高校生に英語学習は必要か?
- 准教授
- 福田 篤志
- ふくだ あつし
- 放射線科学、放射線計測学、X線装置出力測定、患者・術者被曝線量測定
世界には多言語国家がいくつもあります。アメリカは英語を公用語としていますが、移民国家であることからたくさんの言語が日常的に使われています。カナダの公用語は英語とフランス語ですね。国家ではありませんが、国際連合(国連)の公用語はアラビア語、英語、スペイン語、中国語、フランス語、ロシア語の6つです。多言語を理解することは一般的に困難なので、国連の参加者は写真のような通訳機を使うことができます。
ここ数年Artificial Intelligence: AIの発展が目覚ましいですね。このまま技術が向上すると、近未来ではAIを搭載した通訳機が日常的に使用されるようになるでしょう。そうなると、海外の方々とのコミュニケーションは容易になるので、英語の勉強から解放される!!と思っていませんか?
そもそも私たちはなぜ外国語を学ぶのでしょうか。ヒントとなるGeoffrey Willansの言葉があります。
You can never understand one language until you understand at least two.
母国語の理解には別言語が必要だ、という格言です。英語の学習は、母国語の思考の枠組みを外し、思考の相対化に役立ちます(”患者”は和英辞書で調べると”Patient”。”Patient”を英和辞書で調べると、”忍耐強い”という意味が掲載されています)。そして、この思考の相対化は教養を得るうえで基盤になってくるのです。大学で学ぶ新しい医療技術は基本的に英語で発表されたものです。日進月歩の医療において、大学卒業後に新しい情報を取得するには英語が圧倒的に有利でしょう。その際に翻訳機を介さずに英語で情報収集ができれば、思考の幅もさらに広がるはずです。私はAIが普及した近未来でも、英語の学習がなくなることはないだろうな、と想像しています。
