脳を3D printingしてみる

“テトリス”や“ぷよぷよ”といったゲームをしたことがありますか?これらのゲームでは、上部から落ちてくる形状や色の異なる粒の集まりを、うまく並べることで点数を競いますよね。CT装置やMRI装置といった大型医療機器でも、色の異なる(信号強度が異なる)粒を並べて、一つの画像として表示しています。“テトリス”や“ぷよぷよ”はXY座標ですが、医療画像ではZ座標を加えた3次元座標であり、日進月歩の医療のなかで、これらの粒の大きさは0.5 mm × 0.5 mm × 0.5 mm程度の立方体で構築できるようになりました。

脳のMRI画像を図の最上段に示します。臨床的に意義のある立方体の粒(ここでは脳)に彩色し、着目しない立方体の粒を透明にして、3次元版“テトリス”や“ぷよぷよ”のように積み重ねて、さまざまな方向から観察してみます。一つ一つの粒の大きさが立方体なので、2次元の情報は3次元の立体構造物(脳)のように見えるようになりますね。数十年の間に、医療画像は2次元画像から3次元画像へと大きな進化を遂げました。

立体構造物には表面が存在します。この表面を小さな三角形で結んでいくと、表面のみの情報を作り出すことができます。この情報をもとに3D printingすると、撮影した画像から臨床的意義のある立体構造物を1 mm以内の精度でプリントアウトすることができます。身体の中にあるものを外に取り出して、手に持てる時代になったわけです。あとはこの技術をどのように使うか。アイデアが世界を変えていくのです。

脳のMRI画像を3Dプリントした立体構造物が並ぶ様子を示す画像。上段には脳のMRI、下段には3Dプリントされた脳の模型が配置されている。

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