福島県立医科大学 研究成果情報

日本老年社会科学会 奨励賞 受賞 〔平成23年6月受賞〕(2011-06-17)

「高齢者の閉じこもり改善および心理学的支援のあり方に関する研究」

山崎 幸子 (やまざき・さちこ)
福島県立医科大学
医学部 公衆衛生学講座
助教
        

今回の受賞について

【 日本老年社会科学会 】
日本老年社会科学会 は1959年に設立され、社会学、経済学などの社会科学に限らず、社会福祉学、心理学、建築学、保健学、看護学、精神医学などからの老化と老人問題、サービスに関わる研究をとりあげる学際的な学会です。
会員は社会・行動科学、健康科学の研究者のほか、医師、看護師、社会福祉・介護の専門職など多岐にわたり、現在、1402名で構成されています。

【 日本老年社会科学会 奨励賞 】
老年社会学の分野における研究または実践活動において、価値ある業績を挙げている会員に対し授与されるものであり、2007年に創設が承認されました。

〔関連サイト〕
日本老年社会科学会 HP (http://www.rounenshakai.org/)
奨励賞 関連ページ

概要

「高齢者の閉じこもり改善および心理学的支援のあり方に関する研究」

高齢者における 要介護認定のリスクファクターに、“閉じこもり”があります。 閉じこもりとは、「寝たきりなどではないにも関わらず、家からほとんど外出せずに過ごしている状態」と理解されており、その指標は、「週1回未満の外出頻度」とすることが一般的です。

現在、各自治体における介護予防事業の1つとして「閉じこもり予防・支援」が展開されていますが、十分に効果のある介入方法の確立までには至っていません。 閉じこもりは身体、心理、社会・環境的要因のいずれか、または複数によって引き起こされます。しかしながら、特に心理、社会・環境的要因の知見は乏しい状況です。 そこで、本研究ではこれらの要因について検討することを目的としました。 また、明らかになった要因を元に、閉じこもりの予防や改善に向けた効果的な介入方法について、心理学的支援の観点から課題を整理しました。

本研究は、複数の横断研究、および縦断研究 (コホート研究) による一連の研究成果から構成されます。 まず、これまで明らかにされていなかった社会・環境要因として、畳での生活、家族との会話の少なさ、家庭内での役割のなさと閉じこもりの関連を見出しました。 また、閉じこもりの改善に関連する要因として家族からの外出支援を明らかにしました。 併せて、閉じこもりに特化した 自己効力感 を把握するため、地域高齢者における外出に対する自己効力感尺度を開発し、閉じこもりとの関連を解明しました。 これらの成果から、今後の効果的な介入方法として、外に出かける自信を高めるための行動変容アプローチによる閉じこもり改善の可能性を示唆しました。

連絡先

公立大学法人福島県立医科大学 医学部 公衆衛生学講座
電話 024-547-1180 / FAX 024-547-1183
講座ページ http://www.fmu.ac.jp/home/public_h/index.htm