福島県立医科大学 研究成果情報

日本臨床神経生理学会 島薗賞(令和2年11月受賞)(2021-02-04)

Cognitive phychophysiological study in schizophrenia

統合失調症に関する認知精神生理学的研究

矢部 博興 (やべ・ひろおき)
医学部 神経精神医学講座 教授
        
研究グループ
矢部 博興

今回の受賞について

日本臨床神経生理学会


 脳から脊髄、末梢神経、筋に至る広い範囲の機能とその病態を、生理学的に探究している研究者の団体であり、人間の健康上の諸問題に直結した臨床的な分野と、脳・神経・筋の機能解明のための基礎的な分野が一体となって、ヒトの神経系を中心とする複雑なシステムの研究を推進しています。会員数は3,728名(2020年9月30日現在)です。

 昭和46年に、日本脳波学会と日本筋電図学会とが合同して、日本脳波・筋電図学会が設立され、平成12年1月1日には学会の名称が日本脳波・筋電図学会から日本臨床神経生理学会に変更され、現在に至っています。

島薗賞について


 島薗賞は、脳波分野で日本神経生理学会に貢献をした研究者に対して表彰を行うもので、研究と教育の両面から、臨床神経生理学に携わってきたことが評価され、今回の受賞となりました。

 授賞式は、第50回日本臨床神経生理学会学術大会の中で行われ、2020年11月26日に、日本臨床神経生理学会 正門由久理事長より、賞状と盾が手渡されました。その後に、「統合失調症バイオマーカーとしてのミスマッチ陰性電位(MMN)」「(英題)Mismatch negativity(MMN)as biomarker in schizophrenia」と題した記念講演を行いました。

概要

 統合失調症は生涯有病率が1%、精神科入院患者の約半数を占める難治の精神病でありますが、診断は専ら面接と評価スケールに頼っているのが現状です。統合失調症では、NMDA受容体異常と上側頭回の進行性の体積減少、さらにそれに先行するMMN異常(メタアナリシスで、健常者と較べた効果量0.95)が確認されています。MMNはNMDA受容体異常や発生源である上側頭回の体積異常を明瞭に反映することが判明したため、統合失調症発症予測の有望なバイオマーカーと考えられています。これまでの研究で、MMNに感覚記憶と時間窓統合(Temporal Window of Integration:TWI)が関連することを証明し、統合失調症におけるMMNの臨床応用への道を開いたことが特に評価されました。


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