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理事長室からの花だより

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理事長室からの花だより

2013.10.25

vol.242  − 愛 (めでる) −

朝晩の冷え込み、そんな中での雨は、心まで凍えさせてしまいそうです。
樹々の葉の色付き、麓まで足早に降りてきています。

街路樹の銀杏(イチョウ)の葉は、尚、緑を保っています。一方、路上に散り落ちた葉の黄色、撓(たわわ)に実った柿の木の橙(だいだい)色が、この時季特有の色彩の美しさを演出してくれています。

秋は、実りの季節です。収穫された大地や海の恵みが食卓を賑(にぎ)わわしています。
新米、コーヒー豆を代表として、栗、秋刀魚(サンマ)などです。

福島の古名である信夫(しのぶ)、古人(いにしえびと)は、この地名に「みちのくのしのぶもちずり誰ゆえに乱れそめにし我ならなくに」(源融)に代表されるように、千々(ちぢ)に乱れる恋心というイメージを重ねていました。(vol.29  http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=46
この言葉の響きが、疲労困憊(ひろうこんぱい)していても尚、最前線で頑張っている人々に、原発事故以前の気持ちを少しでも蘇らせてくれることを願っています。

         夜更けて寂しけれども
         時により唄ふがごとき長き風音
                           佐藤佐太郎

夜更け、窓に当たる風や瀬音がBGM(バックグラウンドミュージック)となって、心の箍(たが)を緩めてくれ、灯を点(とも)してくれます。

毎年、この時季、楽しみにしている沿線風景があります。それは、朽ち果てつつある白壁の剥落した小さな土蔵を巡る風景です。(vol.78  http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=104
小高い丘の上にある土蔵は、形あるモノは滅びゆくという理(ことわり)を教えてくれています。
この土蔵の前、短い期間、畑であったと思われる土地に秋桜(コスモス)が一面に咲きます。耕していた方が、農業を止めた時、畑が荒地に還るのは忍びなく、コスモスの種子を蒔いていったのだと想像しています。
農家の方の大地への愛情を感じます。

「世の中に変わらないものなどない」ことを黙って教えてくれている土蔵、その前に毎年咲くコスモス、この風景の変化を後の世に伝えていくのは文字しかありません。

先日、秋の大学院の学位記授与式と入学式が行われました。彼・彼女等の多くは、東日本大震災に伴う原発事故を体験しています。この間、近くの友を頼り、遠くの人を信じて研鑽を積んできました。

学位の取得は、人生での一つの節目です。
医師として学んだ事を式辞に託して、送り出し、そして受け入れました。式辞の片言隻句(へんげんせっく)が、一人にでも、これからの人生の糧になってくれれば…。
   (学位記授与式式辞  http://www.fmu.ac.jp/univ/daigaku/sotu_sikiji_gra.html
   (入学式式辞  http://www.fmu.ac.jp/univ/daigaku/nyugaku_sikiji_gra.html
自分が学位を受け取った時に感じた遣る瀬無さ(やるせなさ)を反面教師として、
   (vol.121  http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=152
春と同様に、人生の節目に相応(ふさわ)しい式にしているつもりです。

人生は、偶然の積み重ねです。只、その偶然も、“犬も歩けば棒に当たる”のようなものではありません。
学位を取得すると決意、あるいは取得するまでには、色々な悩み、多くの出会いがあった果ての選択や結果であった筈です。
一つ一つは偶然の出会いかも知れません。たまたまの出会いを掛け替えのない出会いにするには、その後の日々の、誠実な、そして愚直なる継続が必要です。

「風を待っている軒下の風鈴」のような受身の生き方では、予期せぬ出来事に遭遇した時、それを機会(チャンス)に変えることは出来ません。
出会いを単なる偶然と捉えていると、いつの間にか偶然を「好機」に変える活力が失われてしまいます。

「竹内栖鳳(たけうちせいほう)展」、彼のまとまった画業をみるのは初めてです。
セピア色を背景にした金獅を始めとした獅子は、何度みても迫力があります。
画家の、研鑽や年齢とともに観てとれる画風の変化には、観る人に色々なことを教えてくれます。

今週の花材は、執務室、秘書室とも色彩の多様性が、深まる秋の穏やかさを表現しています。


(福島県立医科大学理事長  菊地臣一)



今週の花


【理事長室】
■行李柳(コリヤナギ)   ヤナギ科/落葉低木/《名前の由来》
行李〔昔の物入れ〕を編むのに使われたことから/朝鮮から渡来
し、湿地帯に群生する弾力のあるヤナギ。行李柳に似た日本の自
生種はイヌコリヤナギで、「小豆柳」の名で流通。
■ノバラ   バラ科/落葉低木/日本の山野に自生し、10数種
が国内に分布。花期は5〜7月で、2cm程の小さな白い花が咲く。
花後に青い実がなり、秋になるにつれ赤く色付く。
■ユリ〔ビビアナ〕   ユリ科/球根植物/優雅な花姿と芳香が特
徴のオリエンタルハイブリッド種。「ビビアナ」は赤に近い濃いピンク
色。
■ハイドランジア〔グリーンモジート〕   ユキノシタ科/落葉低木
/ハイドランジアは日本の紫陽花を改良した西洋アジサイ。日本原
産の紫陽花に比べ、花が大きく華やか。ドライフラワーにも適し、リ
ース等にも利用される。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2421.jpg

【秘書室】
■トルコギキョウ〔ロジーナブルー〕  リンドウ科
/多年草/品種改良が盛んで毎年多くの新種
が登場し、品種がとても豊富。祝花仏花ともに人
気の高い夏の花。「ロジーナブルー」は濃紫の八
重咲。
■アンスリュウム〔チョコ〕   サトイモ科/常緑
多年草/光沢があり造花と見間違うような花。
花弁のように見える部分は苞で、棒状の部分が
花。「チョコ」は名前の通り茶色い品種。
■ピンポン菊〔ロリポップパープル〕   キク科/
多年草/ピンポン玉のように真ん丸に咲く可愛い
菊。日持ちの良い菊の中でも、特に長く楽しめる
品種。「ロリポップパープル」は濃い紫色。
■ドラセナ〔コーディラインフォーカラーズ〕   
リュウゼツラン科/日本で流通する観葉植物の
代表種。「コーディラインフォーカラーズ」は小葉
で茶系の独特の葉色が特徴。正式にはコルジリ
ネ属で、昔ドラセナに分類していたことからその
名で流通。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2422.jpg

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