持っていた自然との関わりや伝統をも失ってきました。

昔は確かにあった“常識”も、今、揺らいでいます。
規則ではなく、我が国が培ってきた世間知や相手を慮(おもんばか)った対話が通用しなくなっています。

新宮熊野神社の長床(ながとこ)(喜多方市、ラーメンと蔵の町として有名)と境内にある樹齢800年といわれる大銀杏(イチョウ)の見学が叶いました。東北の古い建築と言えば、平泉の中尊寺(岩手県)や白水の阿弥陀堂(福島県)が有名です。これらより古いとされているようです。

散り敷かれた銀杏(イチョウ)の黄色い落ち葉、装飾を捨て去った、素朴で、宏壮な佇まいの建物、来た甲斐がありました。
この社(やしろ)が、地域の人々の手で大切に護られています。この集落に、古き良き伝統が今も尚生き続けているのです。

慧日寺(えにちじ)の僧 徳一、
   (vol.24  http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=41
   (vol.136  http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=169
   (vol.175  http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=209
勝常寺の薬師如来、(vol.196  http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=96
伊佐須美神社、会津という地名、(vol.175  http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=209

そして会津の各地に残る水の豊かさを偲ばせる地名を考えると、何故昔からこの地が栄えたのか、関心が高まります。

この号で250号に達しました。
2008(平成20)年7月30日、理事長兼学長に就任して4か月が経過しての執筆開始でした。
執筆の切っ掛けは以前記しました。
   (vol.100  http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=128
   (vol.200  http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=236

「愚直なる継続」こそ、凡人が出来る、唯一、至高の能力と、自分に言い聞かせ、周囲に説いてきました。
その結果の一つです。

今週の花材は、緑と赤の組み合わせが「冬の華」のような雰囲気を醸し出しています。


(福島県立医科大学理事長  菊地臣一)



今週の花


【理事長室】
■珊瑚水木   ミズキ科/落葉低木/白玉水木の変種で、冬に
なると枝が珊瑚のような色に染まる。花期は5〜6月頃で、枝先に
白色の小花を多数咲かせる。
■ケイトウ〔ウモウケイトウ〕   ヒユ科/一年草/花期は6〜9月
頃で、赤やピンク、オレンジなどの花穂を付ける。
「ウモウケイトウ」は羽毛のような花穂をつける品種。
■ピンクッション〔サクセション〕   ヤマモガシ科/常緑低木/針
山に待ち針を刺したような独特の花姿。待ち針の様な部分のひと
つひとつが雄しべ。
■アンスリュウム〔ゴールデンスウィートハート〕   サトイモ科/
常緑多年草/光沢があり造花と見間違うような花で、主に苞を鑑
賞する。「ゴールデンスウィートハート」はクリーム地にピンクのライ
ンが入る。
■プロテアコルダータ   ヤマモガシ科/常緑低木/同属のキン
グプロテア等とは異なり、葉を鑑賞するものとして流通。赤く色付く
ハート型の葉が特徴。
■コアラファーン   カヤツリグサ科/オーストラリアの海岸に自
生。細い葉が房状につき、ふわふわした羽根のようなグリーン。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2501.jpg

【秘書室】
■トルコギキョウ〔ララ〕   リンドウ科/多年草/品
種改良が盛んで、花色花型ともに多岐にわたり種類
が豊富。「ララ」は小輪タイプの八重咲ピンク色。
■スィートピー〔トトロパープル〕   マメ科/一年草
/ひとつひとつの花が蝶のような形で、甘い香りを放
つ。「トトロパープル」は濃紫色。
■アンスリュウム   (理事長室と同花材)
  ピンク「ピンクシフォン」
  グリーン「みどり」
■ピンポン菊   キク科/多年草/ピンポン玉のよう
に真ん丸に咲く菊。花持ちの良い菊の中でも、特に長
く楽しめる。
■テマリソウ   ナデシコ科/多年草/マリモや芝
を連想させる個性的な花。ふさふさした部分は、花・
雄しべ・雌しべが変化したもの。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2502.jpg

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