- 各務 竹康 (かかむ・たけやす)
- 医学部 衛生学・予防医学講座 准教授
- 研究グループ
- 各務竹康、遠藤翔太、日高友郎、増石有佑、春日秀朗、福島哲仁福島県立医科大学 医学部 衛生学・予防医学講座
概要
論文掲載雑誌:「Scientific Reports」(2021年1月)
熱中症は夏季に多く発生する重大な労働災害であり、特に建設業に多いことがわかっています。近年建設業など屋外労働現場において、熱中症の予防、早期発見のためウェアラブルセンサーを用いて、労働中の心拍数など健康状態を経時的に測定する取り組みが進められております。今回私達は鹿島建設と共同で、ウェアラブルバイタルセンサーにより測定された熱中症危険状態とされる心拍数の上昇と関連する個人因子、環境因子の検討を行いました。
2箇所の建設現場(工区1、工区2)にて、2019年7月から9月にかけてウェアラブルバイタルセンサーを装着しての労働に同意した61人、延べ労働日数1165日の結果を分析しました。最高心拍数がISO 9886: 2004にて熱中症危険状態とされている数値(180-0.65×年齢)に達した日を熱中症リスクありとし、多変量ロジスティック解析を行った結果、年齢(オッズ比(95%信頼区間)1.051 (1.025-1.077))、工区2ででの労働従事(オッズ比(95%信頼区間)2.485(1.410-4.381))、準備運動終了時の心拍数(オッズ比(95%信頼区間)1.033(1.019-1.047))が熱中症リスクのオッズ比を有意に上昇させ、建設業への従事期間(オッズ比(95%信頼区間)0.977(0.954-0.999)が熱中症リスクのオッズ比を有意に低下させていました。
今回の研究では準備運動終了時の心拍数が作業中の心拍数上昇に有意に関連していました。準備運動終了時の心拍数上昇は体調不良のサインであり、その日の労働負荷を軽減させることで、労働中の熱中症を事前に予防できることが示唆されました。
共同で研究を行っている鹿島建設や関係団体とも連携を深め、今回の結果を屋外作業における熱中症予防対策に活かして行きたいと考えています。
連絡先
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