興味のない授業

私達は興味のない授業や話を聞くと、❝難しくてわからない❞、❝つまらない❞と心が拒否しているような感覚に陥ります。しかしクラスにはそういう授業を楽しんでいる友人もいたりするので、蓼食う虫も好き好きだと感心したことはないでしょうか。

私達の脳は五感から得た情報を、大脳皮質神経細胞が認識し、好き嫌いをつかさどる側坐核、危機感をつかさどる扁桃核、言語や表情をつかさどる尾状核、意欲や自律神経をつかさどる視床下部等のドーパミン神経系を経由して、「好き」「嫌い」「面白い」「つまらない」などのレッテルを情報に付与します。レッテルをはられた情報は、情報を理解、判断する前頭前野に入り、思考が行われ、報酬関連領域を経て海馬に保存されることになります 1)。この情報処理過程から考えると講義が「難しい」から「つまらない」のではなく、【「つまらない」というレッテルをはったので思考に抑制がかかり、「難しい」と感じた】ということになります。

私達は楽しく笑いながら怒りを表現することは困難です。これを利用して、箸の真ん中あたりを横から噛む場合(笑顔)と、縦にした箸の端を唇で挟む場合(しかめっ面)で、漫画を読んでどちらが楽しかったか点数をつけて比較をした研究があります 2)。この結果は、同じ漫画であっても笑顔で読んだ方の点数が高くなったようです。ここから私達人間は、【楽しいから笑顔を作るわけではなく、笑顔を作るから楽しい】ということのようです。

ストレスの多い社会ではいつも笑顔でいることは難しいもの。日々多くの情報に触れる際に「それは面白い」と先に唱えてから考えるか、「興味ない」と心を閉ざすかで、その情報に対する思考力は異なってきます。同様に笑顔が感情を作るという、一見逆の考えを持つことでストレスへの対処もうまくいくかもしれません。

1) 林成之. 困難に打ち克つ「脳とこころ」の法則. 祥伝社. 2011
2) Wiswede, et al. PLoS One 2009

授業中に退屈そうにノートに向かう女の子のイラスト。

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