何が分からないか、わかってるかな?
- 准教授
- 福田 篤志
- ふくだ あつし
- 放射線科学、放射線計測学、X線装置出力測定、患者・術者被曝線量測定
進路指導の面談において、高校の先生に「とりあえず大学に行きたい」と伝える生徒がいます。何を隠そう20数年前の私です。今の高校の先生はどのように指導してくれるでしょうか。「どこの大学に行きたいですか?今の成績だと・・・」と話が進んでいくかもしれませんが、これだと生徒(私)は進路(問題)が見えていたとは思えません。ここでは、「○○を学びたいので、△△の大学に行きたい。『でも□□が分からないのです』」これに準ずる質問ができれば一気に解決に進みます。相談する前に「何が分からないか、わかっている」ことが問題を解く鍵になるのです。
「何が分からないか、わかる」ためには何が必要なのでしょうか。そのヒントはTrial and Error (試行錯誤)にあります*。当てずっぽうでも良いので、まずは自分で何かしらアプローチをしてみる。その結果、それがなぜうまくいかなかったのか、というとっかかりを見つける。先の「大学に行きたい」という進路の問題であれば、大学の資料を読み込んだり、先輩や両親の話を聴いたりすることで「何が分からないか」を見つけることができるはずです。
先日、医薬看護、情報学部の人気が上昇しているという報道がありました。医薬看護に興味のある生徒には、なぜ情報学部の人気が上昇しているのか分からないかもしれません。「なぜ情報学部が人気なのか?」という問いに対して自分で調べてみてはいかがでしょうか。どういう大学で何を学ぶことができ、卒業後はどのような仕事が可能なのかを調べることで、さらに「何が分からないか、わかる」でしょう。分からないことが何か分かれば、後は詳しい先生方に教えを請えばよいのです。
研究者の仲間と話をしていると「分からない(誰も分かっていない)ことが何か分かる」人が多いように思います。「巨人の肩の上にのる矮人」 という比喩表現が西洋では有名ですが、先人の積み重ねた発見の上に、新しい発見をすることが科学の進歩を意味するからだと思います。「何が分からないか、分かった」時点で明らかに人は成長しています。ここまでくれば先生に質問に行きましょう。きっと大きな発見があるはずです。
引用: * 大学の恩師に教わった、「なにがわからないか、わからない」ときの質問のしかた。
https://blog.tinect.jp/?p=68951
