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理事長室からの花だより

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理事長室からの花だより

2013.07.12

vol.228  − 変 (かわる) −

早朝、燕(ツバメ)の群れの飛翔(ひしょう)、軒先に巣を作っている燕を眺めていた日々を思い出しながら大学へ向かいました。

オハグロトンボが姿をみせてくれました。
   (vol.38 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=62
   (vol.88 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=114
   (vol.132 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=165
   (vol.185 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=220
今年は玄関の植え込みではなく庭の紫陽花(アジサイ)の上に佇んでいました。
毎年、母の命日あたりで出会います。

梅雨の合間、透明な光の粒が、構内の樹々の葉に跳ね返されて、大気を更に輝かせています。
風に戦(そよ)ぐ葉が翻って葉裏をみせています。緑がもっとも濃くなる時季です。

雨上がり、「天使の階段」が天と地を繋いで、神々しい姿をみせてくれています。
「生ある限り、全てが試練」(ニーチェ)と思い定めて働いて、心塞ぐ時、天空の光のページェントは、一時、ささくれ立った心を労(いたわ)ってくれます。

足元には、雨に濡れて藍が一層鮮やかな紫陽花(アジサイ)、吹っ切れない気持ちをしゃきっとさせてくれます。

         あぢさゐの藍の深きにそそぐ雨
             見つつありたり事決めかねて
                             来嶋靖生(きじまやすお)

本学が独立行政法人に移行して7年目の決算、法人化以前は巨額な予算を県から受け取り、期末には補助金で赤字を補填していました。
今年、本学職員の人々が連日遅くまで居残り、決算書を仕上げてくれました。

県の組織であった時代からの激変、単年度の予算から企業会計へ、消費税の取り扱い方など、県からの派遣職員や本学採用の職員には、ここに至るまで、想像を絶する苦労や苦悩があったと容易に想像できます。

その結果が、法人化移行後からの健全経営です。
監事の方から、本学職員への労(ねぎら)いの言葉とともに苛酷な職場環境に憂慮を表明されました。尤(もっと)もな指摘です。と同時に、この過程をみると一人一人の人間の持つ可能性を感じます。

窓口がない、受付の担当者がいないのが当然だった以前から、顧客である来訪者や学生に真正面から対応する組織に変化しました。会議で、「検討する」から、「締め切り日は」が当たりまえになりました。

今は、大学にとって、顧客である学生や患者さん側からの発想ができるようになりました。挨拶すら出来なかった職員や学生も随分少なくなりました。“空気”を変えることの大切さを再認識させられます。

         慮(おもんべか)らずんば胡(なん)ぞ獲(え)ん
         為(な)さずんば胡(なん)ぞ成(な)らん
                                   伊尹(いいん)

以前勤務していた病院の、今は亡き敬愛する副院長先生から、教授就任時、この書を贈られました。

成し遂げようと思われなければ何も始まりません。そして、実際に行動しなければ目的は達せられません。
先(ま)ず、初めにあるのは志(こころざし)です。

7月9日(1922)、大正11年のこの日、森鴎外が亡くなっています。60歳の生涯です。
彼の人生は、それ自体がドラマのようです。「妄想」や墓石銘に、彼の人生観が凝縮しています。

今週の花材は、執務室は夏の夕暮れの穏やかさを、秘書室は朝の凜とした涼やかさを感じさせてくれます。


(福島県立医科大学理事長  菊地臣一)



今週の花


【理事長室】
■ナツハゼ   ツツジ科/落葉低木/原産:
日本・朝鮮/《名前の由来》夏にハゼのように
紅葉することから/北海道から九州にかけ
て、山地や丘陵地に生育。春の芽吹きのころ
から赤みを帯びた葉色が特徴。花期は5〜6
月頃で、ベル状の小さな花を多数咲かせる。
■トルコギキョウ〔ロジーナグリーン〕   リン
ドウ科/多年草/原産:北アメリカ/花の大き
さや咲き方、色合いが多岐にわたりとても品
種が豊富。祝事仏事とわず人気の高い夏の
花。「ロジーナ」シリーズはバラのような花姿の
品種。
■ユリ〔フェニス〕   ユリ科/球根植物/優
雅な花姿と芳香が特徴のオリエンタルハイブ
リッド種。ユリの中で一番知名度の高い「カサ
ブランカ」も同種。「フェニス」は淡いピンク色。
■エキノプシス〔ベッチーズブルー〕   キク
科/多年草/原産:南ヨーロッパ・西アジア/
《名前の由来》ギリシャ語で“ハリネズミに似
た”という意味/アザミに似た葉と瑠璃色の球
状花から、「ルリ玉アザミ」の和名を持つ。茎
の先端に青紫色の小花を4〜5cmの球状に
つける。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2281.jpg



【秘書室】
■クルクマ〔エメラルドチョコゼブラ〕   ショウガ科/球根植
物/原産:熱帯アジア/幾重にも重なり花弁のように見える
部分は苞で、その中に小さな花が咲く。暑さに強く夏でも花
持ちが良い。「チョコゼブラ」はグリーンとチョコ色で、前回とは
まったく異なった印象。
■菊〔アナスタシア〕   キク科/多年草/花火のように広
がる大きな菊。通常の菊と異なり、細く繊細な花弁が特徴。
■ハラン〔旭ハラン〕   ユリ科/多年草/江戸時代から生
け花の材料として使用される。「旭ハラン」は葉の先端に白
い斑が入る。他に縦縞の「シマハラン」、点々の斑が入る「ホ
シハラン」もある。
■ドラセナ〔ソングオブインディアナ〕   リュウゼツラン科/
原産:熱帯アフリカ/インテリアグリーンとして流通する代表
種。「ソングオブインディアナ」は黄斑が入る明るい葉色。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2282.jpg

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